第1章 出会い「霧華」 4
翌朝
日の出とともに目を覚ます
「はぁ…まさか村に宿場がないとは…
ここまで来て野宿するハメになるとは思わんかった」
起床後すぐにテントや寝袋を片付けながら
考えていた
果たして彼女は今日来てくれるのだろうか
期待している反面、不安にも感じる
こんなことは初めてだからな…
今まではその日に話をできても手応えが少なく
すぐに街を出て、次の街へ移動していたから
その街に居続ける事は稀であることと
小さな街を転々と巡っていることが恐らく原因なのだろう
片付けが終わり、昨日話をしていた噴水広場に
移動する。期待と不安を感じながら…
だが、その不安は杞憂だったみたいだ
そこに彼女の姿が見えた
「おや…レディを待たせるとは…さすがは
闘気士マスターと言った所でしょうか」
「お待たせしてすまないな。しかしな…
今まだ朝の6時半だぜ…?一体いつから待ってたのだ?」
ぐうう…と腹がなる。
「…立ち話はまあ後でも。何かお食べになります?
昨日作った物が余ってますので」
すっごい恥ずかしいっ
小さな村とはいえ宿探しに夢中になって
夕飯食べてなかったからなー
「う…面目ない…いただきます」
そう伝えると彼女は昨日出てきたドアへスタスタと真っ直ぐ戻り手招きしていた。
あれ…?なぜ彼女の家に?
ま、まぁこの時間帯まだどこも開いてないし
ありがたく頂くことにした
しかし、このあと俺は後悔することになる
「さぁどうぞ上がってください、遠慮はいりませんよ」
「お…お邪魔します…しかし、いいのか?まだ俺達
会うの2回目だぜ?」
「…? 別に構いませんが。本以外何もないですし
ナニかしでかす様ならシバき回せるので」
うぉ…こわっ…
確かに彼女なら俺1人どうとでも出来ると
思うけどさ
リビングに案内され、見渡すとキッチンと
テーブルと椅子が1つだけ
綺麗に使われていると思うのと、少し
殺風景に見えなくもない
単に不要なだけかもしれないが…
「どうしたのです?早く座って下さい、すぐ持ってきますので」
「あ、ああ。すまない。それじゃ失礼して…」
席に着くこと5分程
彼女が料理を持ってきてくれた
「さぁどうぞ、召し上がって下さい。温めなおしてます」
「ありがとう、いただきます……むぉっ?!」
「…どうしましたか?」
「……ず、ずいぶん…個性的な味ですね……」
なにこれっ?!なんだこれ?!
見た目はいい…シンプルに野菜炒めっぽい
しかし、なんだこの辛いのか甘いのか苦いのか
酸っぱいのか…舌と胃が焼けるっ!?
「ふむ…なんだか含みのある言い方ですね
ちゃんと味見はしてるのですがね」
うそっ?!まじで!?ホントにこれ食べてるの?!
「…お口に合いませんでしたか?」
ちくしょうっ!それは反則だろっ!
「い…いや…世界中旅しているが、似た料理を
見たことないだけだな…う、うん。美味しいよ…(?)」
パアッと霧華の表情が明るくなる
目のハイライトはないが…
そんなに喜ばれると、ますます引っ込みがつかなくなる
のだが…
ダラダラと冷や汗が出るのが自分でもわかる。
「あっ。そうです食後のお茶もございますよ」
「…」