番外編 IF 野猿な囚人 30-2.(セリウス外ルート)元凶
残念な悪役がいるので注意!(飛ばし読み推奨)
死んだはずのアリーシアの母親が生きていた!?
ゾンビではないにしろ、本物の元王女かどうかわからないけど……。
いや、でも、私の勘だけど、残念ながらこの人は本物だと思う……。
困惑しながらも、リーリアはこの目の前の女性が義妹アリーシアの実の母親であると思われ、確認するべき内容が沢山あった。
「あ、あの、あなたは旦那さんと一緒に事故で亡くなったと聞いていて、それで残されたアリーシアは、我がメナード公爵家に引き取られたのですよ。
アリーシアは、両親が亡くなって、本当に悲しんでおりました。
生きていらっしゃったのなら、何ですぐにアリーシアのところに現れてあげなかったのですか?」
アリーシアは、家族を亡くしたことについては、本当に辛そうだった。
さっさと現れてくれれば、よかったのに!
それに、それならアリーシアがメナード公爵家の養女になることもなかったから、アリーシアとセリウス様が接触することもなかった。
つまり、私はアウスフォーデュ修道院に行くような事態は免れたかも知れない……。
もしものお話を考えても、現状が変わることはないが、リーリアは、自分がアウスフォーデュ修道院に入れられた元凶が、この人のせいではないかという気がしてきた。
「そうねえ~。でも、アリーシアなら大丈夫よ。
実はこっそりあの子と会っていたもの。
そもそも、偽の死亡確認したのも、あの子よ」
「ええ!?そうなのですか!?
アリーシアはあなたが生きているって知っていたんですね……。
じゃあ、偽の死亡確認って、どうやって死んでいないのに死んだことにしたのですか?」
「そうねえ。まあ、遺体が二つあったから、ちょうどいいかと思って細工したの」
「え?その遺体ってまさか……」
「ああ。ひとつは本当にあの子の父親フランツだったわよ。
あの子も父親が亡くなったから、本当に悲しんでいたわ……」
「それでは、もうひとつの遺体ってのは、何の関係もない方のだったのですか?」
「……私のじゃないから、そうでしょうね~」
そういうアリーシアの母親ユリアリーシアの表情は、酷く険悪なものに変わった。
さすがのリーリアも、その表情から、その相手はユリアリーシアの疎む相手だったのかと想像がついた。
あれ?もしかして、旦那さんが浮気している時の事故?
それで、ちょうど誤解されたから亡くなったことに?
でも、だからって、その身代わりの遺体になった女性の……。
「……あの、その身代わりになった方の家族が、彼女を探しているのでは?」
「……ふん、いいのよ。
その女は、フランツの元婚約者とか名乗って、よく私達につきまとってきてね。
もともと邪魔者だったのよ。
ちなみに、その女が行方不明ってことで、家族はまだ希望を持って探しているみたいだから、むしろ家族に希望を与えてあげているのよ!ふふ」
「……な!」
何それ酷い!
本当に、酷過ぎる!!
もうこの人、最悪だ!
人としての心がないのかな?
リーリアは、この人に悪事を聞き出すまでもなく、極悪人と思われた。
バーナルからの情報やリーリアへの態度からも、悪者とわかっていたが、ここまでとは思っていなかったリーリア。
もうさっさと捕まえておこう!
毒で痺れてたバーナルのことが心配だし、ルクレナ様やルイス様も無事かわからないから、早くみんなのところに戻りたいしね。
でも、そういえば、この人、私の「大切な人」を人質にとっているって脅していたな……。
さっさと捕縛してルクレナ達に引き渡したかったリーリアであったが、相手の脅し文句が気になってしまった。
リーリアは、内緒で自分の拘束具を外そうとしているが、その間だけでも、一応、確認しておいた方が良さそうなことは聞いておこうと考え直した。
「……アリーシアは、単独犯ではなく、あなたとグルだったのですね?」
「うーん、グルっていうか~。
アリーシアは私の目的のための大事な駒だったのよ」
「娘を駒って……。
あなたの目的とは?」
「ふふ。もう目的のものは手に入れたわ……」
「何を?」
「ふふふ……」
嫌な笑みを浮かべるユリアリーシアに、(あ、これは答える気ないのか)とわかり、質問を変えるリーリア。
「……何故、自分を死んだことに?」
「だって、そうしないと、あの女の捜索がうっとおしくて、自由に動きたかったからよ」
「え?今度のあの女って、どなたですか?」
「ふん、それはこの国で王妃とかやってる女のことよ」
「レイスリーア王妃殿下のことですか?」
「そうそう、いわゆる『悪役令嬢』ポジな女よ~」
「え?今、『悪役令嬢』っておっしゃいました?」
何気なく言った、ユリアリーシアの「悪役令嬢」という言葉。
リーリアは、聞き逃すことなく、敏感に反応した。
んん?
この世界に「悪役令嬢」なんて単語はなかった。
なんで、それをこの人が使っているのかな?
この人も、アリーシアと同じ前世持ちの関係者?
それか、もしかしたら、この人自身が前世持ち?
私と同じ日本の……。
リーリアは、ユリアリーシアと会話をすればするほど、疑問が湧いてきて困ったが、思い切って、彼女に日本語で話しかけてみた。
『あの、もしかしたら、日本人だった頃の前世をお持ちですか?』とリーリは日本語で聞いてみた。
「あら、やだ、それ日本語ね?」
『はい!日本語、おわかりになるのですね!?』
『そりゃあ、元日本人だったからね』
『あ、じゃあ、この世界に似た乙女ゲームのこともご存知で?』
「もちろん、よく知っているわ。
……ねえ、もう日本語をあんまり使いたくないから、日本語はやめて」
「あ、はい、すみません。
えっと、その、あのゲームのことをご存知なら、私のこともゲームでご存知ですか?」
「ええ、もちろん。
あなた、そのセリウスルートで必ず出てくる『悪役令嬢リーリア』よね?」
「そうです!」
「私、あのゲームが大好きでね、特にセリウス王子ルートが一番好きだったの。
攻略者の情報や攻略の仕方は、結構、覚えているけど、邪魔者の貴族令嬢達のことは薄っすらとしか覚えてなくてね。
でもね、『悪役令嬢リーリア』のことは他のより少し覚えているわ。
あのゲームは、他にも裏ルートや裏攻略者が出てくるレベルまでよくやりつくしたわ~!」
本当にそのゲームが好きだったのか、うっとりした顔でゲームについて語るユリアリーシア。
そして、あらためてリーリアのことをじろじろと観察してきた。
「へえ~、こうしてみると、あなたって、本当に『悪役令嬢リーリア』なのね~。
あなたのスチルの絵をやっと思い出したわ。
あら、でも、本物の方が何だか野性的な感じね?」
「え、そうですか?」
一瞬、褒められた!と思ってしまったリーリアであったが、あれ?褒めてないか?と思い直した。
「いやーね!あなたも転生者だったのね~。
だから、あなたはエンドを知っているから、セリウス王子に近づいたヒロインのアリーシアに、普通の貴族令嬢のような動きをしなかったのね。
あなたが前世持ちだったせいで、スト―リーやあなた自身が捻じ曲がったのかしら?」と、ため息をつくユリアリーシア。
そんなユリアリーシアの発言に、リーリアはまた自分が失敗したことに気づいた。
密かにリーリアは、ヒロイン以外の人物で、自分と同じ前世持ちの人がいたらいいなと思っていた。
できれば、その人物と友人関係になりたいとも思っていたこともあった。
でも、リーリアをヤレヤレといった感じで見下すユリアリーシアの態度に、リーリアは、自分が前世持ちだとばらしたことを後悔した。
せっかく同郷の前世持ちなのに、よりによってこの人物であったということは、もう変な期待をするのは止めようと思うしかなかった。
「私がこんなに手間をかけて、セリウス王子を手に入れることになったのは、あなたが元凶だったのかしら?」
「え?」
待って、待って!
今、また、つっこみどろこ満載の発言してた~。
つっこみが追いつかないよ!
え?まず、セリウス様を手に入れたって、どういうこと?
ああ、そういえば!
バーナルの言ってた、セリウス様がリアレース教会に捕まっているという噂が本当だってこと!?
「えっと、セリウス様がこちらに?」
「ええ、そうよ。
やっと、私の元に現れてくれたの。
これから彼は、あなたのことなんか忘れて、私色に染めるつもりよ。
ふふふ、楽しみ!」
「……先程、私に、痛い目に合わせると言っていた私の『大切な人』とはセリウス様のことですか?」
「そうね。でも、彼は私の大切な人だから、もうあなたの大切な人ではなかったわね~。
彼のことはあきらめなさいね、『悪役令嬢リーリア』」
「……亡くなったとはいえ、あなたには旦那さんがいらっしゃったのですよね?
それでも、セリウス様がお好きで、その、恋人になろうとなさっていると?」
「ええ、そうよ。何か文句がおあり?」
「えっと、旦那さんが可哀想ですね……」
「そうかしら?
……まあ、前世の記憶が戻った時、私、間違えちゃったのよね」
「え?何をですか?」
「私ね、フランツと初めて会った時、セリウス王子かと思って、間違えちゃったのよ~」
「??」
「似ていたのよね~、フランツったら、私の大好きだったセリウス王子の容姿とね」
「……それで、間違えるものですか?年齢も身分も全然違いますよね?」
「そうなのよ~。でも、私、自分があのゲームのヒロインだと思っていたの」
「自分がヒロイン?」
「そうよ。だって、私、ヒロインと同じ桃色の髪に水色の瞳だったからね。
それに、ヒロインって、セリクルド王国の元王女の子供っていう設定だったけど、私の父であるセリクルド王国の前王は、セリクルド王国の王女だった私の母の婿だったから、私は母親がセリクルド王国の元王女っていう条件も満たしていたのよね。
しかも、私の名前は『ユリアリーシア』なんだけど、愛称は『アリーシア』で、ヒロインと同じ呼び名で呼ばれていたの。
おまけに、この国の王がまだ王太子だった時、その婚約者で、『悪役令嬢リーリア』だと思っていた女が、本当は何だか長い名前だったけど、王太子から『リア』と愛称で呼ばれていたのを聞いたことがあって、てっきり『悪役令嬢リーリア』の愛称だとも思っていたわけ~。
あの女は私の覚えていた『悪役令嬢リーリア』と見た目もちょっと違っていたし、セリウス王子じゃなくて、王太子の方と婚約しているのが、ゲームと違うなとは思っていたのよ?
でも、ほら、ここはゲームの世界とよく似ているけど現実だから、ちょっとした違いが出たのかとも思ったのよね~」
「そ、そう、です、か……」とリーリアは、ユリアリーシアの言うことに唖然とした。
え、なに、その酷い間違い?
これって間違いってレベル?
間違いとかじゃなくて、何というか……。
しかも、ここが現実ってわかっていながらの思い込みとは……。
この人、怖い!
もう精神構造が恐怖のレベルに達している!
「それでね、今のランダード国王は、ゲームでのセリウス王子のお兄様である王太子にそっくりだったし、弟はいないことになっていたけど、私は何か事情があって、弟のセリウス王子のことを隠しているんだと思って、側妃になりたいって嘘をついて、この国に乗り込んでみたの。
そうしたら、セリウス王子によく似たフランツと出会ったのよ。
フランツと初めて会った時、この国の第2王子セリウス殿下の仮の姿かと思ったわ。
そこで、あのセリウス王子が手に入るならと思って、彼を操って駆け落ちまでしたけど、フランツは本物のセリウス王子じゃなくて、ただ似ているだけの元騎士だったわけ。
あの女の産んだ第2王子の名前がセリウスで、その後に私がアリーシアを産んで、やっと自分が本当はヒロインの母親だってわかったのよ。
私こそヒロインだと思っていたから、信じられなかったわ~」
「……!」
リーリアは、思わず絶句した。
その言っていることこそ、リーリアには信じられなかった。
要は、彼女のとんだ思い込みで、それでも彼女の身分や魔法のせいもあって、他の人達を巻き込み、迷惑を通り越して、不幸や人生を台無しにさせたということ。
絶句するリーリアを気にすることなく、べらべらと機嫌よく話すユリアリーシア。
「……アリーシアが生まれて、幸せで、もう自分がヒロインじゃなくてもいいかと思った時期もあったけど、フランツにかけた術が、フランツの元婚約者という邪魔者のせいか、よく解けるようになってしまってね……。
やっぱり、本物のセリウス王子を手に入れることにしたのよ」
「……あなたの『目的』は、セリウス様を手に入れることだったのですね」
「そうよ。本物のセリウス王子を手に入れるのに、随分と手間と時間がかかったわ~。
でも、その分のロスも、あなたの魔法で解決できそうだけどね!」
「は?私の魔法?」
首を傾げるリーリアに、軽く舌打ちをするユリアリーシア。
「ねえ、『アレースの魔女』。
あなた、本当は『時』を操れるんでしょう?」
「『時』?どういう意味ですか?
そもそも『魔女』なんて大層な名称で呼ばれる者ではありません。
ただの元貴族令嬢です」
「ふふふ、そんな言い訳いらないわ。
『時』の魔法って、人を若返らせたり、老けさせたりできるそうじゃない。
でも、魔力が凄い必要だから、『魔女』じゃないと使えないそうね。
このランダード王国で『魔女』と呼ばれるのって、あなた位らしいわね。
確かゲーム内でも、『悪役令嬢リーリア』は、『魔女』だって噂があったことも覚えているんだから」
「……ここはゲームの世界じゃないですよ。
現実世界、そのものです。
ご自分でも、つい先程、そうおっしゃいましたよね?」
この人、もしかしたら、旦那さんの事故死が衝撃的過ぎて、ひどい現実逃避に走ちゃったのかな?
そういえば、前世で私が乙女ゲームに嵌ったのって、彼氏の浮気が原因だったしな……。
この人も不幸があったせいで、こんなに狂ってしまったのかな?
リーリアは、ややユリアリーシアに同情的な気持ちが生じてしまっていた。
つい、リーリアは、一応、正論で説得してみようとするが、まるで通じない。
しかも、リーリアがなかなか自分の望む通りの返答をしないので、しまいには、切れだすユリアリーシア。
「御託は良いから、私を若返らせなさい『魔女』!」
「えっと、わ、若返らせるって、一体どうやって?」
「『時』の魔法を使ってよ!
魔法で若返らせられるということで、このリアレース教会のスポンサー達にも出資してもらっているしね。
言っておくけど、あなたに拒否権はないのよ!」
「……何で若返りたいのですか?」
「それは、もちろん、セリウス王子と恋に落ちるためよ」
「え?えーーと、その~、若返ったら、セリウス様が恋に落ちるのですか?」
「そうよ!若返れば、私こそ彼と釣り合うわ!
今度こそ、本物のセリウス王子と恋に落ちて、この人生をハッピーエンドで終わらせたいのよ!!」
「……そんなゲームじゃないのですから」
「あんたは、ゲームのリセットボタンみたいなものよ!
さっさと、魔法で私を若返らせてよ!!」
「リセットボタンって……。
でも、若返ったからと言って、セリウス様の心が手に入るのですか?」
「私には、人心操作の魔法があるから大丈夫よ。
たまに効かない人もいるけど、ほとんどの人に有効だったもの。
そういえば、あなたに効かなかったのって、今、思えば、あなたが前世持ちだったからかしら?
これは検証してみる価値がありそうね。
あなたや養父のメナード公爵にも、魔法が効かなかったって、アリーシアから聞いたわよ。
アリーシアは、あなたやメナード公爵は野猿だからって言ってたけど、二人とも前世持ちだったからかしら?」
「ええ!?
それって、つまり、お、お父様が前世持ちってことですか!?
いやいや、そんなこと、ありえないですよ!」
「あら?じゃあ、中身が野猿並みに低能だから無効だったの方があっているのね?」
「うっ……」
野猿親玉の父親と、野猿と呼ばれた自分のことなので、言い返せないリーリア。
何だか、そっちの方がしっくりときたので、そういうことにしておいた。
「……前世持ちがいるせいで、うまくいかないのかと思ったけど、野猿が乱入していたからね。
野猿の分際で、私のセリウス王子と一度でも婚約するなんて、やっぱり図々しい存在ね~。
本当にあなたって、私の幸せを阻む元凶なんじゃないの!?」と実はセリウスの婚約者であったリーリアにずっと嫉妬していたユリアリーシアであった。
「……!」
リーリアは、思わず二度目の絶句をした。
そっちこそが、間違いなく不幸の元凶なのに、何を言っているのか……。
少なくとも亡くなった旦那さんと旦那さんの元婚約者は、この人によって捻じ曲げられ、不幸にされた。
アリーシアも、この人に利用されていたから、今、あんなことになったのに……。
確かに、リーリアのせいで間接的にしろ、不幸になった人はたくさんいるかも知れない。
例えば、リーリアが、アウスフォーデュ修道院の結界を消したせいで逃げた囚人によって、危害を加えられた人々はいる。
彼らにとって、その災難が起きたのは、間接的にリーリアのせいとも言える。
けれども、彼女の言っている、セリウス様が手に入らないっていうのは、果たしてリーリアのせいであろうか。
自分の不幸を、自業自得と考えられず、すぐに他人のせいにする愚かな人間はいる。
まさに彼女はその愚か者だっただけとリーリアには思われた。
「……私は確かに不幸の元凶になったことがある、罪深い人間かも知れません。
だから、私のせいで、不幸になった人々のために、これから贖罪していくつもりです」
「そうよ!あんたさえいなければ、アリーシアにやらせていたことも上手く行ったかも知れないのに!
もっと早く、セリウス王子が手に入ったのに!!」
「……でも、あなたの思惑通りにいかないのは、私のせいというよりも、むしろ私は巻き込まれて、貴族としての立場を堕とされた被害者ですが?」
「はあ?何、被害者ぶってんのよ、『悪役令嬢』!
もし私の役に立てないのなら、覚悟することね?」
またもや切れて、リーリアを脅すユリアリーシアに対して、リーリアは感情を爆発させないように落ち着くために深呼吸をした。
リーリアの拘束具は、既に自力で外せたので、もうこれ以上の会話は無駄とリーリアは判断した。
「……わかりました。
『私の魔法』をお見せいたしましょう」
リーリアはもう本気で怒っており、しかも、ひどく空腹だった。
この二つが重なった時のリーリアは、とても厄介で、ランダード王国の最強かと呼ばれてもおかしくないほどの実力がでる。
リーリアは、ユリアリーシアがリーリアの「わかりました」の言葉に気を良くして、一瞬、大人しくなった隙に、予定通りに拘束して、カプセルような強固な結界に閉じ込めた。
もう彼女の声も、うめき声さえも聞こえないように……。
そして、このリアレース教会本部にいる人々も、以前、オークションにかけられた際に使用した手法と同様に、次々と拘束して、逃げられないようにした。
その捕まえた中に、セリウスがいたことを思い出したリーリア。
あ、そういえば、セリウス様がいるんだった!
一緒に、拘束しちゃったみたい、てへっ。
まあ、また洗脳状態のセリウス様だと、やり合うと面倒だからいいかな。
一応、捕まえたままにしておこう~。
そして、救出?に行こう!
セリウス様が正気なら、私の拘束なんて、自力でぬけられるでしょうし~。
リーリアは、リアレース教会の本部中の人々が身動きできない中、堂々とセリウスがどこにいるか探しに向かった。
フランツ・リドラー追加情報
フランツは、ゲーム内のヒロインでここでは野猿のライバル、アリーシアの父親で、今回の話のユリアリーシアに操られて結婚までさせられました。彼は、元はレイスリーア王妃の実家である公爵家に雇われていた有能で美形の騎士でした。
実は、フランツには妹がいて、その妹がレイスリーアと同じ顔をしていたため、公爵家に妹と一緒にフランツも雇われることになりました。レイスリーアは、その時にもう王太子の婚約者であったため、リドラー兄妹は二人とも王妃護衛になる予定で、妹は王妃の影武者兼側仕えとして、フランツはレイスリーアと妹を護衛する騎士として、教育されていました。
ルクレナとルイスの母親が、このフランツの妹です。つまり、フランツは、彼らの実の伯父にあたります。
だから、フランツは、ルイス程ではないのですが、レイスリーアに似ているセリウスに、よく似ていたわけです。不幸にも……。




