第2話 着替え
振り返ってみよう。
私の名前は、リベラ・スタニス。家出してこの屋敷で働くメイド…だったはず。
昨日のことを思い出すんだリベラ!私が何をしていたか。
昨日は確か…
何も心当たることがない。
いつも通りメイドたちのエプロンとベッドシーツの洗濯をしていた。
その後メイドたちで晩御飯を食べ…そうだ。そこで体調が悪くなって。残りの仕事を同僚のリーニャに任せて…記憶がないなそれ以降の。気を失ったのか?
「んー、ますますわからなくなってきた」
現在伯爵とフリック様が言ってたけどイタズラも考えられる、他のメイドに聞いてみよう。
ドアを開け2階の廊下へ出ようとした瞬間だった。
「リベラ様何をなさっているんですか?」
「リーニャ!」
ちょうどいいところにいた。リーニャならこの状況を助けてくれるはず。
「リーニャ、助けて。フリック様が私に伯爵なんて言ってくるんだよ。どういうことか教えて」
「何をおっしゃるのですか?リベラ様は伯爵ですよ。3日前ほどに王の命で伯爵に任命されたではありませんか」
だめだ。リーニャまで洗脳されてしまっている。本当に私は伯爵になってしまったようだ。
「今日はその任命式ではありませんか!早くお着替えください。着替えの手伝いをしますので部屋に戻りましょう」
フリック様が言っていた王との面会とはそういうことか。だとすれば本当にまずい状況だよ。
私は急いで部屋に戻り着替えを探した。
「どのドレスが任命式に合うんだ。伯爵だから軍服を着た方がいいのかな?」
前の主であったご夫妻がこの屋敷を出てからというもの、女性用のドレスは一着もなかった。なのに今、私の目の前には三十着もの豪華なドレスが並んでいる。それにしても...
私は、パラレルワールドに来てしまったのか? それとも夢なのか?