表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄、感謝します!おかげで悪役令嬢だった私は辺境一の農場主です。元王子?ああ、食糧支援の順番待ちの列にどうぞ。  作者: 黒崎隼人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/16

第12章「未来へと続く、緑の道」

 大収穫祭から、さらに数年の歳月が流れました。

 かつて「辺境の地」と呼ばれた不毛の大地は、今や大陸中で最も豊かで美しい土地として知られるようになり、「緑の楽園」という、輝かしい名で呼ばれています。私の領地は、ただ農作物が豊かなだけではありません。農業で得た富を元に、教育や医療も充実し、多くの人々が移り住んでくる、活気あふれる場所へと成長しました。


 私は、領主としての仕事の傍ら、農業学校の校長として、生徒たちと共に新しい品種の開発に情熱を燃やしていました。

「先生! 見てください! 寒さに強い小麦の品種改良、成功です!」

「まあ、素晴らしいわ! これで、北部の寒冷地でも、冬を越せる食料が確保できますね」


 若い生徒たちのエネルギーと探求心は、私にとって何よりの刺激です。彼らが、この世界の未来を、さらに緑豊かにしてくれることでしょう。私が蒔いた種は、作物だけでなく、人の心にも、確かに芽吹いていました。


 そんなある日の午後。私が研究畑で生徒たちと土にまみれていると、見慣れた人物が、丘の上からこちらへ歩いてくるのが見えました。日に焼けた肌にも、上等な服にもすっかり馴染んだ、クラウス国王です。彼の訪問は、もはや日常の風景となっていました。


「やあ、セレスティア。また泥だらけだな」

「あら、クラウス。あなたこそ、また王都を抜け出してきたのですか?」


 私たちは、昔のように軽口を叩き合います。生徒たちが、敬意と親しみを込めて「国王陛下!」と挨拶すると、彼は気さくに手を振って応えました。


「今日は、君に相談があって来たんだ。他でもない、貿易協定の話をしようと思ってな」

「貿易協定?」

「ああ。君のところで開発された新しい保存食の技術と、我が国が交易している南の大陸の香辛料。これを組み合わせれば、世界を変える商品が生まれると思わないか?」


 彼の目は、少年のような好奇心と、王としての鋭い洞察力で輝いていました。

 離婚、追放、農業、革命、そして同盟。私たちの物語は、一度は終わりを告げたはずでした。しかし、それは間違いでした。私たちの関係は、形を変えながら、今も、そしてこれからも続いていくのです。


「面白そうなお話ですわね。詳しく聞かせていただけますか?」


 私は、泥のついた手をスカートで拭いながら、彼に微笑みかけました。

 クラウスも、満足そうに笑い返します。

 私たちの未来には、まだたくさんの挑戦と、新しい発見が待っている。この緑の道は、どこまでも、未来へと続いているのですから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ