聞いてみました。
「すみません。カズヤ様。」
ルミアが頭を何度も下げながら謝って来るが説明がないためどうしてこうなっているのかわからない。
男たちは俺の前に立つと俺を睨み付けるように見下ろしてきた。
全員それなりの装備をしているため恐らく冒険者だろう。
「おい、ガキ。お前そいつらの連れか?丁度いい。そいつらがさっき俺の仲間に攻撃してきたんだ。おまえ、責任取ってもらおうか。」
まさかルミアとマリアがそんなことをするとは思えず、二人の方を確認のために向くとルミアが弁解した。
「ち、違います。この男の仲間がいきなり私たちのことを触ってきたから少し抵抗しただけです。ただ以前より力が付いたのか少しやりすぎてしまったのですが・・・。」
ああ、呪いをなくしたことを言うのを忘れていたな。
あとで説明してやるか。俺のことも含めてな。
俺は絡んできた男たちに鑑定を発動する。
ババル 男 38歳
レベル20
HP 300 (体力)
MP 90 (魔力)
STR 230 (攻撃力)
VIT 170 (防御力)
INT 10 (知力)
AGI 110 (素早さ)
スキル 剣術 攻撃力上昇
なかなか鍛えてあるようだな。
後ろの酒場の席から、おいおいまたババルのいちゃもんが始まったぜと聞こえるのでこんなことをしょっちゅうしているのだろう。
「確かにこちらも少しはやりすぎたかもしれないがそっちにも落ち度はあるだろ。ここは両方の責任という形にしよう。」
そう提案するとババルたちは顔を赤くしながら剣を抜き始めた。
「てめぇ、俺になめた口きいてくるじゃねーか。殺してやる。」
ババルはルミアとマリアを見ながらそういう。
こいつらの狙いは二人か。
少しお灸を据えてやるかな。
俺もナイフを取り出そうとしたが、そこへミリアさんが少し怒りながらやってきて、ババルの前で玄関を指さしながら、
「ギルド内での戦闘は禁止です。やるなら外でやってください。」
と言った。
ババルは言い返そうとしたがミリアさんの顔を見ると急に弱弱しくなり、俺に表へ出ろやと言って外に出ていった。
そう言えばミリアさんって強いんだろうか?
ババルは急におびえるようになっていたが・・・。
鑑定でミリアのステータスを見る。
ミリア 女 25歳
レベル20
HP 1000 (体力)
MP 600 (魔力)
STR 430 (攻撃力)
VIT 770 (防御力)
INT 300 (知力)
AGI 1110 (素早さ)
スキル 聴覚上昇 危険感知 ギルドの祝福
うおっ、つえ~~~~。
なるほど。このスキルでギルド内の争いを察知してるんだな。
それにしても25歳って年上だったのか。
ふと気づくと目の前ミリアさんがいた。
「何を考えているのかしら、カズヤ君。はやく外いかないとババルさんが待ってますよ。
ギルドないじゃなければ好きに喧嘩でも何でもしてくれて大丈夫ですけど、ギルド内ではお姉さんがとめさせてもらいますからね。お姉さんが・・・。」
満面の笑みでそういわれ背筋に寒気が走る。
声には出してなかったと思うが、考えていることがばれていたようだ。
女の勘は恐ろしいな。
「すみません、ミリアさん。今後はなるべく気を付けるようにしますね。ところで、ギルドに裏口ってありますか。」
「えっ。有るけど戦わないの?ババルさん達は外で待ってるのに・・・。」
「いや、俺は勝手に巻き込まれただけなので戦う義務はないでしょ。それより案内してください。」
「いいのかな・・・。まぁ、いっか。こっちよ。ついてきて。」
ミリアさんに案内されて裏口からギルドから出て宿屋へ帰る。
「すみません。私のせいで迷惑かけてしまって。」
途中でルミアが誤ってきた。
「大丈夫だよ、あれくらい。それより怪我とかなかった?」
「はい。大丈夫です。」
「そうか。」
その後、他愛もない話をしながら、宿の近くまで来たところで急に怒鳴り声が聞こえた。
声が聞こえたほうを見てみると女将さんが柄の悪そうな男たちに脅されていた。
俺はすぐに助けに入ろうとしたが急に目の前に腕が現れた。
その腕はクリスの物だった。
「なんで止める、クリス。」
「心配してくれるのはうれしいけどこれはうちの問題なんだよ。関わらない方がいい。」
それから数分間女将さんは男たちに謝り続け、しまいには土下座をしていた。
俺達はクリスが唇をかみながら耐えているのを見て、動くことができなかった。
男たちは何か言い残した後、去り際にクリスを見下した後、どこかに帰っていた。
「あら、あんたたち帰っていたの。見苦しいところを見せちゃったわね。さぁ、早く入ってちょうだい。」
女将さんが無理矢理笑顔を作り俺たちを迎えてくれる。
クリスはそれにこたえるように笑顔で中に入っていった。
俺達も続いて部屋に戻った。
「何があったんだろうな。」
俺の独り言に部屋の雰囲気が悪くなる。
どうやら二人も気にしているようだ。
何か雰囲気を変えたいな。
そうだ、今なら時間もあるし俺のことを話すか。
「なぁ、二人とも、ちょっと気分転換に俺の話でもしてやろうか。」
「カズヤ様の話ですか。聞きたいです。」
「わ、わたしも、き、聞きたいです。」
2人に俺が別の世界から来たこと、死んだ時の状況、ルミアが強くなった理由などを話していった。
「ではこの前から感じていた力の上昇はかずや様のおかげだったんですね。やはりカズヤ様はすごいです。」
目を輝かせながら俺のことを見つめるルミア。
そこまで尊敬されることではないんだけどな。
まぁ、でも、悪い気はしないな。
少し照れているとマリアが急に声を上げた。
「あ、あの、わ、わたし実はカズヤさん達に嘘をついていました。」
後半は消えそうな声だった。
うそ?王女とかの話は作り話だったってことかな。
「それを今言ったってことは本当のことを教えてくれるってことだよな。どこが嘘だったんだ。」
「わ、わ、わたし、その、本当はマリアじゃなくて・・・、あの、エリスっていうんです。」
ん?でも鑑定にはマリアって出てたよな。
エリスの告白に少し考えていると、ルミアが固まっていた。
「どうした、ルミア。」
「えっと…。カズヤ様はご存じないのでしょうか?ブルタール王国のエリス姫の話を。」
「なんか有名な話のようだな。」
「エリス姫なんて呼ばないでください!私はもう姫ではありません・・・。」
「えっとなんか複雑そうだな。とりあえず、ルミア。その話とやらを教えてくれ。」
「わかりました。私が聞いた話では今から18年前ブルタール王国で一人の女の子が誕生したそうです。その子はたいへん賢かったらしくわずか2年にして読み書きができ、5歳の時には政治について大臣たちよりも詳しくなりました。彼女が10歳の時、王様はその少女になんと王位を譲り引退してしまったそうです。それから5年間彼女は自分の国を必死でよくしようと内政に努めてきましたが10代の女の子では国の権力争いを止めることができず、貴族対王族の戦争が勃発しました。彼女は女の身でありながら戦争に参加し戦略を立て、戦争を勝利させました。しかし、その時敵の大半を彼女の戦略のみで倒してしまったため彼女は悪魔の女帝と呼ばれるようになります。彼女は戦争の後、急に圧政を行いはじめ、国力を徐々に上げていきましたが戦争から1年後、農民の反乱がおきてしまって城が包囲されました。それに合わせたかのように隣国のバース王国が攻めてきて、彼女は行方不明になりました。その彼女の名前がエリスというそうです。私が聞いた噂はこのくらいでほんとかどうかはわかりませんが・・・。」
「なるほど。エリス、この話で違うところはあるか?」
「いえ・・・。」
「そうか。」
それであんなに鍵のかかった部屋にベントは閉じ込めていたんだな。
ただ、おかしい。そこまで賢かったなら圧政なんてしたら反乱がおきることくらいわかるだろ。
「なぁ、エリス。本当にこの話で間違いないのか。もう隠す必要はないんだぞ。」
真剣な顔でエリスを見つめると、急にエリスは泣き始めた。
どうやらまだ何か隠しているようだな。
「言っても大丈夫だぞ。俺やルミアもお前のことを言い触らしたりしない。」
「はい、もちろんです。」
ルミアがうなずく。
エリスは涙をこぼしながら本当のことを教えてくれた。
「本当は戦争が終わった後、私は王女様に監禁されていたんです。圧政は私がやったんじゃなく王女様が命令して行ったことです。」
つまりエリスも大臣たちもその王女様とやらの手の上だったみたいだな。
はじめからエリスと大臣を喧嘩させて、おいしいとこだけ横取りしたって感じか。
どこの世界も裏切りばっかりだな。
「カズヤ様、顔が怖いですよ。エリスが怖がっています。」
ルミアに指摘されて意識を現実に戻す。
「わるい、わるい。それにしてもエリス、よく話してくれたな。」
座って泣いている、エリスの頭をなでる。
エリスは泣き止んで少し顔を赤くした。
それにしてもなんで鑑定でエリスのスキルが見えなかったんだろうな。
まさか隠蔽系のスキルを持っているとか。
それだと納得いくんだがさすがにこのタイミングでは聞けないな。
その後エリスは泣き疲れて寝てしまった。
俺とルミアは夜飯を食べた後、今日も二人で楽しんでから寝た。




