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午後

昨日投稿し忘れてました!すんません!

 午後はむさ苦しい暑さだった。付近に洞窟があったので、その中でいったん休憩を挟む。ひんやりとした気持ちの良い時間であった。

 

 そんな午後、二人でりんごを食べていた。おやつは、お互い好きなものを食べるのだが、奇遇な事に俺もポルカーンもりんごが大好きだったのだ。1つ目のりんごを食べ終えて、近くの川から補充した水を飲む。

 

 そんな時、体と同時に頭も冷えた俺は、とある疑問を覚えた。それは迷うこと無く口から出てくる。

 

ミズモ 「そういえばさ、ポルカーンは本当に身体が必要なの?」

 

ポルカーン 「…何を今更。身体が無ければ、私は充分な力を取り戻せないのじゃよ。わかる?」

 

 ゴクリとりんごを飲み込み、ポルカーンは驚いたような声で話す。

 

 そんな事知っている。今までの活躍からして、少しも大魔導士らしいことをしていないから。安心した。彼女の実力は、これだけの物ではないという事に。身体があると、より強力になるらしい。

 

ミズモ 「そうだな。でも、個人的な意見を言うと、俺はむしろ霊体の方が良いな、と思っただけだ。」

 

 彼女は困惑した表情に変わる。「何を言っているの?」という顔だ。

 

ミズモ 「霊体としての生活は、どんな感じ?人の体をすり抜ける時の感想は特に気になる。あと、亜空間の中とか、どんな…」

 

ポルカーン 「お、おい少し待つのじゃ!さっきから、何をへんてこな事ばかり聞いてくるのじゃ?そんなキャラじゃ無かっただろうに…」

 

 彼女の質問に、俺は心の中で回答する。

 

 俺は、この世界に残るのならば、霊体でいたい。誰にも迷惑をかけず、誰からも認知されない。自由な生活を送る事で、俺の最終目的を達成させることができるかもしれない。出来損ないで、友達もいない、地味な少年。俺は、そんな自分が嫌でしょうがなかった。その傷を癒やすために、よく平原に行って空を見上げたものだ。その度に、俺は泣いてばかりいたのだが…。

 

 最終目的の内容は、恥ずかしいから伏せておく。今は話す気分では無い。いつか機会でもあれば、また思い出すかもしれない。その時が来たら、彼女に伝えよう。

 

 これらの事により、俺はポルカーンの今の状態が苦痛なのか、という事を思ったのだ。もしも俺が代わりに霊体になれるのなら、代わってやりたいぐらい。

 

 いや、実際は、ポルカーン本人のようになりたい、という表現が真実か。

 

 更に優れた人物になりたい。多才で、底知れない実力を持っている彼女に。会話するだけで、相手の事を癒せる彼女に。いつも眩しい、ひまわりのような笑顔で、笑ってみたい。彼女のように…。

 

ポルカーン 「もしもし〜?何か言ってよ〜」


ミズモ 「あ、ごめんごめん。…で、なんて言ってたっけ?」

 

 俺は心の中で回答していたので、実際に口に出していなかったのだ。彼女の質問を、思い出そうとしたけど、ど忘れしていた。こういうのは、俺のだめな所だと、自覚はしている。

 

ポルカーン 「もう、人の気持ちを考えた事があるのか!?」

 

 む、痛いところを付いてくる。彼女の質問は的確で、ズシリと響く。

 

ミズモ 「いや、正直に答えると、今までそんな事したことが無い。だから、本当に申し訳ないけど、もう一回聞いていい?」

 

 彼女はため息を漏らしたが、すぐ俺に目を向けて話し始めた。

 

ポルカーン 「…よく聞くのじゃぞ。どうして急にいろんな質問をするか、と問うたのじゃ」

 

ミズモ 「あ、そうだった。う〜んと…」

 

 数十秒間考え込んで、やっと整理をつけられた。彼女に向き直ると、ふてくされた顔があった。彼女は、待つことが嫌いな人だ。

 

ミズモ 「ポルカーンが、俺史上初めての友達だから、かな?」

 

ポルカーン 「ほう。……?」

 

彼女はうなずいたものの、理解ができていない様子だ。腕を組んで、しかめっ面のポルカーン。俺はきちんと説明する。

 

ミズモ 「ええーっと、つまりは、こういう事だ。君は、俺とは正反対な人物だ。今まで人に興味が無かったから、友達を作ることも無かった。でも、不思議とポルカーンとは、これからも一緒にいたい、とか思って、それで…」

 

ポルカーン 「わ、わかったわかった。つまり、わ、私は、お主の友達第1号という事でいいんじゃな?」

 

 彼女は、少し困った顔をしていた。だが、なんだか嬉しそう、な顔もしていた。

 

 

 日が沈み、辺りは暗黒の景色で満たされていく。今は、学校に通ったままだったら、夏休みを迎える頃合いだ。毛布が無くても、多少は肌寒く感じるが、問題無い。冬前までに、防寒具の確保をしないとな。

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