第5話
「どうかなさいましたでしょうか?」
「任命式のための面会に来ました。リベラ・スタニスです」
「リベラ・スタニスで間違いないですか?」
「はい」
私、何か変なこと言ったかしら?
「すいませんが、今日の予定にはスナニス家の名前はございません」
「えっそんな。何かの間違いでは」
「いえ、ございません」
そんな〜
やっぱりフリックのイタズラだったのかな。
そしたら色々筋が通るし、絶対フリックのイタズラだわ。
かなり恥を晒したから、覚悟してなさい。
フリックを疑っていたら、話に混じってきた。
「なぜ通れないのだ?衛兵」
「失礼ながら、お客様のリベラ・スタニスはリストにないのです」
「執事のフリック、どう説明するんだい?」
恥をかかせたからには覚悟しておきな。
「失礼、多分名前をリベラ様が間違えていると思う。リベラ・ロルザロットでもう一度確認してくれないか」
衛兵は詰所に戻り確認しにいった。
リベラ・ロルザロット?ロルザロットって確かフリック本名じゃ…
「確認いたしました。リベラ・ロルザロット様そして…フリック様、ようこそ王宮へ」
あれ?なんか王宮入れちゃったんだけど、本当に王と面会するの!
入れ替わったから名前も入れ替わっちゃだ。正直言って
「…ロルザロットかっこわる」
「ん?何か聞こえたような」
「なんでもないですよ。フリック様」
「まださま呼びですか、いい加減やめてください」
門の向こうには、手入れの行き届いた広大な庭園が広がっていた。
まるでどこかの貴族が夢見た理想郷――左右対称の花壇に咲き誇る色とりどりの花、噴水の水音が静かに響いている。
そしてその奥に見えたのは、白亜の壮麗な宮殿…美しい。
太陽も眩しい、うん。眩しすぎるな。
それにしてもこの軍服熱いな〜。
「ねーフリック暑くない?。何か冷たいものはないの」
「冷えたウォッカならあります」
「そんなもん飲んだら、ぶっ倒れるわ。何か最もジュース的な」
「ございません。腐るので、それよりウォッカはいかがですか」
しつこいな、そんなに酔わせたいのかな。
そんな話をしていたら、王宮にたどりつちゃった。
五階建ての宮殿…目の前にすると迫力が違う、めっちゃでけい。
宮殿の扉が開き中から人が出てきた。
「リベラ様、ようこそいらっしゃいました。方々がお待ちしております。ご案内いたします」
「早く帰りたい」
「ん?」
しまった、つい心の声が漏れてしまった。落ち着くんだ私ー。
「いえなんでもありません、少し眠気が取れないもので」
「王様から直々に任命されるのに余裕そうですね」
まずい、あの執事に失礼を言ったかも。
「まーですがそれくらいが良いかもしれませんね。喋れなくなって恥をかいたもの過去多数いましたゆえ」
王宮の執事についてゆき、廊下を進み暗いところ入ると執事は振り向いた。
「こちらの方々とお待ちください」
そこにはたくさんの軍服姿の青年がならでいる。
この人たちは一体何用で並んでいるんだろうか。
「ねー、フリック。ここに並んでいる人たちはどなた達なんですか?」
「前に並んでいる方々はリベラ様と同じく伯爵に任命されるものです。最近辞めたものも多かったから、こんな大勢になったんです」
そういうことね、それにしても多いね。1 2 3…13人も!どんだけやめたんだよ。
「では、私くしフリックはここで失礼します。一緒に参れませんが無事を祈っております」
えっ。行っちゃうのちょっとそれは怖るよ。心の整理できてないのに。
フリックは、来た道を戻りどっか言ってしまった。
「一人じゃ怖いよ」
そんなこと愚痴っていたら、前の人が振り向いた。
「深呼吸をすれば緊張とれるよ」
なんてキレなお方なんだろう。いけない、私といったら。
とりあえず言われた通りに深呼吸を。スー…ハー
「ほんとだ、ありがとう。お名前をお聞きしてもよろしいですか?」
「ユリウス•オルドレアです。そして貴公子の名前は?」
「リベラ•ス...ロルザロットです」
「今後ともよろしくです。失礼ながら申しますが女性の伯爵は珍しいですね」
「そうなんです?」
言われてみれば女性伯爵は聞いたことがないな。
「私は知る限りだとあなた様だけなのです。過去の事例はありますが。大抵は家の事情が多いのですがリベラ様そうなんですか?」
絶対言えない、朝起きたら伯爵になってたこと。言えないと言うより信じてくれないが正しいね。
「ちょっと...」
「失礼した。深堀はやめましょう」
言いたくないじゃない、言ったところでなんだよなー。
ガチャ
扉が開き、拍手が聞こえてきた。
「ついに始まった」