魔法を使ってみました。
とりあえず周りを見渡してみる。
すると近くにカバンのようなものが落ちていた。
さっそく鑑定を使ってみる。
無限収納カバン
無限に物を入れられるカバン。カバンを持って出したいものをイメージすると中のものが出てくる。
中身の確認のため、すべてのアイテムを取り出してみる。
入っていたのは次のものだ。
・食糧 1週間分
・水 1週間分
・テント
・サバイバルナイフ
これだけしか入ってなかった。
普通なら絶望的な状況だが俺は元軍人だ。
訓練で無人島にナイフ一本持たされて放置されたこともある。
どうにかなるだろう。それより早く休めるところを探さないと。
サバイバルにおいて安全の確保は一番にしないといけないことだ。
耳を澄まして水の音がしないか確認する。
すると近くに水の流れる音が聞こえた。
すぐさまカバンの中身を片付けて音の聞こえたほうへ警戒しながら進む。
5分ほど歩くと川が見えてきた。
川の近くにはあまり木が生えておらず見渡しがよかった。
ここなら何か来たときわかりやすいだろうし、ここを当分の拠点とするかな。
テントを張り、川の水が安全か確認する。
無駄な動きを一切せず流れるように作業していく。
ここでおれは今、自分がスーツ姿だということを思い出した。
暗殺の作戦で市民に紛れる必要があったためスーツを着たままだった。
スーツでする作業ではないなと思いすぐに上着を脱ぎカバンにしまう。
その時、向かいの茂みから一匹のスライムが体を揺らしながらやってきた。
こいつが魔物か。さすがの俺でも知ってるぞ。こいつはスライムだな。
昔流行ったゲームに出てきた最初のチュートリアル用モンスターだ。
せっかくだしこいつに鑑定を使う。
アクアスライム レベル100
HP4000 MP2000
スキル 水魔法 物理攻撃半減
ファッ!?
いきなりレベル100のモンスタ―が出てくるなんて予想することができるはずもなく、目の前に現れたスライムのステータスを見て変な声を上げてしまった。
おいおい、初めてモンスターと戦うっていうのに強すぎだろ。
いや、待てよ。いきなりのレベルで驚きはしたがよくよく考えれば向こうの世界の基準とこっちの世界の基準が一緒とは限れないよな。
もしかしたら俺もレベルが100あるかもしれない。
よし、そうとなったらさっそく確認だ。
心の中でステータスと唱える。
雑賀一哉 男 20歳
レベル1
HP 100 (体力)
MP 100 (魔力)
STR 100 (攻撃力)
VIT 100 (防御力)
INT 100 (知力)
AGI 100 (素早さ)
スキル 鑑定 言語自動解釈 ステータス変更 スキル強奪 全魔術使用可能 ステータス大幅上昇
ファッ!?
今日二度目の奇声を上げる俺。
おかしいだろ。なんでステータス大幅上昇があってこのステータスなんだ。
その時ふと、女神に言った言葉を思い出した。
「最初はどっか町の近くで人気の少ない森とかに飛ばしてくれ」
このフレーズをよく考えてみる。
町の近くにあるのに人気のない→誰も入らないから人気がない→なぜ誰も入らない→モンスターが強いから。
自分の中でこの状況に対する答えが導き出された。
最初はこの世界になれるために森がいいって言ったのにこれじゃあ・・・・。
その結論に達した時、スライムが激しく動き出した。
プ二プ二プ二プ二・・・
スライムが動き続ける。
するとスライムの目の前に水の塊ができ始めた。
まずいっ。
そう感じたと同時に水弾が飛んでくる。
横に飛び跳ねるようによけるが間に合わずわき腹に直撃する。
くっ。
わき腹に激痛が走る。
出血するほどではないが水とは思えないほどの威力だ。
傷のチェックをした後スライムのいたところに目を向ける。
しかしそこにはすでにスライムはいなかった。
どこ行った?
立ち上がり周りの様子をうかがいながらサバイバルナイフをカバンから取り出す。
後ろから殺気を感じた。
振り返るとスライムがさっきと同じように激しく上下動している。
俺はスライム目掛けてナイフを投げると川の中に飛び込んだ。
ナイフはスライムにダメージを与えることができなかったようだが楽に川には入れた。
あれが魔法か。
俺も魔法が使えるようだからどうにかして出せないかな。
すると部下にいたオタクの自衛官の顔が浮かんできた。
「雑賀さん、いいですか。今僕がはまってるラノベは異世界ものっていうんですよ。
これは魔法の使える世界で無双する話なんですよ。えっ!?魔法の使い方ですって?そんなの感覚ですよ。想像したらできるんじゃないですか?まぁそんなことよりもこれのいいところがですね・・・・・」
そのあと一時間以上その内容について語られた。
確かイメージがどうとか言ってたな。
さっき見たことと同じようにイメージしてみる。
すると水の中なのに丸い水っぽいものができた。
しかし飛んでいくことはなかった。
なぜだ。なんで動かない。
水の中で考える。訓練で5分間の潜水を経験しているのでまだいけそうだ。
飛ばないのは何か理由があるはずだ。
俺は今、銃で例えるなら弾は作ったということになるんだよな。
てことは本体の部分が必要だ。
よし今度はそこを意識してイメージしてみよう。
水弾を思い浮かべ、爆発によって、弾が発射されるイメージをする。
するとできた水弾がイメージ通りに発射され、水際の壁に当たった。
驚くことに俺の放った水弾はスライムが放ったものよりはるかに速かった。
恐らく銃を見たことがあるというアドバンテージがあるからだろう。
これで何とかなるかもしれない。
そこでふと気づいた。
体がだるい。
なんでだ。もしかしてこれが魔法を使ったことでMPが減ったということか。
ステータスを確認してみる。
するとMPの部分が100から50になっていた。
どうやらその考えでいいようだ。
そろそろ息がきつくなってきた。
目までを水中から出してスライムの位置を確認する。
するとスライムがイノシシのようなモンスターと戦っていた。
息継ぎをするついでにそのイノシシの鑑定を行う。
ボア
HP6421/8000 MP0/0
スキル 攻撃力アップ中
こいつは魔法を使えないみたいだな。
魔法を使えるスライムの方が有利かな。
すると戦いは俺の予想を裏切る展開となった。
スライムが水弾を放つ前にボアが突進してダメージを与えているのだ。
スライムは物理攻撃半減を持っているはずなのに一撃でHPが4分の1ほど削られる。
なんとか距離を開けようとするスライムだったが、ボアの方がスピードが速くあっという間に追いつかれて攻撃される。
3回ほど追いかけっこが続いた後スライムはボアにやられた。
俺は見つからないように再び水中に身を隠す。
ボアは特に周りを気にすることなく森の中に帰って行った。
ふ~
川の中から上がってスライムの死体に近づく。
すると死体は光の粒子を出しながら透明になっていっていく。
スキル強奪の発動の仕方がわからないのでとりあえず消えかかっているスライムに触ってみる。
すると頭の中に
スキル ダメージ減少を手に入れました。
と響いた。
どうやらうまくいったみたいだ。
スライムの死体は消えてなくなってしまった。
その後は特にモンスターが現れることはなく1日無事に過ごすことができた。 -----------------------------------ー雑賀一哉 男 20歳
レベル1
HP 100
MP 100
STR 100
VIT 100
INT 100
AGI 100
スキル 鑑定 言語自動解釈 ステータス変更 スキル強奪 全魔術使用可能 ステータス大幅上昇 ダメージ半減new