第1章 出会い「霧華」 5
「お茶もございますよ」
ドックン、ドックンと心臓の鼓動が強まる
お茶だ…そう、ただのお茶じゃないか…
俺は何をそんなに恐れているのだ…
現に目の前に出されたお茶(?)は見た目は
普通の紅茶だ。多分ストレートの赤だと思うが…
これの厄介なのは香りがしないのだ…
紅茶なのに?お茶なのに…?香りしないの?
ズズズー
霧華が勢いよくお茶(?)を飲んでいる…
うーん…絵にならねぇなぁ…
「…?どうかされましたか?」
首を少し傾げて尋ねてくる。
「ん、あ、いや。なんでもない」
ええい!どうにでもなれ!
ガタガタ震える手でカップを掴み
口へお茶を運ぶ…そして嫌な予感は見事的中する
「ぶふっ!!」
飲みきれずに吹き出してしまった
その勢いでテーブルに頭を打つ
「おや…お茶も静かに飲めないとは…さすが
闘気士マスター(笑)ですね」
いや、お前も静かに飲めてなかっただろ!
てか、マジでなんなんだこの液体は…?
「あ、あのー霧華さん?これはどういった茶葉を
お使いで?」
「…?茶葉…ですか。なんのことでしょうか?」
「え?お茶なんでしょう?」
「ふむ…この様な感じの男女がテーブル越しに飲む
形式をお茶をすると言うのでは?本に書いてありました。」
「違うから!そういう意味で聞いてないからね!?
てか最初にお茶もあるって言ってたじゃん!」
「そう言えば、言いましたね。あっ。おかわりも
ございますよ」
「…いえ。お構いなく(?)」
ダメだ…会話にならん…
頭もクラクラする…
「おや…振られてしまいましたね」