第1章 出会い「霧華」9
「あ…あれ?…ここは…」
目が覚めると知らない部屋で寝ていた
真っ暗な部屋。物1つ置かれていない
壁から微かに入ってくる光で朝が来たのはわかる
「ん?…俺はいつの間に自分の寝袋に入ったのだ…?」
身体を起こし寝袋から出る
視線を上げ周りを見渡すと
部屋の奥の方に扉が見えた。
「とりあえず…ここに居ても仕方ないし…それに
霧華はどこに居るのだろうか?」
扉を開けると見覚えのある廊下に出た
それは昨日、霧華と共に帰ってきた玄関口
反対側にはリビングへと繋がってた
俺はリビングへと足を運び扉を開ける
カチャ
そこには噴水広場の方へ身体を向け
椅子に座り読書をしている霧華の姿があった
霧華は小金に気付き視線を向けて
「おや…やっとお目覚めですか小金さん?
よほどいい夢が見れたのでしょうか?クスッ」
「あ…黒崎さん…はい、おはようございます」
「む…昨日までは呼び捨てでしたのに、今さら
上の名で呼ばれてもムズムズするので止めて下さい
それに敬語も。」
「あ…わ、わかりま…いや、わかったよ。霧華
おはよう」
「はい。おはようございます小金さん」
いい夢が見れた…か…少し違うが今のやりとり
の光景はかつて両親と暮らしてた頃の思い出が
蘇ってくる。
少し懐かしくなり、暖かい感情に浸っていたが
すぐに我に帰る言葉が聞こえた
「お腹は空きましたか?朝食にしませんか?」
「いえ!空いてません!」
「それでは、お茶でもー」
「いえ!お構いなく!」
「むぅ…また振られてしまいましたね」
少しして
「小金さん、小金さん」
「うん?なんだ霧華」
リビングで2人で読書をしていると
先に霧華の方から声をかけてきた
なんだか嫌な予感しかしないが…
「小金さんはいつから旅をされてますの?」
ふ…普通の質問でよかった…
「そうだな…まだ4年くらいだよ。あまり長く
家を空けることもできないから、実は普段は
すぐに帰宅してるんだよね」
「ふむ…少し気になったのですが、
小金さん、あなた何歳ですか?」
「え?14だけど?10歳から昨日まで同じスタイル
で生活してきたけど?」
霧華が固まった