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第36作品目:僕は断固転生を拒否する。パスワードもトラップも回避してみせます!

 僕は久世乃 英雄。見ての通りの名前のおかげで、毎日のように起きる転移転生の状況を乗り越えるために頑張っている高校生だ。


 そんな僕に痺れを切らした転移先の王樣は、最強の刺客を送って来たのだった。


 企画投稿時はコメディー〔文芸〕作品でした。


・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。




 

 僕は……生命を狙われている。なんでそう思うのかは実にわかりやすい。信号が青になったのを確認して、渡り始めた時にやって来る転機。狙いすましたようにそこに訪れたのは、止まる気配のない猛スピードの車────僕は今日も強制転移を防いだ。


 僕の名前は、久世乃 英雄。名前を見て、フラグが立っているのが察していただけるだろう。両親も何者かに意思を誘導されて付けたに違いない。


 そう、知っているんだよ僕は。転生したからって、何もかも上手く行くような甘い世界に行ける事が保証されていないと。異世界たからって、チートが得られるとは思っていないのだ。


 だから転移転生は断固避けたい。細心の注意を払っていてさえ、こうして僕は狙われるわけだが。


 引き籠もっていられるならそれは良い。だけど、僕はまだ高校生だ。学校をサボるわけにはいかない。怯えていては、たとえ転移転生をかわせたとて人生が詰む。


 つぎに厄介なのが暗証番号の入力、パスワードを打ち込む事だ。これも罠を仕掛けられる可能性が高いものなのだ。


 僕の従兄弟はパスワードを入力して消えた。だから僕はスマホのロックだってしない。


 次々と沸いてくる転移チャンスをとことん潰すのだ。アルバイトの給料だって、(ママン)に頼み引き出して来てもらう。


 僕の母である以上、彼女も転移リスクを追うわけだが、あくまで僕がこの世界へしがみついている限りは大丈夫だろう。


 ────そして最大の難関がやって来る。そんな僕を、好きだと言う娘が出来た。


 ……まずい、フラグが立ってしまった。


 彼女はあれだ、転移先の王女か何かで、強制転移を断固拒否する勇者な僕を、無理矢理連れて来るように(パパン)王から頼まれたんだ。


 ────だって、凄くあざと可愛いから。油断すると魂を持っていかれる。


 罠だ。どう見ても罠だ。彼女は何かしら、パスワードの必要なサイトに登録させようとする。


 なんて適応力だ。さすがは王族、侮れない。文明レベルが実は高いのか。


 だが僕にも意地がある。登録はパスワードから何から全て彼女に任せた。情報はフルオープンだ!!


 呆れて離れてくれるかと思ったのに、なぜか信頼され距離が近くなる。


 やめろぉォォ〜、手を繋いで歩くなぁぁ〜!!!


 リア充フラグを知らないのか。バカップルが強制転移するんだぞ。


 あぁ、それが狙いだったのか!


 ────そう、僕は今、敵の思惑に乗り心を奪われかけている。


 ……ハーレム勇者め、だらしないと思ってバカにしてすまない。


 これはなかなか堪えがたい。僕でなければ理性などすっ飛んでもおかしくない。


 ────だが舐めるなよ、王女め。僕は久世乃英雄。『救世の英雄』なんだ。


 心のざわつきなどで転移されてたまるか。魅了の眼でも、魔法の媚薬でも耐えてやろうじゃないか。


 絡みつく腕を振り払う……僕は堕ちんぞ、決して。


「英雄君ってクールで真面目だよね。今度パパが会いたいって」


 マジか。王様からは逃げられない。王女の至福の笑みは反則(チート)だ。


 ────僕は久世乃 英雄。救世のヒーローなどではなく、ただの、クセのひでー男だ。

 お読みいただきありがとうございます。


 転移転生の罠は、あちらこちらに張り巡らせられているものです。


 避けた先が召喚陣だった方もいるのではないでしょうか。


 厨二病をこじらせて、進学した事で妄想が一層膨らんだ主人公の今後はどうなるのでしょうか。

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