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第3作品目:三日月島の黄金郷伝説

 太平洋に浮かぶとある海域には軍も近づけない金星からやって来た金魚人の暮らす島がある。


 調査命令を受けたたまごの漁師は、考えた末に────────。


 この作品は企画投稿第三作品目、アクション〔文芸〕でした。


・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。


 太平洋のとある場所には三日月島と呼ばれる島が浮かんでいる。大きさは日本の佐渡ヶ島くらいはあるようだ。この島の近海にはアメリカの空軍も日本の潜水艦も近づかない、特別な海域があるのだった。


 そこは金星に住んでいたと言われる金魚人が移り住んでいた。遥かな太古より、金星の厳しい環境から逃れて来た人々が暮らす金星人の避暑地だと言われている謎多き海域だ。


 ────アメリカ軍すら近寄らないのには理由がある。金魚人の住む三日月型の島には、特殊な磁場が発生しているからだ。近づき過ぎると磁場のもたらす結界により、金魚の金の糞にされてしまうらしい。


 まさに現代にまで残る黄金郷だ。何人もの探検家、研究チーム、軍が密かに調査に乗り込んだが、誰一人帰って来るものはいなかった。


 金の匂いを嗅ぎつけて最近では中国の船までやって来るようになった。近づける限界まで接近してから、特殊な防護幕を幾重にも施した海中用ドローンを用いるなど、最新機密兵器を投入しても突破は容易ではないと言う。


 金魚人の黄金を求めていつしか三日月島は、黄金を巡る争奪戦へ変わっていった。



 ……しがないたまごの漁師のおいらも、出資者の御嬢に調査を命じられ海上を漂っていた。


 お金持ちの間でも、誰が最初に黄金郷の謎を解き明かすのか競争になっているらしい。


 まったく、たまご使いが荒い。たまごだけにハードボイルドな姿を見せたいものだが、今は鮫の大群に囲まれてそれどころではない。


 お金持ちが揃っているのなら、 もっとサルベージに向いた船があったはずだろうに。


 もっとも強引なサルベージをすると、金魚人が怒ってしまう。大挙押し寄せて来て船を沈めてしまうのだが。


 各国の軍も工作員もお金持ち達にも手が出ない魔境の海域。まったくもって御嬢の要求は厳しいものだよ。



 ────嘆いてばかりはいられない。そこで私……おいらは考えた。秘密兵器として老舗和菓子店三日月堂の新作の和菓子『秋桜(コスモス)』を用意した。コスモスの花を(いろど)る薩摩芋を使った芋羊羮にしたものだ。



 ────秘密兵器が和菓子なんて何の役に立つのかって?



 チッチッチッ、甘いよ君達は。砂糖を入れ過ぎた卵焼きのようだよ。


 あの手この手で上陸する必要も、戦ってまで強引に入る必要もない。


 手土産を持って、彼らに来てもらえば良いのだよ。


 ────見なさい、この食いつき具合を。まさに入れ食いさ。


 用意した和菓子の数は限られている。なんせ限定品だ。いつでも手に入るとは限らない逸品だぞ。


 ────さあ諸君、極上の和菓子が食べたいのならわかっているね?

 

「獲ったどぉ〜〜!!」


 流石は金星からやって来ただけの事はある。我先にと抱えられるだけの黄金の糞を持って泳いで来た。


 泳ぎが達者だからなのか、金魚の黄金の糞だからなのか、あの大きさはかなり重たいはずなのだがな。



 謎を解かないで何をしに来たんだと、御嬢以外の口うるさい連中に言われそうだ。


 ……良いかね。金の卵を産む鳥の話しを知らんのかね。この島の謎は解いてはいけないのだよ。


 謎を解けば金魚の金の糞は、ただの金魚の糞しか産まなくなるのだ。


 ────偏西風のいたずらか、急な突風で波が押され、黄金を積んだ私の船は結界を越えた……。

 お読みいただきありがとうございます。


 短編投稿時の後書きにも書きましたが、金星人が入るのでジャンル的にはSFなのか迷いました。現代世界を織り交ぜた架空の物語ではありますが、私達に知らされていないものが眠っている可能性は否定出来ません。


 短編作中では、漁師のたまごになっていました。書きながらアイデアが出たせいですね。


 たまご自身が自身を呼ぶ時は「私」なのですが、変装しているために「おいら」とするはずが短編では、「私」になってしまってました。


 再掲載版もあえて前半は「おいら」呼び、途中わざと混合させてみました。小さなことなのですが、失敗から学ぶ良い例になりました。


 この作品から和菓子屋や金星人と金魚人と某国達の関連が出始めます。

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