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幻影道 第六巻   作者: Saki
11/45

「何気ない日常」その4

 少しの間休憩を取り身体を起き上がらせると時刻は既に十二時を回っていた。お昼の時間だとノアちゃんを見るとぐっすりと眠っていた。


「ふふ」


 すーすー眠る邪魔しないように音を立てずに移動し一階へ、私に対して少し抵抗があるかと思ったが杞憂だったようだ。皆からあまり良い目で見られたことがないから何となく察していたけど私が安心だと思わせるには丁度良かったかな。


 そんなことを考えながらもキッチンに立つと今日のメニューを考える為に頭の中を整理する、もし皆私と一緒に話せる機会があれば私の疑念は緩和されるのだろうか、料理をしながら家族との距離を掘り下げる、私を信頼しているのは一体どれくらいだろうか?少なくとも一人はいるけど他の子達はどう思っているんだろう?


 数々の怪しげな動きは皆気付いてはいる、だけどそれを咎めよう疑いを向けようという話は一度たりとも聞いたことがない。案外私なんて眼中に無いのかもしれないけどそれでも気にはする筈、特に知能が高い者は特にね。


 いっそ聞く耳を立てるのも悪くないが折角家族という枠の中に居るんだ下手に動いたらそれこそ本末転倒になる。それなら方法は一つしかないのだが………無謀無策無作為な気がする、リスクを伴い藪蛇をつつくなんてことにならないように上手く立ち回る必要がある。


 考え事と共に料理の工程が最終段階まで終わらせると二階から物音が聴こえる、出来れば起こしたかった。


「もう少しで出来るから良い子で待っててね♪」


 私はタイミングを見計らって振り向くとグッドタイミングにも降りてきた所にノアちゃんが現れた。


「ユカリさんいないですし毎日凝った料理しなくても良いと思いますが?」


「ダ〜メっ!最近の子どもは栄養に偏りが酷いのよ、子どもの時から好き嫌いしたら大人になると健康に何かしら引っ掛かるよ!」


 私が言うのも何だけどね健康第一よ、酒浸りの生活を送っていたらユカリちゃんに怒られた挙げ句無慈悲な暴力が飛んできたからあれ以来ユカリちゃんに逆らうことは減ったんだから!


「な、なんか妙に説得力がありますね」


 私の苦言にちょっと引きながらも席に着く、私も料理が完成したので愛情沢山のオムライスの出来上がり!


「召し上がれ♪」


 ノアちゃんお気に入りのお皿にお気に入りのスプーン、お気に入りの味付けに、大好きな野菜炒め+野菜スープに野菜サラダにお気に入りのドレッシング!!完璧な腕に恐ろしくも思える。因みにこんなものユカリちゃんに出したら口を聞いてくれなくなるので要注意。


「あの、ケチャップアートみたいに描いてくれたのは嬉しいのですが私の事よくご存知ですね?」


 あまりにも好物たらけに違和感を感じるみたい、でもそれは大間違い!


「家族の成長ノートに事細かく繊細で詳しく書いているからね、お姉さんが知らない情報は無いよ!」


 性格、体格、性質、特徴、好きな物や苦手な物、趣味嗜好、足音、行動の一挙手一投足全て調べ上げてるから私の計算が狂ったことは一度も無い…………たまにイレギュラーもあるけどそれ以外は完璧よ。


「そ、そうなんですか………い、いただきます」


 あれ、なんか更に距離が遠くなったような………


「あっ、あ~んさせて♪」


 スプーンを手に取ろうとした瞬間に奪い愛を注ごうとする、ユカリちゃんなら喜んでくれるんだけどな……


「い、一回だけですよ?」


 嫌われ覚悟の上でと思ったが今日は何故か素直だ。


「ほ、ホントに!?やったぁ〜♪」


 私を信頼してくれたのかな!?それとも呆れ?どっちでもいいけどこの事実は私の情報にない!私は飛び上がる気持ちを抑えながら大好きな子どもと食事をすることが出来た。

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