表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/64

番外編 IF 野猿な囚人 38-2.(セリウス外ルート)その後のおまけ

 リーリアとルイスは、無事に結ばれた。

ルイスの主に餌付け作戦が功をなし、リーリアは、しあわせいっぱいに結婚することになった。

その数年後、二人の間に子供が生まれた。

 子供は男の子で、名前はレイモンと名付けられ、ルイスにとてもよく似た顔立ちをしている。

 顔立ちはもちろんのこと、黒髪や性格も似ていて、唯一、リーリアに似ているのは緑の瞳だけだった。

 リーリアもルイスも、レイモンをとても可愛いがっているが、それ以上にルクレナが、レイモンを溺愛した。

 ルイスとリーリア、レイモンの3人が住む屋敷に、ルクレナがまた連絡もなくやって来た。


「レイモーン!ルクレナ姉さんが来たよー!!キスしておくれ~」

「きゃー!りゅくれなねぇた~ん」


 出会い頭に、ルクレナはレイモンを抱き上げてキスの雨を降らす。

 レイモンも、くすぐったそうにしているが、嬉しそうに、きゃっきゃっと喜んでいた。

ちなみに、ルクレナは、レイモンの伯母にあたるが、伯母とは呼ばせず、「ルクレナ姉さん」と呼ばせている。


「ルクレナ、ほどほどにしておけよ。

 レイモンに変な癖がついたら困る」とルクレナに注意するルイス。

「なんだ、ケチ臭いことを言うなよ、ルイス」

「そんなに子供が好きなら、さっさと相手を見つけて、自分の子でも産んどけ」

「もう~!簡単に言うなよ!

 誰のおかげでこの幸せを掴めたと思っているんだ!?」

「リアのおかげだが?」

「違うだろう!そもそも、その野猿と結ばれたのは誰の協力のおかげだ!?ああ!?」

「……ルクレナには、確かにリアと結ばれるにあたり、随分と助けられた。

 けれども、それとレイモンに変な癖をつけるのは別問題だぞ?

 話をすり替えるな」

「いやいや、レイモンはいわば、戦利品みたいなもんだろう?

 愛の策略と戦いで勝ちとった戦利品!」

「いや、普通に考えろ。

 戦利品とは何だ!

 ひとの息子をものみたいに言っているな」


 いつもの通り仲良しなやりとりをする姉弟。

 その横でリーリアは、ルクレナ達みたいな関係を微笑ましく眺めている。


「いや~、正直に言うとさ。

 私、この世で一番好きな人間って、ルイスだったんだよね~。

 あ、変な意味じゃないぞ?

 家族としてだぞ?

 誤解すんなよ、ルイス?」とルクレナが思いがけないことを言ってきた。


 ルクレナが止めるも、ルイスはすすすーっとルクレナから距離をとる。


「だから~、違うって!!

 でも、ルイスの奥さんには口出そうと思っていたけどな~」


 今度は、レイモンを抱っこしながら、すーっとリーリアもルクレナから離れる。


「おい、大丈夫だから、野猿!

 今さら、お前らの仲を裂いたりしないから、安心しろ」

「……本当ですか?」

「ああ!そうしないと、レイモンが悲しむからな。

 私はレイモンを悲しませるものなら、たとえ王族だろうと、暗殺集団の頭領だろうと容赦しないし、全力で排除するぞ!」と力強い宣言をして、最後にボソッと「……そう、皆殺しになってもな」と、とんでもなく物騒なことを、低い声で呟くルクレナ。


(ひっ、ルクレナ様、やっぱり怖っ!

 噂で、ルクレナ様が裏世界のボスの頭をすげ替えたって聞いたけど、きっと噂じゃないな………)とリーリアは、震えた。

そんなルクレナの怖さもしらず、レイモンはルクレナにとても懐いている。


「りゅくれなねぇたん、パパのちゅくったれもんけーき、たべよ?」

「ああ、そうだな!

 ルイスの作るケーキは、何でも美味しいが、特にレモンケーキが私は好きだな」

「れもん、すきなの?」

「ああ、レモンは好きだよ。

 でも、レイモンはもっと、もっと大好きだけどな!!」

「きゃー!」


 ルクレナは、またレイモンを抱き上げて、くるくる回りながら、ちゅっちゅっと絶え間なくレイモンにキスをする。


「うわ~、親馬鹿以上の強敵、伯母馬鹿がここに!」

「こら、変な癖がレイモンにつくから、ほどほどにしろ!」

「可愛いから、いいんだもーん!」


 やんややんやとリーリアやルイスから文句を言われても、へっちゃらなルクレナは、思う存分、レイモンを可愛いがった。


 しかし、年月は残酷なものだった。


 少し大きくなったレイモンが、リーリアの兄アーサーの娘である従妹イリーナに会った時、「僕、イリーナと結婚する!」と宣言してきた。

 それを聞いたルクレナは、ショック過ぎて、その場で倒れた。

 倒れて、ブツブツと呪いの言葉を唱えていた。


「へっ、わかっていたさ……。

 いつかは、可愛いレイモンをどこかの小娘に盗られるって。

 でも……」


 ガバッと顔をあげ、周囲をビクッとさせるルクレナ。


「早すぎないか!?

 まだまだ、レイモンは凄く可愛いのに、もう盗られちまったよ!

 早すぎだろうっ!?

 何が『良い男は、可愛い女に持っていかれる』だ。

 可愛い女というか、赤子だよ!

 しかも、見た目、野猿そっくりの小猿かよ!?

 相手も可愛い過ぎだろう!?なあ!」と軽く錯乱状態になるルクレナ。


「ルクレナ姉さん、どうしたの?

 僕、ルクレナ姉さんも大好きだよ」と優しく微笑むレイモン。

「本当か!?

 じゃあ、あの赤子じゃなくて、私と一緒にいてくれるな?

 せめて大人になるまででいいから!」

「ふふ、わかったから、そんな顔しないで?

 笑ったルクレナ姉さんが大好きなんだ!」

「レイモーン!!」


 ルクレナを上手いこと宥めるレイモンに、リーリアは、(レイモンは、誰に似たの?)と首を傾げる。

 ルイスは、すぐに気づいた。


「すまん、リーリア。

 レイモンは、ルクレナに似てしまった。

 小さい頃のあいつ、そっくりだ……」

「あぁ、なるほど。

 納得しました~。

 うーん、将来、不安かな?

 いや、むしろ安心かな?」

「とりあえず、ルクレナのような節操なしにならないように、レイモンを教育していこうな、リア」

「そうですね……」


 ルイスとレイモンの教育について真剣に話合うリーリアに、ルクレナは、「おい、ちょっと待て、聞こえているぞ!誰が節操なしだ!?」と怒っていた。


 レイモンは、将来、一途になってイリーナと結ばれるか、ルクレナのように老若男女、どんとこいっというような節操なしになるか、まだまだ未知数であった。

やっと番外編IFのレイモン登場!

次話は、本編ベースの番外編です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ