「変わる日常」その2
「ぷはぁ〜久し振りにたっくさん食べた〜♪」
筆舌に尽くしがたいがあの量を食べ切ったプレアちゃんの細いお腹にはどう考えても入らないと思うのだけど・・・幸せそうに大の字に寝てるけど片付けも私がやるのかな?
「ユイお姉様、手伝います!」
仕方なく一人で片付けようとしたらアスカちゃんがお手伝いしてくれるようだ。
「ありがとう〜助かる!」
お礼を言うとアスカちゃんは嬉しそうに片付けに奮闘している。
「もしあれならお休みしますか?」
アスカちゃんの有り難い言葉に私は素直に断った、子どもを放っておく怠惰な大人だと思われたくないからね。
「大きい物や重い物はお姉さんに任せて軽い物はお願い」
片手でも持てるぐらいならアスカちゃんも困らないよねと思っていたがアスカちゃんは少し不機嫌に重い物を片付けを開始していた。
「お姉様、私はもう大丈夫です。いつまでも障害者扱いしないでください」
しまった、こういう事は禁句だった。アスカちゃんは義手だからと負荷がかからないようにと思ったのが裏目で出てしまった。
「ごめんなさい」
私はやっぱり子どもの事を解っていない、良かれと思っての行為は前を歩く子どもの障害となると解っている筈なのに、優しくて頼もしい子どもを蔑ろにしてしまった。
「い、いえ!!此方こそ不快な態度を取ってしまい申し訳ありません!」
そして私が傷付くのを察して私より傷付く、情けないな。
「ううん、お姉さんの事は心配しないで、えっとこっちの重い機材お願い出来る?」
私は誤魔化すように私が片付けようとした機材を頼むとアスカちゃんは元気に運んでくれた。私には勿体無い女の子だ。
私達はそれぞれ手分けして片付けして登山用のリユックに押し込む形で片付けした。試しに片手で持つと普通の女の子ではまず持てないぐらいの重量オーバー。こんなの背負う人なんて考えられないな、それとも私の事を思って一緒に食べてくれたのかな。
私は片付けを終えてアスカちゃんの元へ行くとアスカちゃんは苦悶の表情を浮かべながら義手の取っ手を押さえていた、私は直ぐに異変に気付き義手を外すと皮膚が擦れて赤く腫れていた。恐らくだが可動範囲を超えて何度も何度も擦れて出来た跡だろう。この腫れ具合だと食事してる最中に色んな機材をアスカちゃん一人で運んでいた時と片付けしている時に無理に動かしたかな、この義手も万能じゃない、普通の人より可動範囲は狭く無理すると外れることもある。
私は憤ってしまい怒鳴ろうとしたがアスカちゃんの苦しそうな表情に胸が押し潰され萎えてしまった。
救急箱からお姉さん特性配合の腫れを防ぐ粉末と軟膏を優しく塗り、治療魔法を使い傷を癒やす。前者は痛みを和らげる物で私の回復魔法の弱点、再生させても痛みは消えないから和らげるには痛み止め、痒み止め、特性配合の粉末と軟膏を塗るしか方法が無いのだ。
「ユイお姉様ごめんなさい」
そして私を困らせたと思った優しい女の子は涙を零しながら深々と謝る。
こんな子をどう怒れと?
「もう大丈夫だよ、お姉さんの為に頑張るのは良い子じゃないよ。それは無茶、悪い子だからもう無理しないこと、分かった?」
私は出来る限りオブラートに包見ながら言葉を選ぶ、アスカちゃんは他の子より過度なことに敏感で無理しがちなのに頑張り屋だから失敗すると脆く泣き崩れてしまう、私はそんな子に優しく頭を撫でながら少し休もうと抱き抱えて小さい背中を撫でることにした。




