木樵の男〜葛藤する日々〜
超短編です。
サクッと読めるので、どうぞ。
オレは今日も木を切り倒す。
毎日、毎日、切り倒す。
だが、ちょっと待て。
これでいいのか?
はっきり言って、オレは植物が好きだ。
木だってほんとは切りたくもねえ。
でも、生きてくためには切らなきゃなんねえし、オレにだって養っていかなきゃなんねえ家族もいる。
でも、やっぱりオレは植物が好きだ。
「バカヤロー、おめえの仕事はなんだ。言ってみろ!」
「オレの仕事は、健やかな森の育成のため、古くなった木を切り倒して、自然災害の発生を抑えることです」
「よーし、わかってるじゃないか!」
そう、オレはわかっている。
むやみやたらと木を切っているわけではないんだ。
古い木は二酸化炭素の排出量も増えるし、増えすぎた樹木によって地面が隠れ、大地へ栄養が届かないために土地がやせ細る。
もちろん、わかってはいるんだ。
でも、オレは植物が好きなんだ。
ここは譲れねえ。
だからオレは木を切り倒す。
今日も変わらず、木を切り倒す。
何故かって、植物を守るためにも、余分な木を切らなきゃなんねえ。
それを思い出したのだから、迷いはねえ。
お読みいただき、ありがとうございました。
植物が好きだからこそ、伐らなければならない。
そんな葛藤でした。