宇宙海賊キャプテンイチジク
あは~ん!
うふ~ん!
色っぽい声が響くが、これは宇宙巡洋艦の中。
「艦長!
また被弾しました!」
女性オペレーターが、悲鳴をあげる。
次々とレッドランプが灯る。
そう・・・
さきほどから響く電子音声は、被弾のブザーなのだ。
「うろたえるな!
我らは「まぞーん」の精鋭だぞ!」
まぞーん・・・
それは、とってもマゾなアマゾネスな種族で、行く先々の星々を征服して「マゾ」を強要する、迷惑な人たちだ。
「前方に、海賊船!
無花果の紋章です!」
「ま・・・
まさか・・・
我らの敵・・・
「宇宙海賊キャプテンイチジク」か!」
「フハハハハハ!
前方のまぞーん艦に砲撃!」
いかにも「海賊」という風体の艦長は、手下共に命じる。
そして・・・
この日・・・
宇宙海賊キャプテンイチジクは、総数だけなら一個艦隊の艦を拿捕し、違法宇宙奴隷商に売り払った。
だが・・・
「艦長!
前方に、優美な宇宙船発見!
デフォルメした魔法使いの猫耳娘の紋章をつけています!」
「ちょうどいい・・・
物資が尽きかけていたところだ・・・
少し脅してやれ!」
イチジクは、相手をなめていた。
そう・・・
その船の主は、キレると手のつけられない「猫」だったのである!
一方、その船・・・
惑星リシテアール・キティルハルム王国所属王太子ユニティアの所有船・・・
キティルハルム地球視察団専用艦プリンセス・ユニティアでは・・・
「船籍不明艦十二時の方角!」
「舳先に、変な紋章を確認!
投影します!」
モニターに拡大された「正体不明艦」の紋章を見て、ユニィは固まった。
耳が倒れ、尻尾が震えている。
「まさか・・・」
「イチジクの紋章だね。」
「そうですね・・・」
アルムスが、愕然とし、発酵作業用マウス一号と発酵助手一号が呑気に感想を述べる。
「海賊船・・・ですね・・・」
「海賊船から打電・・・
「積荷を置いて、去れ。さもなくば攻撃する。宇宙海賊キャプテン・イチジク。」です。」
報告に目をカッと開く、ユニィ。
「神波動閃熱砲・悠久の守護杖発射準備なの!」
物凄い剣幕だ。
アルムスは、補佐官席にしがみつく。
「ト・・・トラウマだ・・・!
ユニィ様・・・
あの頃のトラウマをまだ!」
「発射なの!」
ユニィの神波動が極限まで高まり、「猫神」になっている。
翼が開いているではないか・・・
ドオオオオオン!
イチジクの紋章を削り取り、ついでにイチジクの艦・「無花果号」の推進機関を破壊する・・・
「子供のころ・・・
便秘で苦しんだの・・・」
それで、母さまが合成した薬を肛門から注入したの・・・
それから三日三晩排便が続いて、死ぬかと思ったの・・・
その薬の名が・・・
「イチジク浣○」だったの・・・」
「やはりそうか!」
つまり・・・
キャプテン・イチジクとは・・・
艦長・イチジクという意味であった・・・
やがて、海賊キャプテンイチジクは、御用となった・・・