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犬王ヴェンデル

 四天王全員を仲間にしたので、みんなで犬王の所へ行こう!

 さて、犬王はどんな犬種なのかな~。もふもふする気満々で突撃です!


 この王城、凄く立派なんだけど……やっぱり犬王(ワオウ)の魔力が凄いからなんだよね。私を送り返してくれるといいのだけどなぁ……。

 だって、ここ犬と猫しかいないんだよ!? 私、まだ20歳なのに帰れなかったら結婚も出来ないんだけど!?


 もふもふ天国はステキだけど、ずっとは困ります……。考えているとしょんぼりしそうだったので、目の前でふりふり揺れているしっぽを見て落ち着こう。


 私の目の前にはサモエド犬のヴァルターとセントバーナードのローラントが歩いている。剣を持っている犬って初めてだけど、かっこいいんだよね。だけど、どうやって握っているのかは全然分からないけどね。


 ヴァルターとローラントについて歩いて行くと、1つのドアの前で止まった。ここに犬王(ワオウ)がいるんだね、ドキドキするね。


 ローラントがドアを開けてくれて、また2人に付いて歩いて行くと、進む先にある大きな椅子に座っている……チワワ?


(えっ、嘘でしょ!? 犬王様ってチワワなのー!?)


「えっと……あの方が犬王様?」


『そうわんっ! 犬王様のヴェンデル様なのわん』


「そ、そうなんだ……」


(かっこいいって言ってなかった? あれは可愛いって言うのよ!?)


 チワワ犬王様がすくっと椅子の前に立つと、おどおどして見える……?


(しかもぷるぷる震えてるんですけどー!?)


「四天王を従えてくるとは……何者わんっ!」


「聖女召喚されたアヤノと言います。まずは話し合いをしませんか?」


『なんで話し合う必要があるわんっ! ねここ王国はぼくの物にするのわんっ!』


 やっぱり王様ですね、偉そうです! ぷるぷる震えながらも言いますね……そっちがその気ならこっちにももふもふがあるのですよ!


(ふふっ……ふふふっ……もふもふなでなでしちゃうんだからー!)


『な、なにわんっ! 近寄るなわんっ!』


「お座りっ!」


『わんっ!?』


「まてっ!」


 ちょこんとお座りして待てするチワワのヴェンデルに近づいていく。


「ふふっ、きちんと言う事を聞ける可愛い子にはご褒美がいるわよね~」


『な、なにわんっ!?』


 後ろではあ~……という溜め息が聞こえるけど、気にしない! 私はこのチワワちゃんをもふもふするんだからっ!


「良い子で待てて偉かったね~」


 なでなで……お耳の後ろもなでなで。


『きゃんっ!? あっ……わふっ!? きゅ、きゅ~ん』


「ふふっ、良い子ね~」


『な、なんてことするわんっ!』


(あら、さすがに王様はまだ頑張りますね~。ではもっともふもふなでなでしちゃいましょう~! やったね!)


 なでなでなで……。


『わふっ!? ま、また……も、もう……きゅ~んきゅ~ん』


「よしよし、お話する気になったかな?」


『……きゅ~ん。お話するわん』


「ん、よろしい!」


 ふぅ、これで落ち着いてお話が出来るようになったね。しかし、なでなでだけで犬王まで仲間にしちゃったね。神の手っていうか、犬だったからだよね。

 ま、まぁ……無事に話し合いに持っていけそうで良かったね。


 チワワのヴェンデルとハンナさんも交えて話し合いをする。

 だけど、すでに私に忠誠を誓った状態なので、ねここ王国に全員住んで協力をする事を誓ってくれた。犬族は主に狩猟を、猫族は主に畑で野菜を育てる事になった。猫族のみんなにはお料理もお願いする事になった。


 この話し合いは基本的にヴェンデルとハンナさんの間で話し合われた。ねここ王国の国王様であるロシアンブルーのレオンハルト様も、ハンナさんに任せると言って送り出してくれているので、特に問題はないのだそうだ。


 話し合いが落ち着いた所で、かなり怖いけれど……大事な事を聞く事にする。


「あの……ヴェンデル様なら私を帰せると聞いているのですが……どうですか?」


『アヤノ様、帰ってしまうのわん!? 確かに……ぼくの魔力があれば帰す事は出来ますわん!』


「ほ、本当ですか!? よ、良かったぁ~……」


『アヤノ様、良かったですにゃ!』


「うん、ハンナさんもありがとうね!」


『アヤノ様、すぐに帰りますわん?』


「あっ、待ってね。ねここ王国の畑をもっと元気にしてから帰りたいの。じゃないと、犬族のみんなの分も作れないからね」


『分かりましたわん。ぼくも一緒に、ねここ王国へ参りますわん』


 一泊犬王城に泊めて貰ってから、ねここ王国へ帰る事になりました。ハンナさんと一緒の部屋で寝かせて貰いました。ハンナさんも疲れているだろうから、なでなでして癒してあげましょう! いつなでても気持ち良い黒猫のハンナさんです。


 お夕飯と次の日の朝ごはんは、ハンナさんが作ってくれました。ヴェンデル様や他の子達も大喜びで食べていたので、これからも仲良く暮らせるんじゃないかなとちょっと安心です。


 朝ごはんを食べたら出発です!


 みんなでねここ王国へ向かい歩いて行く。森を抜けて橋を渡り森を抜けるとねここ王国だ。ハンナさんに付いて歩いて、レオンハルト国王様の所へ急ごう。


『アヤノ様、ご無事ですにゃ!? ってどうして犬王(ワオウ)が!?』


「レオンハルト国王様、大丈夫ですよ」


 ハンナさんに国王様に説明をして貰った。レオンハルト国王様はとても驚いていたけれど、協力して暮らしていけると聞いて、とても喜んでくれた。


 そして私は、帰る前に畑を元気にしてから帰ると伝えておいた。最初はなかなかうまくいかないかもしれないけれど、協力してみんなが笑って過ごせる国にして欲しい。


 犬王ヴェンデルとレオンハルト国王様で協定が無事に結ばれた。そして、2人でこの国を安全でみんなが幸せに暮らせる国にしていくと約束してくれた。


「ふふっ、では私も帰して貰う前に畑を元気にしてきますね!」


 犬族のみんなも紹介ついでに一緒に行く事になった。やっぱり猫族のみんなが驚いてちょっと怖がっていたけれど、私に丁寧に接しているのを見て安心してくれた。


 畑は、ずっと元気な作物が育ちますようにってなでなでして回った。膝と腰が痛くなったら、自分をなでなでして治して続ける。

 夕方になる頃には、畑を元気にし終わった。


 畑を元気にし終わったら、またラインハルト国王様の所へ戻ると、犬王ヴェンデルと一緒に迎えてくれた。

 そして、帰る前にみんなをなでなでしておいた。幸せ気分になったら、帰る準備をしよう。とはいっても何もないんだけどね。



『アヤノ様、本当に帰ってしまうのわん?』


『アヤノ様、本当にありがとうございましたにゃ』


「ふふっ、皆さんならきっと素敵な国に出来ると思います。頑張ってくださいね!」


 四天王のみんなにも、ハンナさんにもとっても泣かれたけれど、私は帰らなきゃね。


「じゃあ、元気でね! ヴェンデルお願いね」


『わんっ!』


 ヴェンデルが吠えると、魔法を使って私を送り帰す魔法を発動させる。私の足元に魔法陣が浮かび、凄く強く光った。

 ぎゅっと瞑った目を恐る恐る開けてみると……会社帰りの道に居た。


(帰って来られたんだ!)


 スマホの画面を見てみると、日付も時間も変わってないみたいだ。何日も行方不明だったなんてならなくて良かった。


(ふふっ、なんだか楽しかったな~。お話が出来る犬と猫だなんて幸せだったな。もっふもふだったしね!) 

いつも読んで頂きありがとうございます。

ブックマークや☆の応援もありがとうございます、更新の励みになります。


本日で完結となります。

読んで頂いて、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まさか犬王の正体がチワワだったとは。 ともかく犬族と猫族が共存した上、アヤノちゃんも 元の世界に帰れて良かったです! 連載お疲れ様でした!
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