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46 陸灯台 2F 2

 事務用の机が二つに、本棚と戸棚が二つずつ。

 お世辞にも広いとは言えなかったが、整理は行き届いていて、ともすれば自分たちの事務室を思い出すような造りの小部屋だった。役所関連、公共機関のレイアウトといえば、なにか共通するところがあるのだろう。

 コンタードは埃が払われ、清潔感を取り戻した事務机と椅子に腰をかけると、引き出し開けて中を検めはじめた。ミリティストも戸棚を開き、ノヴロは本棚の書籍を取り出し確認する。


「文具にゴミ。紙の破片と……大した物はなにもないな」

「こっちもですね。私物の書籍なのかな?古い雑誌とか、そんなのばかりです……あ、パンフレットか。ここのアトラクションの宣伝ですね」


 ノヴロは厚い紙を取り出すと、コンタードに差し出して、再び棚を漁り始める。

 コンタードは受け取ったパンフレットに目を通すと、ため息をついてからそのまま放り投げた。


「なにが『君は古文書の暗号が解けるか?』だよ……」

「それ、古代文字じゃないですよ。翻訳魔法をかけましたけど反応ないですもん」

「古文書っていうだけだからな。古代文字とは限らんだろう?」

「そりゃそうですけど、なんだか詐欺みたいですね」

「違う。宣伝手法さ」


 と、コンタードが机の引き出しを開く手を止めた。


「……対お客さま向けアトラクション用回答集……あ、回答だけじゃなくて解答も載ってるな。解説書か……見つけた。これがあれば上の階までたどり着けるな」


 コンタードは一番下の引き出しから小冊子を取り出すと、ひらひらと振った。

 色鮮やかな黄色の表紙は、机の奥に保管されていたせいか、埃も被らずに色褪せてもいなかった。新品同様のようだ。


「地図とルート攻略を見つけたぞ。パズルがメインらしいが……ミリティスト、そっちはどうだ?」

「……」

「おい、何だ?大丈夫か?」


 コンタードが振り返り戸棚の方を見ると、綴られた羊皮紙の束を真剣な面持ちでめくるミリティストの姿があった。

 あまりの勢いに呆気にとられたコンタードが、一息おいて声をかける。

 ミリティストは突然我に返ると、コンタードに視線を送ってから、ノヴロを呼んだ。


「ねえ、これ古代文字かしら?読める?」

「ええと、そうですね。古代文字です。魔法で翻訳できる類いのですね」


 のぞき込んだノヴロがすぐに答えた。


「……どうしたんだ?」


 コンタードも寄ってきて、羊皮紙を覗き込む。


「変な図形が載ってるのよね。大きなハサミがばらばらにされたような図。古代文字が書き込まれてるのに、入ってた封筒には……ほら」


 ミリティストは大きな封筒を手に取ると、二人に表書きを見せた。

 コンタードが読み上げる。


「納品書?……適当な封筒に突っ込んだんじゃないのか?」

「そうなのかしら……?」

「読めば分かるんじゃないですか?……ええと……あれ?……これ……」


 魔法を使ったのだろう。ノヴロが書類を手に取ると、視線を文字に沿って動かし始めた。


「……これ、大発見じゃないですか?」


 しばらく経ってノヴロがぼそりと言った。


「どういうことだ?」


 コンタードが訝しげに言った。


「やっぱりね。絵を見て気になったのよね」

「おい、説明を頼むよ」


 コンタードが眉を曇らせて、困ったように言った。


「……月の神に封印されし船。その封印の鎖を解き放つ魔法のハサミの一片を納品するものなり。厳重に保管されたし」


 ノヴロが朗々と読み上げた。


「は?それってつまり?」

「んー……いわゆる勇者が探してる鍵ってやつが、ここにありますよって事じゃないですかね」

「本当か?」

「たぶん……四階かな?倉庫に収めてるみたいに書いてますよ?本当にあればですけど」

「おいおい、俺たちが見つけてどうすんだよ。勇者たちの仕事だろ?」

「大丈夫よ。今、勇者たちもこちらに向かってるんだし。確認だけして確保は勇者に任せれば」

「あるのは分かってたでしょ」

「そうだけど……もっと、こう……なんか釈然としないなあ」


 コンタードは首を捻った。

 すると、横からミリティストが肩に手を置いていった。


「まあ、いいじゃないの。仕事が一つ片が付いたと思えば。まだまだ、これからが大変なんだしね。それに、まだ見つけたわけじゃないわよ」

「そうですよ。なぜか、僕らが出かけることは多いですけど、これもバックアップなんですから」

「……お前に慰められるとは思わなかったが……わかった。ありがとう」


 コンタードは照れくさそうに俯いて頭を掻くと、ノヴロの頭を軽く叩いた。


「やっぱり叩くんですか?」


 少しだけ恨みがましそうにノヴロが言ったが、コンタードは気にする風もなく、ミリティストと右の拳を軽く合わせた。


「とりあえず、本命はカッドだ。奴を見つけて片を付けよう」


 三人はうなずき合うと、そのまま資料を手にして部屋を後にしたのだった。

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