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契約は協力に

 外は、地下の数十倍は眩しく感じた。まだお昼時だから、今のうちに食料を溜め込まないといけない。

 

隣のポルカーンは、自分の心臓を、亜空間へとしまった。さらりと凄い事をしている。モノホンの魔女だ。

 

…そもそも、あの監獄に封印されたということは、彼女はめっちゃ強いのかもしれない。それに、魔法を使えるのだろう。だったら、今すぐにでも食料を出して欲しいところだ。

 

ミズモ 「ポルカーン。魔法で食べ物出せない?」

 

 お昼のご飯が食べたいな、と思ったから出た言葉だ。ちらりと彼女を見た。

 

ポルカーン 「むりー」

 

 彼女は目をギュッとつぶってこちらを向いた。彼女の身長は、俺の鼻の辺りだ。

 

 くッ。肝心な時に使えねぇ。まずいぞ、一気に不安が押し寄せてきた。

 

ミズモ 「言っとくが、立場は俺が上だからな!あんたは所詮しょせん、使い魔ってとこだ」

 

ポルカーン 「いい度胸じゃなぁ。まぁ、今はそうするしかないから、使い魔として認めるしか無いか。実体を持たねば、私の姿すらも見えないから」

 

ミズモ 「そういうことだ。それと、本当に願いを叶えてくれるんだよな?」

 

 もう、契約は結ばれた。「やっぱり出来ませんでした〜」ってなったら、ぶっ殺してやる。あ、でも彼女、死んでいました。

 

ポルカーン 「私に二言は無い!そこは安心しろ」

 

ミズモ 「そいつを聞いて安心したよ。あと、魔法とかで手助けしてくれないかな?大魔導士とか言うからには、それなりのアシストがあるんだよな?」

 

ポルカーン 「え?無いよ?」

 

!?!?嘘だろ…。無能ピーポーかよ!…なんだか、いらついてきた!

 

ミズモ 「ふざけんな!俺はあんたが魔女だとかなんとか言っていたから、期待してたんだ!普通、美少女な魔女は、何か凄い力で助けてくれるんじゃないのかよぉ!」

 

ポルカーン 「はぁ〜!?そっちこそふざけるで無いわ!勝手に期待されて。魔法が使えるとも言ってないのに、その気になっていたのは、どう考えても自己責任!そんなのじゃったら、始めに聞いておけば良かったじゃろうが!!」

 

ミズモ 「違う!そういうのは、普通約束されたことなんだ!」

 

 この時、俺は自分と今のポルカーンを照らし合わせてしまった。期待されておいて、全くの役立たず。責任をなすりつける態度。まさに、俺だ。

 

 コズミック家に産まれ、大きな期待も込められていた。しかし、実際はなんの力も持っていない男だったのだ、俺は。「周りがいけない」これは昔からの口癖。俺は悪くない。悪いのは、いつだって環境、周りのせいなんだ…。

 

 だが、ポルカーンは違う。本来の力を使えないだけだ。きちんとした力がある。それに、よくよく考えたら、彼女の言うことは正しい。俺が悪かったな、今回は。

 

ミズモ 「ごめんな、ポルカーン。俺が悪かった。俺は、これからあんたのため、いや、自分のために目的を達成させる。それには、間違い無くあんたの助けが必要だから。それに、俺が人から仕事を任されたのは、初めてだったから…。その、この先不安になって…」

 

 俺はポルカーンに謝罪をした。頭を下げる。本当は、嬉しかった。自分の生きる目標を見つける事ができて。彼女は、俺に生きる意味を与えてくれたんだ。使えない、なんて思って、本当に恥ずかしい…。

 

ポルカーン 「謝る事でも無い。それに、これは仕事とは言わんぞ」

 

ミズモ 「それはどういう…」

 

ポルカーン 「決まっておるじゃろ!私とお主、ミズモには、共通の目標がある。それを実行するまでなのだから、私には、この契約が仕事だとは思わない。」

 

 仕事じゃない?分からない。俺は、まだ少年だから、働いたことはもちろん無い。人から任される事だし、ましてや、契約という単語まで出てきたんだ。これは、ポルカーンの肉体を取り戻すという仕事で、俺は労働者としてやとわれたという事では無いのか?報酬も、後払いだが保証されているし…。

 

ミズモ 「じゃあ、これはなんと表現すれば良いんだ?」

 

ポルカーン 「そうじゃな〜。…ズバリ、“協力”と呼ぼう。お互いの利益が一致したという事で」

 

 協力、か。とても良い響きじゃないか!俺は、彼女のためならば、なんだってできると思う。

 

ミズモ 「これからよろしく!」

 

ポルカーン 「うん!実体が無いから、私は“お主にしか分からない”存在だ。お主だけが頼りなのじゃから、シャキッとするんじゃぞ!」

 

 ゆ、優越感が凄い〜!この金髪美少女をおがめられるのは、自分だけ。いい心地だぁ…。

 

 実は、俺にも初恋の人がいた。ポルカーンは、学校にいた2つ上の先輩、ナーナ先輩にそっくりだ。2年前、入学した時、生徒会長として挨拶していた人だ。その後は、彼女の事ばかりを考えていた…。あの1年が、俺の青春だった。

 

 でも、ナーナ先輩の卒業と同時に、俺は彼女を諦める事にした。忘れようとしていた。だって、高嶺の人だったから…。

 

 それでも、今は、ポルカーンを見て代用ができる。ナーナ先輩をそのまま若くした(先輩が老けているとは言ってない)ようだけど、充分だ。

 

 すると、ポルカーンはズイと前によってきた。

 

ポルカーン 「ねぇ、お腹すいたのじゃ!」

 

ミズモ 「うん!俺も!」

 

 俺らは、いつもの街へ出かける事にした。俺とポルカーンは、スキップして、青空の下を通り抜けた。

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