誰かに似てる人
昨晩は、散々だった...
ドラマの途中で時間が止まるは、また謎男が来るは...
謎「エキストラとして、オーディションしてあげるから」
「これはドラマじゃない!現実と時空の狭間を巻き込んだファンタジーだ!」
佐「なんなの...。」
るいは、新しい仕事先が決まるまではアルバイトで繋ごうと思い、
応募したところ、コーヒーショップのカフェ店員のバイトに決まった。
お昼頃から夕方までのシフト。
全身にコーヒーの香りが染み付いてる...いい香りだけど...
佐「マジか...髪の毛までコーヒーの匂いする」
週5くらいは行けると、平日のほとんど毎日バイトのシフトを入れて
頑張っていた。
職場の人たちも優しいし、話したら、同じような経験した人もおり
そんでもって店長の器が大きい。
今日も穏やかな時間が流れてる。
THE平和だ。
店内のBGMも相まって、優雅なバイト先を見つけて みんなの心もおだやかになっていくのがわかる。
(チャリーン)店ベルの音
一人の若いスタイルのいい男性がご来店された。
「いらっしゃいませ。こちらの席へどうぞ」
カウンター席へご案内すると、男性がコーヒーを頼む。
わたしがお客様にお出しすると、わたしは固まった。
佐「(この人...どこかで...)」
男性「あの...何か?僕の顔に何かついてますか?」
佐「いえ!失礼致しました!」
職場の人が裏で小さい声で「スタイルいいわよね!モデルみたい!」「イケメンじゃない?」とお客様の容姿に見とれていた。
「ありがとうございました!」
あとで、裏に行った時言われたのが
「佐々城さん、見とれてたんでしょ!カッコいいものねー!あのお客さん、」
「恋?やっぱり恋しちゃった?」「若いうちよ!」と恋愛話で盛り上がり、
わたしは違いますと返したんですが...にぎやかな空気のままシフト時間を終えて帰宅。
イケメン?かと言われるとイケメンだったかも。
スタイルは確かによかった。
うーん。ドラマの俳優のほうがわたしは好きかな。
佐「はぁ...。なんかよくわからない一日だったなぁ...」
明日のシフトを確認すると、夕方。
コーヒーの香りがすごい...
先にシャワーを浴びて、それからご飯。
シャワーを浴びながら、ふと思い出す...
今日お店に来たお客さん...あの顔どこかで気がするんだけど...
誰なのか...
考え事をしていると、シャンプーが目に入り 痛みで涙が出た。
カチッカチッ)
時計の音
カチッ!)時計が止まる
佐「洗ったけど...若干赤いかも...明日には治ってるかな...」
るいは、時間が止まったことに気づかず
目を洗う。
すると、また玄関の方から ガチャン!と聞こえる。
コツコツと足音が近づいてくる。
扉が開くと、謎男が「よ!泣き虫ちゃん!」と言いながら土足で入ってきた。
謎「君ってよく泣くね~」
佐「...。」 もう、言い返すのとかもめんどくさくなり黙っていると
顔を覗き混んで、頭をポンポンと この前みたいに撫でてくる。
謎「あれ?なんで黙ってんの?もしかして怒ってる?
あ、勝手に入ったらから怒ってる?ごめんね」
黙っているのも我慢の限界があるようで...
るいは、頭の上にある謎男の手を振りほどくと
溜まっていた言葉をぶつける。
佐「あの!人の頭をポンポンするの、やめてもらえますか?
それに、泣いてませんし!毎回毎回勝手に上がり込んで...
なんなんですか!」
謎「怒らせたのはごめんて!わかったよ。次からチャイム鳴らすからさ...」
佐「そういう問題じゃない!そもそも、人の家に来る事態変なんですよ!!
わたしとあなたは親しいわけでもないんですから」
溜まっていた鬱憤を、まだ出会って間もない 名前も知らない男に...
今までのストレスを他人にぶつけるって...最悪。
謎「あ、この前言ったエキストラオーディションの事なんだけど
もうすんだから。」
佐「は?まだ何も...」
謎「君は、オーディションには落ちました。
けど、しばらく様子見... かな?」
そもそもオーディションとか、全くわかってなかったのに
急に芝居とかドラマとか喜怒哀楽の管理?コントロールできてるかとか
もう......!わけわかんない!
謎「まぁ、時間欲しいみたいだし また来るわ。
次は、ちゃんとチャイム鳴らすんで その時よろしく~ んじゃ!」
また来るんかい...っていうか彼氏か!
友人でもない親しくもない、ただの知り合った謎男。
なんで、わたしのところにくんのよ...ってか誰!?
佐「あ"ーー!」
疲れがたまる。
会社員してた時のほうがしんどかったかもしれない。
でも、素性を何にも教えてくれない男に出会ってしまったほうがつらい...。
次の日、バイトに行き、いつも通り仕事していると、
そこへお客様が。
昨日も来てくれた、若い うちの職場の間でもイケメンだと有名になりつつある
男性が来店された。
「ブレンドコーヒーください。」
職場の人「今日もご来店ありがとうございます!こちら、ブレンドコーヒーになります。」
「ありがとうございます」
佐「...どこかで見た顔なんだけど...(小声)」
昨日もご来店された若い男性。
他の店員と話しているとき、笑顔が優しくて
口調が聞き覚えのある話し方だった。
けど、思い出せない。
昔どこかで会ったのか、それとも勘違いなのか。
店員「雨降ってきましたね...」
店員2「今日、夕方以降どしゃ降りになるって天気予報で言ってましたから」
店内から見える、外の雨 歩いてる人がほとんどいない。
若い男性は、ごちそうさまでした。と言ってお会計を済ませると
店の外を出ようとする。
男性が座っていたカウンター席に、傘が置いてあり
忘れているのに気づいてない様子だった。
るいは、雨降ってて 傘置いてくって そんなことあるのか?と疑問に持ちながらもすぐ追いかけて届けた。
佐「あの!!お客様!傘、忘れてますよ、」
若い男性「あ!ありがとうございます!てっきり家に忘れて来たのかと...
忘れっぽくて...(汗)ほんと、ありがとうございます!」
佐「いえ...あ、あの!」
どうしても気になった。
この人は、不思議と知っているような気がして...
若い男性「はい?」
佐「わたしの勘違いかもしれないんですが...以前、どこかでお会いしませんでしたか?」
若い男性「さぁ...ちょっとわからないですが、この道はよく通るので もしかしたらすれ違ってるかもしれないですね。」
そんな会話をして、お客様は帰って行った。
もしかしたら、わたしの勘違いだったのかもしれない。
似てる人なんて、たくさんいる。
きっと...気のせいだ。
※これらに登場する人物や、ストーリーはすべてフィクションです。