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永久の旅路は誰が為に  作者: 鷹希
錠に鍵を差し込む音がした
3/6

1-1

意識が、急激に浮上する感覚。


慣れたその感覚に、次が始まったのだということを理解する。


いつものように、重く感じる体。

いつものように、思い通りに動かない体。

いつものように、朧げな五感。

いつものように、小さなその体。


(今は、生後4ヶ月といったところか)


生まれてから4ヶ月という、まだまだ未熟な体。

その未熟さに不釣り合いな、冷静な思考。


(……いつものことだが、自我の芽生えが早過ぎるよなぁ)


苦笑気味に、だが、さも当然であるとでもいうように、異常ともいえる早さの自我の芽生えを受け入れる。


(さて、ここから見える限りでは、この世界は化学が発展した世界のようだが、)


まだ不確かな五感を駆使し、己の状況を整理する。

己のいる場所は、洋風作りの部屋に置かれたベビーベッドの上。


部屋の内装からみるに、子供部屋だろうか。


室内に数個置かれた電子機器や、己の感覚に何も感知されないことから、この世界は、化学で全てを立証できる世界のようだと推察する。


(しかし、まだまだ発展途上な世界のようだな。………はぁ)


己の状況を理解し終えると、どっと疲れが押し寄せたような感覚に襲われる。

まだまだ幼い身の上で、五感を目一杯活動させたのがこたえたのだろう。


(まぁいい、いつものように、僕は眠り、一部を種にし、成長させ、る、だけ………)


赤子しか居ないその部屋で、確かに起こったその変化。

例え誰かがその場に居たとしても、おそらく気が付かなかったであろうその変化。


ただ、今はもう、窓から暖かな光が注がれるその部屋で、一人の赤子が静かな寝息をこぼしているだけ。

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