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あの日の恨み

 ミズモが14歳あたりの頃。まだ、ポルカーンは15歳だった。彼女は誕生日が遅いタイプの人だ。

 

 ミズモは、その日も授業を抜け出してよく訪れている場所にいた。そう、魔の果実(ソウルフルーツ)の平原。ミズモは平原に赴いた。彼は大きく息を吐いて大樹に身を預けている。

 

 人はもちろん、動物や魔物ですら食べようとしない果実。罪人の転生後の姿。ちょっぴり禍々しく、ミズモも極力近づかないようにしていた。しかし、その日は夏の晴天の青空だった。木陰を求めていざ近寄ると、心地よくて眠たくなってきていた。

 

 不意に大樹を見上げたミズモは、不思議な果実を見つける。真っ赤なりんごだ。いたって普通なのだが、この大樹にまともな実がなっていた事に疑問を感じたのだ。他のザクロの様なへんてこな果実と比較しても周りとは違うと分かる。

 

 この時、ポルカーンは自分の転生した姿を、間違えていた。内なる“口が無いからりんごが食べられないかも?”という不安が、彼女の心臓をりんごへと擬態させてしまったらしい。結局、霊体になることも無く、無事転生したのだけど。

 

 運命のいたずらか、ミズモもりんごが好きだった。あんなにも大きくて、みずみずしくて、真っ赤なりんごは、上位貴族の彼にとっても見たことがなかったに違いない。彼は大樹に登り、比較的低い場所にあったりんご(ポルカーンの心臓)をとってかじった。

 

 その瞬間、ミズモとポルカーン両方に激痛が走った。事務作業をこなしていたポルカーンは心臓が傷ついたダメージを。かじった本人のミズモはポルカーンの魔法反射の反撃を食らった。彼は気絶し、大樹から落下した。

 

 ポルカーンは、急いで数カ月前に得たスキル、亜空間で急きょ心臓を元いた監獄へ移動させた。臓器を攻撃されるという非常事態。安全だと思われていたあの大樹なのに!彼女は悔いた。もっと安全な“監獄”という場所に心臓を保管していなかったことを。激痛がまだ痛い様子。

 

 しかし、この監獄へ移動させるという行為にも、彼女は悔いる事になる。急いでいたせいで運悪く、封印が強い部屋に入ってしまったから。同時に“ナーナ”の身体は消滅し、気付いたら彼女は霊体になって、監獄の中にいた…。

 

 霊体のポルカーンは、しくしく泣きながら自分のプライベート空間に閉じこもった。補足だが、亜空間の中では、時間の進みが遅くなる。外での1年は、亜空間では20年弱に相当する。この間にポルカーンは肉体を復活させる術を完成させたそうだ。

 

 一方ミズモは、寝ている(気絶していただけ)のを教師に見つかって、学校に連れて行かれた。

 

 そして、この1年後が現在という事だ。

 

 

ポルカーン 「ああぁ。犯人は、ミズモ!お主じゃったのかぁー!」

 

 顔から火が出そうなくらい怒り狂った様子だ。俺の嫌な予感を感じ取るレーダーがうるさい。弁解しないと、理不尽な暴力が飛んでくる!

 

ミズモ 「ちょ、ちょっと待ってくださいよぉ!あれはわざとじゃないし、土下座でも何でもしますから!お許しください神様皆様ー!」

 

 そんな俺の祈りも虚しく、片手に電流弾を持ったポルカーンは迫りくる。彼女は危険だ!スライム人間でも石化でもどうすることもできない!

 

 あ!そうだ!武器破壊で…

 

 しかし、遅かった。咄嗟とっさに右に飛のいたものの、俺の動きは完全に読まれた。もう、何で分かるんだよ…。電流弾を食らう。

 

ミズモ 「ぎゃあああ!」

 

ポルカーン 「はぁ、はぁ。これが、心臓をかじられた恨みじゃ!思い知ったか!だいたいお主は常識が無いんじゃ!あのままじゃったら私はナーナとして新しぃ……」

 

 だめだ、意識が…。目の前が真っ暗になった。ああ、弱いな、俺は。たかが電流弾で、こんな…

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