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Sorcellerie  作者: 海堂空馬
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プロローグ

晴れ渡る空。秋口のカラッとした朝は何かいいことが起こりそうな気がした。

・・・電話が鳴るなでは。

朝、アンネとシャーロットと共に起床し、カーテンを開ける。

まぶしい日差しに目を細める。肌寒くなってきた季節で、そろそろ毛布を出そうかと考える。


「今日もいい天気だ」

玄関を開けて止まり木に止まっているハトから新聞と手紙を受け取る。

中身を確認しながら半分に切ったトーストを片手に取り齧る。サクサクと良い食感の焼き加減のパンに健康を害さない程度のバターとイチゴジャム。思わず緩みそうになる顔を極力意識せず、新聞に目をやる。

ここのところ、付近に事件も起きていないようだ。

「・・・なんという平和」

今日は依頼の手紙も投函されておらず、直近の仕事もない。

「ステラに無理やりピクニックにでも連れて行かれそうな陽気だ」

ぽつりとつぶやいた言葉は案外大きく自身の耳に届いて思わず苦笑いを浮かべる。

大体急に来たかと思ったら行先も告げず腕を引っ張りそのまま梨園に連れて行かれたばかりだ。

酷いときは仕事で三徹しやっと眠れたその次の朝にたたき起こされ、思わずはたいてしまった。

それからは少し懲りたのか、前日に電話を入れるようになった。・・・悪い日なら当日だが。


・・・フラグという言葉がなぜか頭に浮かび。

別のことを考えようと牛乳を飲んだ瞬間。

電話の音が鳴り響いた。

その相手は・・・言わずもがな。

居留守を使っても永遠とかけてくるだろう。

「・・・は「おはよう、アッシュ!今日もいい天気ね!・・・あれ、アッシュ?」

私の声をかき消したステラの声は、向かいに座ったアンネとシャーロットにも聞こえるほど大きく、思わず受話器を遠くへ放ってしまった。

しかし何か話しているステラに、渋々手に取る。

「・・・朝から元気だね。・・・で?今日はなに?またピクニック?それとも次は栗拾いか」

自分で言うのもなんだがなんという物言いだろう。少しだけ自己嫌悪になりながら、ステラの返事を待つ。

「や、違う違う。実はねぇ・・・うちの弟が学校から帰ってくるの、それでね

「ちょっと待って。弟?」

「あれ、面識なかったっけ?まあ、今まで軍校にいたからねえ。で、あの子ったら血もダメ、武器も怖がって・・・座学の成績では余裕で卒業できるんだけど、実習がだめでこっちに帰ってきたの。」

「そ、そうだったのか。ステラとは違って怖がりなのか・・・」

私は血気盛んなステラの舎弟のような弟のヒエラルキーが目に浮かんで心の中で同情してしまった。

「で。本題はここからなんだけど、あ、弟ロビンっていうんだけど、鍛えてやってよ。アッシュとその使い魔二人じゃそろそろ寂しくない?」

「・・・は?」

ステラは何を言っているのか理解ができない。

「ま、そういうことだから、ちょっとよろしく頼むわ!詳細とかメール送っとくから!」

そのまま私が何か言う前に電話は切れる。

「・・・鍛えるって何?」

血も武器も怖がるなら、適当に逃げ出すだろう、と私は適当に考えることを放棄した。


『アッシュ・ルッカ へ


弟、ロビン・ザラについて

依頼内容

・自分を守れる程度の術、守り方

・魔力の制御


報酬

お手伝いとしてこき使って!(料理上手だからさ!)


10の秋の13日11時に展望台公園に集合って言ってるから


            ステラ・ザラ』


「10の秋の13日って今日じゃん。それに」

時計の針は9時を指している。

「・・・・・」

少しのため息の後、私はステラのお願いだからと請け負うことにした。


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