Mind
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僕が話しかけようとした、その時。
「あれあれありぇ~?」
振り向いた先に、裏庭に通じる入り口を塞ぐかのようにして、3人の柄も趣味も悪そうな女子らが目に映る。
完璧に、狙ったかのようなタイミングで。
「うっわぁ…見てあれ、野田があんな格好で男に見られてりゅぅ~」
「マジ草だわぁ、よくあんな格好できるよねぇぇぇぇ~♪」
「ほらほら、そこの男子!はやくどっか行くか、犯すなりしな~?」
状況をすぐさま察して…彼女を守ろうと考えたが、、足がすくんで動けなかった…。
焦りが生じて、多くの可能性を考えてみた。。。。。だが、どの方法も通用しないリスクの方が大きかった。
ただ…
「どくの?犯すの?」
この場を動かない事だけはできるって判断した。
「なに…こいちゅ~、萎えりゅわ~」
「もぉぉぉぉぉ…いいやぁ、今日は好きピとも過ごさなきゃだしぃ…帰ろぉぉぉぉ…」
「は~?ったく仕方ないな~…この男子も開発できると思ったんに~?」
「「趣味キッツ~」」
「わかるようになるって~、知らんけど~?」
そんな楽し気な会話をしながら帰路を辿り始める3人。
その時に僕は…一人の少女を一時的に助けることができた。
「大丈夫…じゃ…なさそうだね、保健室行く…?」
フルフルと首を横に振る彼女。
「‥‥そっか…」
一瞬、保健室に行く事を説得しようとして出かかった言葉を飲み込んだ。
彼女の気持ちを少しだけ理解したからだ…。
このまま保健室に行って先生の治療を受ければ、傷の多さからイジメを疑われてしまうからだ…。
それはそれで良いだろうけど…イジメという事実が教員の間や生徒の間で噂にもなれば、更に酷いイジメが彼女を襲うかもしれない…。
例え例の3人が学校を退学になろうと…その後に待ち受けるのは、復讐かもしれない。
そんな未来に耐えながら生きるぐらいなら…現状のイジメを耐え抜いて、卒業を待つ他無い。
考え過ぎかもしれない。
それでも僕には、彼女の真意が見えた気がしたんだ…。
「じゃあ…僕が治療しますよ。裏庭の花壇まで歩けますか?」
彼女は一瞬だけ反応を躊躇ったが…
一度、首を縦に振った。
通う。