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野猿な悪役令嬢

  魔法が存在する世界にあるランダード王国。

  その国では15歳以上になったら王侯貴族が通わないといけない全寮制の学院がある。


  ある日、その学院の校舎裏にある人目がつきにくいところに、学院に通うメナード公爵家の令嬢リーリアは、つい最近、義妹になった同じ学院に通うアリーシアに呼び出されていた。


  リーリアは自分の寮の部屋には来ずに、なぜ呼び出すのか不思議に思いながらも、呼び出された場所に行くと、アリーシア以外に付き添いの男子生徒が3人も一緒に待っていた。


(あれれ?何だろう、嫌な予感……)


  単にアリーシアの友達というのなら問題ないのだが、その3人は、宰相の息子エドワード様、魔法省長官の息子クリス様、隣国の王子サリュー様と、そうそうたるメンバーのため、思わず嫌な予感がするリーリア。


「リーリアお義姉さま……」と義妹のアリーシアは、付き添いのエドワードの後ろで、なぜかおそるおそる、話しかけてくる。

「ええ、どうしたのですか?」


 そう気楽に聞いてくるリーリアに、意を決したようにアリーシアが話し出す。


「あの、実は、私、お義姉さまの婚約者であるセリウス様から新たな婚約者になるように申し込まれました。お義姉さまにもその話は伝わっておりますか?」

「は?え?初めて聞きました!そうでしたの!?」と驚いたリーリアに衝撃の事実であった。

「はい、そうなのです、お義姉さま。

 それでは、セリウス様からは長年婚約関係にあったお義姉さまに言いづらくて、まだ言い出せないのでしょうか。私たちとても愛し合っていて、両想いなので、みなさんも応援して下さるのですが……。どうすればいいのでしょう……」


 悲しそうにするアリーシアの言葉に、エドワードがフォローしてきた。


「そういうことなんだ、リーリア嬢。はじめは私たちも、彼女の言うようなセリウスの心変わりが信じられなかったのだが、セリウスの彼女への態度は明らかに彼の周りに群がる女性とは一線を画していたよ。

 もっとも君への態度も他の女性とはかなり違うが、どうも恋人というよりも気安い幼馴染というか、ペット……、いやいや可愛い妹のように思っているように見えるのだがね。

 まあ、セリウスがきちんと女性扱いしたのはアリーシアが初めてと思えてね」

「はあ、そうですか……」

「だから、君の方からセリウスへ婚約解消を言い出した方が、君へのダメージも少ないし、私も少なからずサポートするよ」と親切そうなエドワード。

「そうだね、僕もサポートするよ。君は先日、魔法省への入省必須資格の魔法導師の資格試験に見事、合格したよね。だからもし君がこれから結婚できない事態になってしまったら、就職先として僕が魔法省に入省できるように父へ口添えするよ。女性の魔法導師は少なくて難関だけど、できる限り応援するよ」と魔法省にコネをもつクリスに励まされた。

「もしこの国での結婚や就職が難しいのなら、アリーシアの幸せのためにも、私が我が国での結婚相手や就職の紹介をしても良いぞ。なんなら私の第2側妃の座はまだ空いているしね」と隣国の王子のサリューまで冗談を交えてフォローしてきた。


 リーリアはこの国の第2王子のセリウスと婚約して早10年。

 婚約者のセリウスとの仲は、時々、面倒くさいと思えるほど、いたって良好のはずだと思っていた。

 しかし、そう思っていたのはリーリアだけであったのかと、ちょっとだけ寂しい気持ちになった。


(でも、まだセリウス様とアーサー兄様がいないってことは、これは正式な断罪イベントというわけではないのね!これは前段階の婚約解消打診イベントね。それならバッドエンド回避にまだ間に合う、よかった!!)と、心の中で考えるリーリア。


  実は、リーリアには前世の記憶がある。

  前世のリーリアは、日本という、この世界とは異なる世界の国で生まれた。

  その日本という国の娯楽で、特に女子向けの遊戯である乙女ゲームという恋愛シミュレーションをするものがあり、前世のリーリアがお気に入りであったゲームのひとつに、なんと今、リーリアたちが暮らしているランダード王国が舞台として描かれているゲームがあった。

  そのゲームの主人公アリーシアは庶民として暮らしていたが、実はランダード王国の身分の低い騎士とかけおちした隣国の王女の娘で、両親の死で事実が発覚する。そこで、その騎士の元上司であった騎士団長の家、メナード公爵家に引き取られ15歳の時に公爵令嬢として学院に入学するところから、物語は始まる。

  恋愛の攻略対象には、第2王子セリウス、宰相の息子エドワード、騎士団長の息子でアリーシアが引き取られた公爵家の跡継ぎアーサー、魔法省長官の息子クリス、隣国の王子サリューなどの豪華メンバーがいる。そして攻略対象には、全員婚約者がいるため、各ルートの攻略をするには、それぞれの婚約者が悪役令嬢として立ちはだかるシステムになっている。

  そのため、セリウスの婚約者であるリーリア・メナードが、一番人気でもあったセリウスルートでは当然、一番の悪役令嬢となり、断罪イベントでは、たとえリーリアが何もしなくても冤罪で裁かれる腹黒セリウスの地獄のルートと呼ばれていた。そのルートで、婚約破棄を拒んだ悪役令嬢リーリアの結末は、良くて公爵家から勘当の上の無一文で国外追放後の娼婦堕ち、悪くて女性重罪人が集まる強制労働つき監獄行であった。


  この世界のセリウスはそこまでひどい策略家ではないはずだが、油断はならない。

  そもそもセリウスルートでここまで悪い結末が待っているのは、悪役令嬢リーリアが、何が何でも婚約破棄をしないと頑固にいいはったため、色々とこじれて、セリウスを心底、怒らせたためである。

  今回のような婚約解消打診イベントでリーリアが素直に受け入れると、セリウスルートの恋の障害は別な事項に切り替わり、リーリアがそこまでバッドエンドなめにあわない。幸いにもそれを知っていたリーリアはこの打診イベントにのることにした。


「承知いたしました。みなさまのサポートが受けられるなら心強いですわ。

 明日にでも、セリウス様と婚約解消についてお話してみますね」と快く答えたリーリアにアリーシアは涙ぐみながら喜び、エドワードもほっとした顔をして、クリス、サリューもにこやかに頷きあっていた。


  翌日、リーリアは自分の婚約者セリウスへ、早速、婚約解消の話をするためにセリウスの寮の部屋を訪ねた。


「セリウス様、今、よろしいでしょうか?大事なお話がございます」

「うん、いいよ。入ってリーリア。どうしたの?」

「私は直球で、トラブル(断罪)を回避したいと思いまして」

「うーん?何のことかな?」

「先日、アリーシア様とセリウス様が両想いであることはもう周知の事実と、多数の方から言われました」

「は?」

「そうなりますと、私はセリウス様の現在の婚約者として邪魔者の立ち位置ですが、決して殿下の恋路を邪魔するつもりはございません。

 むしろ応援いたしますから、どうぞアリーシア様と添い遂げてくださいませ」と、リーリアはちょっとテンパリながら言った。

「ごめん、リーリア。さすがの僕も今の説明では、話がよく理解できなかった。

 君の言うアリーシア様って?アリーシア様って誰だっけ……、ああ、もしかして最近、君の義妹になったアリーシア・メナードのこと?

 そもそも君が邪魔者ってどういうことなの?」とセリウスが首をかしげる。

「ですから、アリーシア様とセリウス様が両想いというご関係において、いまだに婚約者である私は邪魔者であるということで……」

「待って、僕がアリーシア嬢と両想いの関係だって?」

「そうですわ、セリウス様。

 アリーシア様なら、新たなセリウス様の婚約者として身分も見た目も不足ないはずですし、魔力も王族だけあって十分でございます。

 隣国の関係もさらに発展するなどの色々と利もございますし、何といっても両想いのお二人の邪魔はしたくございませんので、私からの婚約解消を申し上げます」とリーリアは言い切った。


 すると、部屋の温度がやけに下がったように冷たい空気がながれた。

 セリウスが冷たい笑顔でリーリアに答える。


「へえ、リーリア。

 今、君は僕と婚約解消したいって言ったの?

 しかも、アリーシア嬢と僕が両想いだって誰が君に言ったのかな?

 つまり、義妹のアリーシア嬢と浮気しているって言いたかったのか……。

 そのうえ、浮気を何とも思っていないどころか、むしろ身を引くとか言っているってこと?」


 さらにもまして氷のように冷たい空気を出し始めるセリウス。


「いえいえ、何とも思っていないわけではなく大変残念に思っておりますが、殿下の幸せのためなら、この身を引く……って、いひゃひゃひゃあー」


 セリウスは話そうとするリーリアのほっぺを、がっつり両手でもって、左右にひっぱっていた。


「婚約解消なんて絶対許さないよ。全く、ここまで学習能力がないのには本当に困ったものだね。可愛さ余って憎さ100倍になりそうだよ」

「いひゃいれす!ひゃーなーしぃーてー」

「僕の気持ちがわからないような悪い子にはお仕置きだよ?」


 リーリアの頬をムニムニと遠慮なく捏ねてひっぱり、楽しむセリウス。


 おうっ ほっぺがちぎれそう!


 急いでリーリアはほっぺをセリウスの手から奪還した。


「な、なんてことするんですか!淑女に対して相変わらず、信じられないですわ!!」

「リーリア。もし君が淑女なら、僕は史上最高品性の王子だぞ。

 最近、君は野猿からやっと猿人に進化したと思ったら。

 君こそ相変わらず、人間の気持ちがわからない野猿な思考回路しているね。ひどいな……」

「ひどいのは、セリウス様ですわ!先程から野猿、野猿って何なのですの!?ひどいですわー!」と言って、リーリアは走って逃げようとするが、しっかりセリウスに二の腕を捕まれて逃げられない。


 はーなーしぃーてー


 ブンブン腕をふっても外れないセリウスの手。

 おまけに、セリウスはにっこり微笑みで、でも目は一切笑わず、リーリアに質問してくる。


「ねえ、リーリア。君に僕がアリーシア嬢と両想いとほざいたのはどこのどいつだい?」

「えーっと……」

「リーリア? ヘタな抵抗は時間の無駄だよ」と、セリウスはすべてを凍らせるような笑みを浮かべる。

「ひぃー」

「詳しくね?」

「アリーシア様ご本人とエドワード様、クリス様、サリュー様などの殿下のご友人たちです」

「へぇ~、なるほど。わかった。アーサー以外の奴らだね。

 それはともかく、アリーシア嬢との件を真実かどうか、まずは肝心な僕に確認もせずに話をすすめたのは何でかな?

 もっとも僕のことを知っていれば、僕がアリーシア嬢を君の義妹ということ以外、彼女自身に興味すら全くないこともわかるはずなのにね~」

「マァ、ソーナノデスネー。ヨカッタデス」と棒読みで返事をしたリーリア。

「では私はもう失礼いたしま~す」と、自分が誤解していたことに気づき、今度は本気のダッシュで逃げようとした。

「待とうか。リーリア」


 またもやセリウスにしっかり捕まえられたリーリアはどうしても逃げられなかった。

 しかも、そのまま部屋の奥にあるセリウスの寝室まで引きずられていった。


「お待ちください、セリウス様!いくらまだ婚約者であっても、男女二人っきりで寝室はまずいですわ!!」

「まだ?リーリア。君は今、『まだ』婚約者って言った?

 それは、どういう意味で『まだ』って言ったのかな?

 もちろん結婚を控えているけど、まだ婚約者という意味だよね。

 それとも、まだ婚約解消する前の婚約者という意味?」

「ええっとー。け、結婚を控えたまだ婚約の身という意味です。はい」


 心の中では後者の意味で言ったつもりであったが、それを伝えてはいけないとリーリアの危機回避本能が叫んだ。


「正解だよ、よかったね。ここで後者と答えていたら、すぐにでも既成事実を作らないといけないところだから、今から明日まで足腰立たなくするところだったよ」


 ひぃー

 やばかった!


 怯えるリーリアの気持ちも知らず、セリウスはそのままリーリアを抱き上げてベッドまで連れて行き、ベッドへうつぶせに投げ出した。

 さらに、うつぶせに倒れたリーリアの上にすぐにセリウスが抑え込むように乗っかってきた。


「ちょっ、セリウス様!重いです!!何するんですか!?」とジタバタ抵抗するリーリア。

「いやー、野猿には、上下関係をわからせるためにマウンティングが効果的って本に書いてあったんだ」

「野猿にはって、私はれっきとした人間ですよ!?しかもマウンティングって、ひどいっ!」

「ひどいのはリーリアの方だよ」

「どこがですか!?とりあえず、退いてください!」


 大きくため息をつくセリウス。


「ハアー、わからないならもう大人しくして、リーリア。

 このまま僕の気が済むまでじっとしていれば、今までの平穏な関係を続けられるかもよ。

 でも抵抗するなら、このまま既成事実をつくるために無事ではいられなくさせるよ。

 大きいお腹で結婚式を挙げたい?」


 初心なリーリアには、とんでもない脅迫であった。

 リーリアは、ピタッとジタバタしていた手足を止めて、自分は置物と化すことにした。


「ん、いい子だね、リーリア」


 大人しくなったリーリアに、ひとまず満足したセリウスは、リーリアの上にまさにマウンティングの姿勢で乗りあげたままじっとしていた。

 お互いしばらく、そのままの体勢でいたが、そのうちセリウスがリーリアの髪やうなじにちゅっちゅっとついばむようなキスをしてきた。


「ひぅ!や、やめ、おやめください、セリウス様!」

「だめだよ。じっとしていて」


 抵抗できず首まで真っ赤になったリーリアを、いとしいと思ったセリウスは、さらにキス攻撃をしながら、リーリアに質問をした。


「ねえリーリア。君は……。

 先日、魔法省の入省資格でもある魔法導師の試験に合格していたね。

 第2王子の妃になるなら不要な資格なのに、なぜその資格を取ろうと思ったの?」

「そ、それは……」

「しかも僕に何の相談もことわりもなく受けたよね。なんで?」

「魔法を自由自在に操れることに憧れておりましたし、力試しにと思いまして。あと魔法省の仕事にも興味が……」


 リーリアは確かに前世の記憶が戻ってから憧れの魔法が使えることに喜び、できることなら魔法省に関わる仕事に就きたかった。また、もしセリウスに婚約破棄されたら、誰とも結婚ができなくなる可能性が高いため、その際の生活の自立手段としても必要と考えたからであった。今のセリウスには絶対に言えないが。


「ふーん。魔法の力試しね……。

 本当は将来の魔法省のホープ、クリスに憧れて、その気を引くためなのでは?

 魔法省に入りたがる女子には、その手の女子が多いって聞いたよ。だから、僕と婚約破棄したかったのかい?」


 おうっと!これはクリス様との浮気を疑われておりますな。とんでもなーい!


「いいえ、まったく!クリス様には全く興味はございません。

 それにクリス様には立派な婚約者がいらっしゃいますわ」

「ふーん、じゃあ、クリス以外の魔法省の誰かが目当て?」

「いいえ、そんな方も誰も一切おりません!」

「へー、そう。

 じゃあ、僕とアリーシア嬢をくっつけたがったのは、とりあえず、僕と婚約解消したかったから?」

「は?いいえ。別にくっつけたがった覚えはないのですが……。

 婚約解消をしたいというより、ただ、殿下が私と婚約解消を望むのならば、素直に応じるという意味です。はい」


 そう、もしここが乙女ゲーム通りにすすむ世界ならば、王子はヒロインに魅かれ、ヒロインとの恋の邪魔者でしかない悪役令嬢が、たとえ冤罪だろうと断罪され、酷いめにあう可能性は否めない。リーリアとしては、そうならないための回避策でもあった。あとは、自由を愛するリーリアにとって、この婚約者の自分の主人然とした感じが苦手で、腹黒いところが怖かった。未来の夫で、しかも王子という立場だからしょうがないことではあったが……。


「なーんで、そんな簡単に婚約解消に応じちゃうかな?

 僕と解消したら、下手すると君はずっと結婚できないかも知れないのだよ?」


(まぁ、婚約解消しようとも、僕が絶対に僕以外の誰とも君を結婚させないようにするけどね)と、黒いことを考えるセリウスであった。


「そ、それは……」と、リーリアが別に結婚できなくても大丈夫と本当は答えたくても、何だかセリウスの言葉の裏の黒い部分をリーリアは本能的に感じ取って怖くなり、言葉がつまってしまう。いつものことであるが。


「まあ、それより、アリーシア嬢の件だけど。

 彼女は君にぬけぬけと僕と自分が恋仲だって言ったみたいだけど。

 実際は、リーリアの義妹になった子だから、リーリアのために他の女よりは親切にしていた程度の扱いだったけど、何を勘違いしたのか……。

 しかも、それでなんで君から婚約解消を言わせるっていう話になるか不思議だね。

 以前、君の親友面して近づいてきた女を思い出すな~。またアリーシア嬢もあの女と同様に、君にいじめられて公爵令嬢としてあるまじき行いをしたとか、階段から突き飛ばされて殺されかけたとか、ほざいたりするつもりだったのかな?

 それなら、リーリアの外面に騙されているとしか言いようがないな。本当は中身が野猿レベルだから、そこまで高等なことできるわけないからありえない話なのにね。

 これはアリーシア嬢にもきちんとわからせてあげる必要があるみたいだね~。

 あと、他には何もされなかったかい?」


 セリウスはリーリアを心配しているようで、とてつもなく馬鹿にされたうえに何だか怖い。

 そして、リーリアはかつて、セリウスによって排除された少女を思い出した。リーリアの友達としてリーリアに近づき、リーリアを溺愛するセリウスとの仲を裂こうと色々とリーリアを陥れようとした少女。ある日、セリウスからは笑いながら、リーリアが二度とその少女に会うことはないと言われた。アリーシアもその彼女と同様なめにあうのではという不安が生じる。

 野猿と言われるだけあって、リーリアは危険に関してはわりと野生の本能が強かった。そのため、危機回避のため否定する。


「いえいえ、他は特に!」

「そう、ならまだセーフにしようかな。今回は色々とバックが厄介そうだからね」というセリウスの言葉にリーリアはやや安堵した。

 とりあえず、アリーシアがセリウスにすぐに排除されることはないと思った。



 こうして、リーリアが安堵している矢先に、実はリーリアのことを秘かに想い、もしセリウスとの婚約が解消されたら真剣にリーリアを第2側妃にと考えていたはずの隣国の王子サリューが、なぜか従妹のアリーシアとできてしまい、最終的にアリーシアはサリューの第2側妃として隣国に渡ることになった。

 その裏でセリウスが動いたと、さすがにリーリアも薄々は気づいたが、深く考えるのをやめて、そのまま、セリウスと無事に結婚することになった。


 結婚後の新居の庭にはリーリアが、子供の頃、好きでよく昇っていた公爵家の木々と同じものを植えてくれたセリウスに、リーリアはあらためて愛情を感じながら、幸せに暮らすのだった。

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