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47 陸灯台 倉庫

 陸灯台の踏破は順調に進んだ。管理室で見つけた地図や解説書のおかげで、すんなりと突破できたのだ。

 古文書を使ったアトラクションということだったが、実際には絵と文字を組み合わせたパズルを解くと、鍵が外れてゴールに辿り着くというもので、ややこしいものではなかった。

 答えを手に入れているのだ。

 解答書通りに五つのダイヤルを回して合わせるだけで、三階への扉は開かれ、同じようにして、三階のフロアも突破した。

 様子が変わったのはゴールである、四階の部屋に着いてからだった。


「また、えらいことになってますね」


 ノヴロが、酷く荒らされた部屋を見廻してから言った。最後の古文書とやらに書かれた暗号を解いて、四桁のダイヤルを合わせて開く扉の向こうは、中央に祭壇が置かれた部屋だった。

 おそらく、ここに係員が待ち受けてゴールを祝福する場所だったのだろう。祭壇の向こう側には衝立があって、そのさらに向こう側には事務机が二つと、一組の応接セットが据えられていた。

 もっとも、年月のせいかその全ては厚く積もった埃の下に隠れている。衝立の表側には、入ってきた扉のすぐ横に「出口」と書かれた別の扉があった。

 これがコースで、どこかの出口に繋がっているのだろう。だが、それは正規ルートであり、無法者たちが陸灯台に住み着くために使う隠し通路ではないはずだった。

 案の定、衝立の向こう側にその扉はあった。三つ目の扉である。


「ここから一階に降りられるんじゃないですかね?」

「上へ続く扉じゃないのか?」

「そりゃあ上の階への通路にも繋がってるでしょうけど、カッドが正規ルート以外で出入りしているなら、この道しかないでしょう?灯台の頂上へ登る通路はすでに壊されてるんですから」

「そうね。冴えてるわねノヴロ」


 ミリティストは言うと、手近な机の天板に腰を下ろした。コンタードはその机の前の椅子に腰掛けると、引き出しを開いてみる。


「じゃあ、カッドの奴はこの先か?」


 引き出しが空なのを確認して再び戻す。それから立ち上がると、奥の扉へ向かった。ミリティストとノヴロも後へ続く。コンタードはゆっくりとノブに手をかけると、静かに扉を開いた。


「なんだ?通路じゃないのか?」


 そこにあったのは小さな倉庫だった。ヒカリゴケが少ないのだろうか、部屋は薄暗く、あちらこちらに木箱が積まれていて、隅の方は影となっている。大きな棚に囲まれた部屋には、机や椅子といったものはなかった。手分けをして木箱や棚をチェックしてみる。


「あーあ、見つけちゃったんじゃないですか?」


 ノヴロが突然声を挙げた。すぐに残りの二人が駆け寄る。


「なにがあったの?」

「これ、さっきの絵のやつじゃないですか?」

「ん……ああ、確かにそうだな」


 ノヴロが指さした壁際の木箱には、ふたの開けられたケースがあった。中にはちょうど庭木に使うような大きなハサミの形に溝が掘られて、その一部に小さな刃の片側部分だけが納められていた。


「これが、例の封印を解く鍵か?……魔王討伐に近づいたな」

「ええ、でもどうする?私たちが回収する?」

「……いや、やめておこう。俺たちじゃ使いこなせないし、勇者たちに任せたほうがいい」

「じゃあ、情報提供の文書だけは送りましょう」

「そうだな」


 コンタードがそう言って、屈み込もうとしたときだった。突然、コンタードは、向かい側に回っていたミリティストに突き飛ばされた。


「うわっ……おい!」


 尻餅をついて座り込んだコンタードだったが、抗議の声を挙げることは出来なかった。なぜなら転びながら見えたのが、一閃されるナイフの刃だったからだ。

 視界の端に映るミリティストは、まったく事態の飲み込めない男二人とは違い、腰の帯に手をやると、素早くショートソードを抜き放なち、真っ直ぐとコンタードの背後に突き出した。


「どうしした?」

「敵襲よ!」


 悲鳴にも似た鋭い声ながら、ミリティストは、落ち着いたように言った。それから手応えのなかったショートソードを構え直すと、油断なく辺りを見廻す。

 ノヴロも杖を構えると、二人の側に寄った。

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