「何気ない日常」その2
「うわ、これは・・・」
見るからにいやらしげな本のタイトル、それにイラストも相まってよく本屋に売っていたと感じさせる程の本が見つかった。
「わ、私…………その…………………あう……」
これは言い逃れできない証拠、こんなもの家族にバラしたらトンデモナイのことになりそうね。既に泣いてるしどうしたものか。
「これ・・・その、良くないものよね?」
私は当たり障りのない言葉にノアちゃんはポロポロ泣き出してしまった。
「ひっぐ・・・ごめんなさい・・・わたし」
皆から“清楚”と呼ばれているのに本当はこんなものを隠し持っていたら皆幻滅でもしてしまうのだろうか?
「お願いです、捨てないでください」
泣き崩れても私のスカートを掴むことは離さず許して欲しいと懺悔される。
「の、ノアちゃん・・・」
「何でもします、ですのでどうか・・・どうか・・・」
ノアちゃんはそこまでして見られたくなかったのか土下座の体勢にする所で私は止めた。
「大丈夫だって♪お姉さんはノアちゃんがどんな子だとしても否定しないし怒らないよ♪」
私は子どもの意見を無下にしたり心を傷つくことはやらない、子どもの純粋無垢の言葉を理解しない人なんて信用できない。子どもが泣いてそれをバラすクズ以下の人間に成り下がることは死んでもやらない主義。
私は漸く触れた背中から手を伸ばして包み込むような形で抱きしめると私の胸の中で沢山泣いてくれた。こんなピュアな女の子に育ってくれて私は嬉しい、出会った頃は挙動不審で精神に異常を来す厄介な娘としか思っていなかった。だがそれでも私は愛した、いつかこんなふうに腹を割って話せるぐらいの関係になるために私は猛勉強したんだから。
「本当に、本当に言わないんですよね?」
最後の確認も私は笑顔で返す。
「勿論よ、だから“お姉さんに任せなさい”」
可愛い可愛い思春期の清楚娘、いくらでも泣いていい、いくらでも悩んでいいから一歩ずつ成長してね。
沢山の愛を感じながらも私は大好きな家族の為に勉強しないとね。