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第2作品目:たまごの探偵と怪死事件簿

 わたしはたまご。たまごの探偵である。雪景色にたまごの白さは目立たぬ故に、踏み潰さぬよう注意していただきたい。


 探偵とは言ったものの、たまごはたまごだ。ひよこですらない事をお忘れなきよう。



・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。



 こちらは推理作品になりますが怪談、死因話しなど残酷に感じる表現が出て来ます。少しでも怖いのが苦手な方は、ブラウザバックをお願いします。

 私はたまご。たまごの探偵だ。探偵のたまごではないのかって?


 たまごが先かにわとりが先か、君は答えられるのかね。つまり、そういう質問を君は私へ向けたと言う事だ。


 今は私は怪異現象の調査の為に、雪山がある地域の都市まで来ている。


 この地域では毎年のように雪解けの季節になると、原因不明の病による怪死事件が起きているからだ。


 怪しい死因と言ったのは、もともとが体力のない小学生の子供ばかりだからだ。


 大方流行りの病の悪化で、身体が変異したのだと思われる。調査費用は先払いで出ている為、私としてはラッキーな仕事ではある。


 不謹慎と言うのかね。残酷なようだが死んだたまごは孵らないのだ。私はそうさせた原因を調べに来ているだけなのだから勘違いしないでくれ。


 まあ慌てる事はないのだ。宿には温泉もあるし、二、三日のんびりしても、御嬢には怒られまい。



 ────だが事件の方が有能な私を呼びに来る。なんと私の部屋を担当する仲居さんが、たまたまこの町の出身で、幼い頃に姉を亡くしていたのだ。 


 彼女から聞いた雪だるまのお化けの話しは眉唾なものだったよ。子供にありがちな想像性が生んだ悲劇やも知れぬ。


 結論から言おう。彼女の姉の亡くなるきっかけと思われる事件は真実だ。


 子供たちの悪意のあるなしは関係なく、雪山への冬期遠足中に友達を殺したのは事実だからだ。


 これは首謀者に当時の地元の有力者の子供が関わっていたことや、加害者側の多数の保護者、学校側の隠蔽体質がもみ消した紛れもない事件だ。


 町の者には伝えられていないだけで、警察の調書、裁判になる前に裏で取引きという名の圧力があったわけさ。


 新聞の記事には事実だけが淡々と載せられていただけだ。名も知らぬ他所の地域の子供が雪山の遭難した、それが世間に伝わる事実。


 伝えただけでもマシなのだと思いたいな。それでも反吐が出そうだ。


 ……そして怪死の理由はアドレナリンの幻覚作用によるもの。または体力のない子供が寒い雪山への滞在で、体温調節の麻痺による異常代謝や代謝機能の破壊を起こしたと考えられる。


 低体温症とも言うな。寒さによって発生したり、悪化したりするいわば 寒冷障害だ。


 最近の異常気象による気温の落差による寒暖差アレルギーも、こうした症状に近いと思われる。



 ────すまん、それっぽい事を色々と言ってみただけだ。専門家ではないので叩かんでくれよ。たまごだけに割れてしまうからな。


 姉を亡くしたという仲居さんは、雪山の恐ろしさを誰よりも知っていた。寒さへの知識があったから、無理なく雪だるまを作り、動いて暖まっていたので手袋と帽子を外した。


 なぁに、帰り時間までわずかな時間ならば霜焼けにもなるまいよ。


 人体の不思議は面白いものだ。 例えば温泉は温かい、熱いくらいのときもある。私はそう認識している。


 だが、そういう思い込みをして入った時に氷水だとしたら、かなりドッキリするだろう。


 つまりだ、今回の事件もそれに近い。身体が過敏になっている上に、過剰反応を引き起こしたのだ。暖かくなったのに、身体は寒いと勘違いする。


 暖かくなるほど身体は逆の反応を引き起こしてしまうのだ。対処の方法は熱い冷たいを根気よく認識させ、身体に覚えさせることかな。



 何、適当に言うなだって?


 最初に言ったであろう。私ははたまごの探偵だと。事件の解決は医学の専門家や探偵の本家(プロ)に任せるとしようじゃないか。


 私はそれまでゆっくり温泉に浸かるのも仕事なのだよ。


 なに、たまごだから温泉に浸かると茹だるって?


 ははっ、それで美味しくなるのならたまご冥利に尽きるというものだな。


 ────あぁっ、やめろ食うな。料理ではない、冥利と言ったのだ。


 お読みいただきありがとうございます。


 短編投稿時にもあとがきに書きましたが、推理というには烏滸がましいものです。まさに、たまごだけにヒヨコでもないのでお許し下さい、です。


 たまごの探偵が何者なのか、シリーズ通して読んでも実はよくわかりません。たまごの擬人化なのか、たまごはたまごなのか悩んでは負けなのですから。


 投稿時の文字数はあえて888文字にしました。


 この作品のおかげで、たまごの◯◯で、なろうラジオ大賞専用にシリーズ化してみようとなりました。


 タイトルもワードの必要な事を忘れていてたまごをつけたけれど、シリーズ内でだんだんと『たまごの◯◯』と名乗るので、加筆版は修正してます。


 たかが一文字、されど一文字なのですよ。

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