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99.〈RZ〉 Ego

〈RZ〉=return to zero、すなわちゼロ復帰のこと。

 何十時間もぼやけた暗い天井を眺めていた。この空間にいる限り、それ以外にできることは何も無かった。誰も何もさせてはくれなかった。

 数時間後には、また闇に覆われて何も見えなくなった。今が何時何分なのか、もう知る術は無かった。


 突然、止まりかけていた時が再び流れ出す。

「獄中生活はどうだった?」

 破壊と崩壊の入り混じる音。ボロボロと障壁が砕けていく騒音の中で、微かに笑い声がする。と同時に、一つの影が姿を現した。俺はもう知っていた。…シナガミ、君なんだろ?


「アタシ、まだ生きなきゃいけないの。だから助けて」


「そうか」


「キミは死ぬんでしょ?死のうとしてるんでしょ?なら、アタシがちゃんと連れてってあげる。だから手伝って欲しいの」


「俺は一人で死ねる。君に殺されずとも」

「そうじゃない……キミはちゃんとキミ自身の手で死ぬの。でも、今のままだとキミは死ねない。……だってキミは一人で死を選べないから」


「・・・」


「アタシも知ってるんだよ?未来のキミのこと」


「……俺は君のために何をしてあげられる?」

「死。それだけ」

「……なら、君は俺のために何ができる?」


「キミが望むならなんでも……なんてね」

彼女はまた小さく笑った。


「〈past〉と〈future〉に会いに行こう。キミはそこで真実を知るの」 

 

 今、何となく君のことがわかったよ、シナガミ。

 俺はどうやら真実を知る必要があるみたいだ。


「ああ、そうするよ」


 ごめん、香代。そっちの世界に行くのはもう少し先になりそうだ。

 これが終わったら、すぐに行く……。だから少しだけ待っていて欲しい。

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