ゼロ プロローグ
大きなお姉さんも、バリバリのお姉さんも、小さいお姉さんも、どうか最後まで御付き合い下さいね!
18年前。
隣国に嫁いだ妹姫が王子を出産しました。
第二子で、念願の男子です。
側室がその3年前に王子を生んでいるので、妹の子は正妃の子で第二王子となります。
妹は、我が子が嫡子となるとは言うものの、行く末を案じておりました。3歳上の第一王子は、幼いながらも才気煥発で賢王と称えられる祖父によく似ていました。母である側妃も、才女であり分を弁えた言動で、夫である王太子や側近の信頼を得ておりました。
そこで、15年前、私は3歳になった可愛い甥に〈祝福〉を与えたのです。
私の国には、精霊がおわします。
私は後継者として、精霊と契約する能力を有しております。
その精霊王の御一方と契約し、甥の守護精霊となって頂きました。
その守護精霊は、
王子がもし天寿全うせず亡くなる事態が起きたら
その力をもって、逆行転生させる
という契約をいたしました。
精霊は快諾されたものの、
(4回までは力を貸そう
我もそなたの御能力が消耗するのは望まない)
と仰いました。
精霊は私を深く愛して下さっているようです。
妹には伝えませんでした。
王子が万が一、命を落とす事があれば、精霊が王子に伝えることでしょう。そして逆行転生すれば、周りはなかったことになった時間など記憶していないのですから、王子本人のみ記憶していれば良い事ですもの。
兎も角、健やかに甥が成長し、
外つ国を妹の夫が統治し、
行く行く甥が外つ国を継ぐ
それを願うのみです。
私は精霊の妻として、生涯人間の男とは婚姻せず、この国を守っていくのです。
デボラ。
お前の人生と息子の人生に幸あらんことを祈ります。
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それと、短編の時のように、これって?とか、こうじゃね?とかがあったらご感想下さい。勿論兎の心臓なので、励ましが一番有難いのですが ww