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番外編 野猿に甘い誘惑

セリウスとリーリアが婚約したばかりの頃のお話です。

 まだ、セリウスやアーサーが8歳、リーリアが6歳の頃。


 リーリアと無事に婚約できたセリウスは週に2回は、メナード公爵家を訪れて、リーリアと交流していた。


 しかし、いまだにリーリアはセリウスを警戒しているようで、会うときは大抵、アーサーと一緒で、いつもアーサーの後ろに隠れるようにしている。


 うんっと可愛がりたいセリウスにはそれが不満でしょうがなかった。


  今日も、セリウスの来訪により、用意されたお茶会では、リーリアはセリウスの隣ではなく、お向かいにいるアーサーの隣に座り、なるべくセリウスの手の届かない距離に行こうとする。それに苛立ったセリウスはリーリアに呼びかける。


「リーリア、僕の隣においで!何なら膝の上でもいいよ。抱っこしてあげる♪ほら!!」と呼びかけても、行くわけがないリーリア。


 アーサーも「殿下。妹にはきちんと椅子へ座らせてください。あと、たとえ子供でも王族たるもの、隣にきてもキスしたり、抱っこしたりと婚約者だからと言って気安く触らないでください」と小姑のように言ってくる。


「僕はリーリアと二人っきりになりたいんだ。アーサーは席を外してよ!」と文句を言っても、「父からできるだけ立ち会うように言われております」とすました顔のアーサー。


 しかし、今日は運悪くアーサー付きの教師の都合で、このお茶会の時間帯とアーサーの必須の勉強時間がかぶってしまった。やむなく途中退席するアーサーに対して、黒く微笑むセリウス。8歳にして公爵家に雇われた家庭教師のスケジュールなんか、もう簡単に操作できるセリウスであった。


 リーリアもアーサーと一緒に退席しようとしたが、それをセリウスが許さず、二人っきりのお茶会が続行された。


 ぷーと不満そうな顔のリーリアに、その顔も可愛いな~とデレデレとしながら、セリウスは秘策にでた。


 それは、王都の子供たちの憧れのお菓子屋「キャロルの店」のお菓子である。

 しかも、今日のお菓子は王族のために献上された特別な品「口溶けフルーツゼリー」である。これは口に入れると、雪のように溶けるのに、食べた後にフルーツのさわやかな甘さが残るという、一度食べたら病みつきになる逸品である。


 お向かいに座るリーリアに甘く、優しく話しかけるセリウス。

「リーリア、今日、持ってきたお菓子はね、王族しか食べられない特別なお菓子だよ。食べてみない?」と本当に甘いもので誘惑をする。


  警戒中のリーリアであったが、もらうお菓子に変な薬物が混ざっていない限り、喜んで食べる。


「何味がいい?苺にりんご、ぶどう、さくらんぼと色々あるよ?」


「……いちご」と答えつつ、全部!と秘かに思っているリーリア。


「苺ね」と言って、リーリアへ苺味のものを1個、素直に渡すセリウス。


 そのフルーツゼリーを1個食べたリーリアは、衝撃をうけた!


「っ!!」


 な、何というおいしさ!こんな美味しいお菓子がこの世にあったとは!!


 感動したリーリアは、すぐにセリウスへ次の催促をすると、セリウスはニッコリ笑って言った。


「もっと欲しい?それなら僕のお膝においで!」と両手を広げて待ち構えた。


 いつものリーリアなら、そう言われると、かなり引いて渋るか、お菓子をあきらめるか、アーサーに止められるかしていた。しかし、今日のリーリアは野猿のごとく、食欲という欲望丸出しであった。


 飛び乗るようにセリウスの膝に座ると、息も荒くお菓子を催促するリーリア。


 ゼリー!ゼリー!!次はさくらんぼがいい♪

 はーやーくー!早くちょーだい!!


 そんなリーリアに、悶えるセリウス。しかも、悶えながらもがっちり逃さないようにリーリアを膝の上で固定した。


 やった!やったぞ!今日は捕獲成功だー!!


 そして「キャロルの店」には王室御用達の金賞を送ろうと思うセリウスであった。


 リーリアにフルーツゼリーを与えながら、誘惑するセリウス。

「ねえ、リーリア。王宮で僕と一緒に暮らすとね、このレベルの美味しいものが毎日食べ放題なんだよ~。だから、今日からでも王宮に来ない?

 あと、リーリアのお家の木々ほどではないけど、リーリアが登りたくなるような立派な木もあるし、季節になると、甘くてとってもおいしい木の実がなる木もあるんだよ~」とリーリアを何とか王宮へ連れて行こうとする。


 リーリアは毎日、食べ放題あたりで、かなり惹かれたが、ここ最近、両親やアーサーから、セリウスの誘惑に乗らないように厳しく言われているため、首を横に振る。


 そんなリーリアにため息をつきつつも、腕の中にリーリアがいることにしばし幸せを感じるセリウス。

 そして、今日のリーリアはお菓子に夢中のため、この機会に思う存分、抱きしめながら、リーリアの旋毛にキスしたり、リーリアのほっぺについたゼリーの欠片などを舐めとったりと、いつもなら全力で拒否られるような行為を堪能していた。


 アーサーが戻ってきて、いつものように、リーリアをべりっと引き剥がされるまでは……。

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