「何気ない日常」その1
仲直りを終えてユカリちゃんと愛を深め終えた所で学校へと行ってしまった、問題はここからだ。
「っ―――――――― 」
や、やることがない。家事はある程度済ませたし掃除する箇所も普段ユカリちゃんがやるからそこまで汚くない。
私は軟禁されてるしどうしようかな?寝ればいいと言われたけど残念ながら私の睡魔は全く襲ってこない。
どうしたものかと考え込むと一階からノアちゃんが降りてきた。
「・・・どうかされしたか?」
私はノアちゃんの事をまじまじと見つめるとある一つ思い出した。
「そういえばノアちゃんのお部屋って汚かったよね?」
私はふととあることを思い出し二階へと足を進めるとノアちゃんが塞がれた。
「わ、私の部屋は大丈夫です!ユイさんはゆっくりお休みしてください」
何やら見られたくないものがあるみたいね、私は耳にふーっと息を吹きかけて怯んだ隙に二階に足を運ぶ。
「あわわわ、大丈夫ですから!」
よっぽど隠し通したいものがあるのは余計に気になる。
「いかがわしい物が無いか見るだけだから何もしないよ」
と言っても私の背中をしがみつくように引っ張るから仕方なく立ち止まると是が非でも部屋の扉に塞がる。
「あのねノアちゃん、そういうことするって事はお姉さんに見られたらマズイものでもある証拠になるんだよ?」
「あう………うぅ……」
ノアちゃんの反応を察するに図星だと分かった、唸るように口籠る素振りは言えないことがある、ノアちゃんの特徴ね。
「お姉さんは子どもに手荒な真似はしないから見せなさい?」
俯いてもじもじとするノアちゃんに私はハードルを下げた、際どい物がどのラインになるか見ないと分からない、それに多感な年頃の女の子を正統派に生きろなんて軽々しく言うつもりはない、だって子どもだもん。
私は優しく退けると部屋の中を物色する。
恐らく本棚にあるピンク色のカーテンが掛かった場所かな、確かこの前も注意したっけ。
「・・・・」
ノアちゃんが大好きな物は二つ、一つは恋愛小説、そしてもう一つが日常漫画名前は忘れたけどこの二点に限る、恐らく前者が問題有り。
私は一冊の恋愛小説を取ると表紙は女性が夕日をバックに黄昏れている素朴なデザイン。普通の健全な小説にしか見えない、文章に問題あるのかと探るもノアちゃんが涙目になっていたので下手な詮索はしないことにした。
「大丈夫、本当に何もしないから♪」
家族の中でも上位に位置するぐらい気難しい女の子だと思う、引っ込み思案で毒を吐くけど触れてもいい領域の範囲が極端に狭い、そして何より自分に触れてほしくないと拒絶感を感じさせる程にノアちゃんは誰かに触れようとしない。
普通に触ろうとすると避けられるから触れてくるまで待たないといけない。
私は触れずに暗示の言葉を発すると別の本を手に取ることにした。