第4話 朝食
しかしフリックの完璧な着地でそのまま馬車へ直行し放心状態のまま私は王宮へ向かった。
「……お嫁に行けない」
「自己責任です。首を切られるよりはましです」
「どう責任取ってくれるんだよ」
しかしフリックは冷たい目で私を見ていた。
「知りません」
悔しかった。突然あんなことになるなんて。私ってついているのか、ついていないのかどっちなんだろう。それより……
グ~(お腹が空く音)
「お腹空いた……ペコペコ」
起きるのが遅かったから。食べる時間がなかったんだよね。さっさと着替えてご飯食べとけば良かった。落ち込んでいると、フリックがバスケットを渡してきた。
「そんなこともあろうかと、サンドイッチを作っておきました」
「フリック! 見直したわよ。ただの変態執事ではなかったんだ」
「失礼だな! 変態執事とは、しば……」
おっと、何かを言いたがったのだろうが私は伯爵。そんなことを言ってしまえば、かなりの罰を受けるのだ。悪用してやろっと……楽しみだ。
「いただきます」
パクパク。
私がサンドイッチを食べている間、気になったことがある。それはフリックの足が、乗ってからずっと――びくびくしているのだ。
もしや、先ほどの着地で足を痛めてしまったのだろうか?
思わず、フリックをジーッと見つめてしまった。
「何か顔についてますでしょうか? リベラ様」
「いや、貴様の足が震えているのが気になってな~。足を痛めたのか?(ニコニコ)」
「そんな無様な真似、私がすると思いますか?」
「じゃー、立ってみなさいよ」
思わず笑顔を浮かべてしまった。立てと言ったとたん汗までかいてる。確定だな。
「では……証明して差し上げましょう」
フリックは立ち上がり、堂々と足の健在であることをアピールしたのだった。
「わかった、私の間違いだった。座ってよいぞ」
フリックが座ろうとした――その瞬間だった。
バリバリッ。
両足からとてつもない音がして、思わず馬車の運転手も振り返ってしまった。
「足が~!」
「……」
「ヒエ~」
「フリック……なんかすまない」
フリックがもがき苦しみ、どうにか座ったと思えば、我々は王城の前であった。
私はさっさと馬車を降り門番に聞きに行った、その頃、私がいなくなったのを確認したフリックは、馬車で嘆いた。
「メイドのリベラに伯爵をやらすのは間違っていたかもしれない。これ以上しゃべるリベラにばれるからやめとこ」
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