小悪魔君、キャバクラに行く。
ボクはココ。佐々乃 ココ。大学3年生です!性別は男ですが…
ボクは可愛い。そう、ボクはカワイイんだ!!
ボクは男だが、顔が可愛い。そう、顔が可愛い!!…大切なことだから2回言ったよ。
声だって、可愛い!!身体も小柄で華奢なんだよ!
別にナルシストではない。周りの人がそういうのだからそうなのだろう。
昔からそうだ。ボクは男なのに、男子から告白されまくっていた。一時期《高嶺の花》なーんていわれてたよ。そんな事が続いたのが小学時代。
女の子からはボクが男だと分かるとなんか萌えるらしく、着せ替え人形やらにされていた。変わらず男子や女子から告白なんかもされてた中学時代。
その後、ボクは人間の心をコントロールすることを学び始めた。集団心理など、利用出来たら面白い事に使えそうだ、なーんてことを考えたからである。
そして、使いこなせるようになりクラスメイトから先輩後輩、先生ですら堕としてみせた高校生時代。
とまぁ、そんな事もあって、ボクに堕とせない人間なんか居ない!と自負し、「人間はバカ」なんて思っていた。
が、大学3年の暑い夏の頃、先輩に誘われて風俗店、要はキャバクラに行ってみた。
男の大人が女のちょっとしたテクで簡単に堕ちる風俗店、そのテクには興味があった。
それさえ見て使いこなせるほど簡単なのであれば、余裕で人類を堕とし、魅力する事が出来るのでは無いかと、ちょっとした世界征服的な野望を抱いたからである。
「…おぉ、ここがキャバクラですか、先輩?」
「そ、そうだよココちゃん、ここがオトナの店…キャバクラだ…野郎の天国じゃけぇ…」
「マジっすか先輩。なかなかボインな人いっぱいじゃないっすか」
「そ…そうだねココちゃん…」
「………先輩、鼻の下気持ち悪いくらい伸びてますよ。………気持ち悪い…」
「突然のご褒美ですか?ありがとうございます」
「あ、通常運転に戻った、良かった…いつものキモイ・ドM先輩だ」
この先輩…御代 晴空はボクの奴隷である。会った日、会った瞬間、急に頭を下げてきて、「罵ってくれ」なんていう、変人ドM野郎だ。
さっきは初めてのキャバクラのお姉さんに見惚れすぎて通常ではありえないくらい鼻の下が伸びていた。
というか、猿みたいになりかけてたのでなんか変な物でも食べたかと思いいつものように罵ってみたら、普通だったのでとりあえず安心する。
「とりあえず、座りましょっか。立ったままというのもアレですし」
「そ、そ、そうだ…ね、そうしよう」
移動して椅子に腰をかけると執事服を身に纏った男性がやって来た。
「ようこそ、風俗《堕落》へ…」
この店に来た事が、ボクの人生を動かすなんて、思いもよらなかった。