表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻影道 第六巻   作者: Saki
44/45

「命の灯」 その3

 誰も、見つからない、私の身体は既に限界を迎えている。それでも私は探し続けた。


「あぁん?テメェは………」


 少し歩くと誰かの肉を食らう化け物が見つかった。


「はっ!丁度良い今からテメェ―――― 」   


 煩い、私は目障りの機械を一撃で破壊した。心臓となる胸部に手刀で突き刺して機能停止させた。


 金属の破片が突き刺さって小指が取れたが気にしていない。早く、早く探さないと。

 

 私は二階の一番奥の部屋に入るとそこに壁に叩きつけられて埋もれているノアちゃんを発見した。


 両手で降ろそうとしたが私の肩腕が上がらなくなっている。だがそれでも私は肩腕だけで抱き締めると微かに心臓の鼓動を感じる。


 私は回復魔法で治療させると瞳が開いた。


「ユイさん………?」


 か細いがまだ生きてくれた、私は嬉しさのあまりにも大粒の涙を零し抱きしめた。私はまだ死ねない、後はユカリちゃんを………


 長く抱きしめていると背後から誰かが歩いてくるのを感じた。


 それは敵の足音ではなく見知った人の足音。


「ユカリちゃん?」


 振り返るとそこには服がボロボロで顔面傷だらけのユカリちゃんがふらふらとやってきた。肩が折れてるのか動きが壊れたロボットのようだ。


 ユカリちゃんは私を見つけると安堵した様子でそのまま崩れるように倒れようとしたが何とか支えられた。


「ゆいゆい………良かった」


 身体が血でびっしょり滴っている、可愛い顔がズタズタになり口元が裂けて苦しそうな筆舌に尽くし難い表情に私は戦慄した。


・・・すぐに治療を回復魔法をと使おうとしたが何故か魔法が使えない。


 そう言えばさっきから部屋が暗いような?身体もどんどん力が抜けてきて膝から崩れ落ちてまるで何かに吸い取られてるような・・・


「ゆいゆい・・・大丈夫?」


 ・・・・・・・・・・・ユカリちゃんの言葉が何故か返せない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それに何だか睡魔が襲ってきている。私は気が付けば床に突っ伏しているではないか。


 「あ――――― れ――――― 私―――――― 」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何故眠いの、何で瞼が重くて閉じていくの?どうして力が抜けて行くの??私は生き残った子どもを救出しないといけないのに――――


「ゆいゆい!!ゆいゆい!!」


 臓器から何かが迫り上がって来る。口から吐き出すと真っ黒い血が滝のように流れ出る。


 止めようにも力が入らない、弾丸を喰らいすぎたのかな?


 私は胸に手を当てるとどうやら心臓に撃ち込まれていたようだ。


「早く助けないと………ごほ!」


 ユカリちゃんは私を助けようにも動くと大量の血液を吐き出した。恐らく私達は助からない、ユカリちゃんの首元を見ると金属の破片が喉を貫通してガラガラ声で必死に私の名前を呼んでいる。


 だがその声も次第に小さくなっていく、私はもう決壊した口を閉じることが出来ず血を吐き出し続けると数十回吐く時には私の意識は闇に飲まれて行った。


 私――――――― ま―――――― ユカリ――――――― にげ―――――


 暗い、怖い、辛い、嫌だ、死にたく――――

どうして――――― 私―――― 


 幸せになりたかっただけなのに・・・・家族をもっと信用してれば、もしかしたら私達の中に敵が?・・・遅かったとでも言うの?私は・・・分からない、本当の敵を間違えた??なら私達が、倒す相手は・・・??


 視界が暗闇の光が消えるように私の目にはもう―――― 何も映らなくなった。



 海で溺れるような感覚が襲い、どんどん深淵に堕ちていく、私を嘲笑うように誰かが見下ろしている。

 

 畜生、絶対・・・()()()()()()()()本当の敵を見つけてやる、その日まで少し・・・休むわ。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ