「何気ない日常」その5
「私、ユイさんって裏の顔が厚い人物だと思っていましたが私達の事しか考えていない人なんですね」
食事を終えるとノアちゃんは唐突に言い出す。
「そう?」
「はい、ただの性根が腐った意地悪お姉さんとしか見ていなかったので」
なんか今日棘多くない?私ってそんなに日頃から懸念されてるの?
「生活面最悪でなのにスタイルは一丁前で殺す為なら知らない人を盾にするクズでユカリさんに気持ち悪いくらいに過保護でセクハラするどうしようもない女とか――――― あれ、ユイさん?」
棘というか最早弾丸が身体中を撃ち抜くぐらいに劣悪な妄想されて私の心は砕けてしまった。ノアちゃんの毒舌には流石の私でも耐えられない。
「お姉さん………もしかして嫌われてる?」
今の言葉で私のハートはボロボロだ、私より口悪いと思えるぐらいだ。
「す、すみません言い過ぎました」
でも素直に謝るから決して故意でやってる訳じゃないみたい、寧ろ普段溜め込んでるせいで一撃一撃が重いのかな。
「ノアちゃんも普段から素直に言えば皆もっと気軽に話掛けてくれそうだよね」
お茶を濁すように話題をすり替えるとノアちゃんは急に奥手に目を泳がせる。
「わ、私はこの位置が心地良いので・・・普段から話し掛けられるとたじろいでしまうので」
成程、根は引っ込み思案だからプレアちゃんみたいなキャラは苦手か、でもその割に良く行動を共にしているような。
「でもノアちゃん、プレアちゃんと仲良いよね?」
その事についてノアちゃんは嫌々答えてくれた。
「あの人は構ってちゃんなので構わないと永遠に鬱陶しく纏わりつくので仕方なくですよ」
「そ〜お?お姉さんから見ると楽しそうだけどな〜」
「第三者からしてはですよ」
ノアちゃんは素っ気無い態度で少し不機嫌になる。
「う〜ん、でもお姉さんからの観点だとプレアちゃんって見た目とは裏腹に性格はそんなに明るいイメージ無いけどな〜
「そ、そうなんですか?」
「あの子、本心は隠すタイプだからね〜現に病気の事“誰”にも言ってないでしょ?」
「えっ?」
私の一言に肩を揺らす、やっぱりノアちゃんには言ってるか。
「ノアちゃんはプレアちゃんにとってお気に入りってことね」
予想内についニヤけてしまう、だがノアちゃんは不服そうだ。
「ユイさんはプレアさんを何処までご存知なんですか?」
ノアちゃんの発言に少し力がある、それはそうよね。だってノアちゃんにしか伝えられていない筈だから、お姉さんは独自のルートで家族全員の情報を頭から爪先までの掌握しているからね。
「ずっと言ってるけどお姉さんは何でも知ってるよ?でもそれは悪用の為じゃない、家族は皆何かしら“病気”を患っているからそれを治す為に頑張ってるからね変に勘違いはめっよ?」
お姉さんは無駄な事なんかしたくない、けどそれは子育てでなんの役立たない、子どもは私の思考を歪ませるぐらいに特異点みたいな存在だ。それを攻略するには長年の時間と愛情が必要、だから私は子どもが大好き、色んな引き出しや夢や希望に満ちた大人になると失う儚くも美しい力を持っている。そんな子どもを間違った大人が全力と愛情を持って育てるなんて何が起こるかなんて分からないこそ見出せる物がある。
私はそれに触れてこんなにも幸せをくれたんだ。そんな子どもに悪さをする奴等を全力で排除するのが大人である私の使命なんだから。
「なるほど……ユイさんもまた珍しい人物ということですね」
「そーいうこと♪」
多分彼女は詮索はしない、出先が同じだからこういった私情を悪どく探るのは研究員達に“教わって”いないからね、私の心情も汲み取ってくれるなら尚嬉しいけどそれは高慢かな?




