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幻影道 第六巻   作者: Saki
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「何てことない日常」 その7

 仕方なくマッサージチェアは無きものとして私が粉々に砕いて破壊してゴミ袋に詰め込みその合間に散らばったクラッカーの残骸を掃除を手分けして行い気を取り直してお茶会を楽しむことになった。


「労いの一杯とはいかないけどドーナツを味わうなら紅茶ね」


 一仕事を終えてリビングに置いてあることソファーに背を持たれたサナエちゃんにドーナツを見せると一瞬で元気になるのがとっても愛らしい。


 テーブルにはドーナツと私の好物なクッキーを用意すると美味しそうにドーナツを頬張る。子どもの行為は奇想天外で見てて飽きない、それが家族なら尚更ね。


「な、なによ?」


 私は微笑ましく思うとサナエちゃんから警戒されちゃった。


「ううん、可愛なって」


 素直な感想を述べただけで顔が紅色に染まるサナエちゃんはやっぱり可愛い。普段では見られないサナエちゃんの生活、皆は頑固で気が短く高飛車なお嬢様と呼ばれているけど私からすればあばたのえぐぼよ。


「ふん、んっ!?このイチゴソースドーナツ、もしかしてラズベリー練り込んでる!?」


 私自作のドーナツは手間暇掛けているから味の変化に驚いて楽しんでくれて幸せだ。私は頷くと鼻息を荒げながら幸せな笑顔で食べ進めるサナエちゃんに魅了されてしまった。


「どれが一番美味しかった?」


 私は少し誂おうと口を出すと予想的中にサナエちゃんは悩んでしまった。


「そうね・・・最初に食べたたまごドーナツはたまごの濃厚な味わいと砂糖少なめで隠し味はハチミツで美味しかったしデコレーションドーナツは色鮮やかで見栄え良し味良しの満点だったし・・・オールドファッションなんかチョコのバリエーション豊富でそれぞれ甘さと苦味によってドーナツ自体の甘さも変わってて選べるわけないじゃない!?」


 サナエちゃんってこんなに感情豊かだったんだ、普段あんなにさばさばして蛇睨みのように眉間に皺寄せて怒ってるような顔なのにドーナツパワー恐るべし。


「逆にユイはどれが好き?」


 まさかの逆質問、これは言葉を間違えると怒られそうだ。


「お姉さんドーナツ食べたこと無いのよね」


 まぁ、それでも子どもに嘘は吐きたくないから素直に答えるのだけどね。


「はぁ?んじゃあたまに私を懐柔しようとマスタードーナツ買ってきてるのは何の為よ?」


「言葉通りにサナエちゃんを引き込む為よ?後は家族の為とか?」

 

 私自身買ってきた物を食することはほぼ無い、子どもが喜ぶと思っての行動だから私はそこまで興味は無い。


「はぁ、アンタってホントダメね、だからユカリちゃんと意見が合わないのね」


「なっ!そんなことないもん!お姉さんが本気になればユカリちゃんなんてお茶の子さいさいよ!?」


 ふ〜ん?と嘲るように見つめるサナエちゃん、私だってその気になればいつだってユカリちゃんをメロメロにさせることだって出来るんだから、ホントだよ!?


「はいはい、ならもっと積極的に頑張ることね」


 サナエちゃんは見透かした態度でドーナツを頬張る、何も言い返せないのが腹立たしいがそれはサナエちゃんだって同じはず。


「それはこっちのセリフだからね〜?」


 ピクッと肩が上がりサナエちゃんが頭突きして来るもんだから私も額を当てた。


「言ってくれるじゃないデカチチ」


「同じ穴の狢だと言うことは認めてよね?」


 その後、お互いが繰り出した傍から見れば呆れられそうな程しょうもないマウント取りの言い争いになった、正直大人気ないと思うこともあったが当時の私は私の方が恋愛は勝ってると意気込んでいたせいで夜ユカリちゃんに話したらどんぐりの背比べだねと笑われてしまい恥ずかしくなった私が謝ったことにより口喧嘩は幕を閉じたのであった。

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