第22作品目:たまごの王子はたまたまタマコンニャクウオを見つけるお話し
たまごの王子は、金魚人の作ったVR世界へとダイブした。
そこに広がる世界は彼らの理想の世界なのだろう。
VRほのぼの系になります。
企画投稿時はVRゲーム〔SF〕作品でした。
・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。
私は玉子の王子だ。何、読みづらいだって?
そう思って、呼び方をたまごの王子に変えたのだよ。
私が今いる世界は、金星人のマヤが金魚人のスタッフと開発した、ほのぼの系VRゲームの中の世界だ────
────ボチャリ。
開始早々、水飛沫をあげてダイブした。
どういう世界かわかるだろうか?
……殆ど水だ。湖だ。大海の中に湖の島があるんだ。ほぼ水だけで構築された美しい幻想郷。
たまごの王子ではあるが、流石に私にも取り巻く大海の海水の中に、淡水で出来た島の姿は見えないのだよ。
────裸の王様なら、水で出来た透明の島も見えたのだろうか?
ゲームだから浸透圧などは関係ない様子だ。しかし、たまごは沈むのだが。
どうやら私の王国は沈んでいるらしい。
……ふむ、金魚人の頭がどうなっているかを問うよりも、金魚人の憧れる世界は、この世界なんだと思うとしよう。
私だって、たまご愛に溢れた世界を作るとしたのなら、暖かい柔らかいたまごに優しい世界を構築する。
そう、転んでも落っことしてもたまごが割れない世界だ。
ある意味金魚人の作るこの──たまごの王子の王国は理想かもしれんがね。
水のおかげで沈むのが難点だが、衝撃は緩和される。
私は鮮度抜群のたまごの王子だが、たまごのじいやの中には海水で浮いてしまう事もあるようだ。
さて、遊びに来たは良いが何もないぞ、このゲーム。ゲームと呼べるものなのかも疑問だがな。
このVR世界慣れた金魚人達が金魚に乗って、水中遊泳を楽しんでいる。
私も乗って見たのだよ。たまごの王子用の、美しい白い金魚の背に。
優雅に水中を泳がせようとしたのはいいのだが、たまごと金魚の背中は相性が良くなかったようだ。
そもそもツルツルのたまご肌が滑って乗れない事に、私は沈みながら気付いたのだ。
深みに沈んでいくたまごの王子である私は、どうやら光の届かぬ深海へやって来た────
────そこにいたのは……私の世界に是非とも呼びたい逸材だった。
柔らかでぷるぷるした丸い身体。オタマジャクシかと思ったが、あれは蛙の子だったな。
この理想的なボディを持つお魚は、タマコンニャクウオというらしい。
水流に流されないように、岩壁にピタッと吸い付いて離れない。
私を助けてくれたようで、優しくツンツンしながら上層へと運んでくれた。
浸透圧も水圧もないVR世界で良かった。たまごはやはり沈むのだが。
金魚人の水の世界を堪能した私は、この世界の出口が空中にあることを思い出した。
タマコンニャクウオという、たまごの王子に理想的な乗魚は見つかったのは収穫だ。しかし帰るために必要なのは、トビウオのようだ。
……よしっトビウオよ、まずは沈むたまごの王子の国まで私を迎えに来るのだ。
何故かたまごは水に沈み、一定値以上の塩分濃度がないと浮かばないリアル設定。
殻だけにたまごに辛くないかね。
────君たちの大好きな金魚ビールに、我が同胞が活躍したのを忘れてないかね。
お読みいただきありがとうございます。
どこまでが淡水で、どこから海水なのか河口を見て思うことがあります。
産卵のために降ったり遡上する魚なら、海中に水で島でも区別が出来るのかもしれません。




