シェリー
「おかえり~」
悟が家に帰ると出向かに来たのは雫だった。
「ああ、ただいま。コンは?」
「寝てるよ。遊び疲れたみたい」
そう言う雫もどこか眠そうだ。そんな雫が何かに気付いたように悟の後ろに視線を移した。
「・・・・?」
そこにはふてくされた表情を浮かべる殺し屋の少女がいた。機嫌が悪いのはあの後結局悟が家まで無理やる連れて来たからである。
「あぁ、この子は新しい家族だ」
「「はぁ!?」」
悟の言葉に二人が声を上げた。
「ど、どういう事だ!?」
「私はまだ家族になるなんて言ってない!ここへも無理やり連れてこられたんだ!」
二人は口々に文句を連ねる。
「まぁまぁ二人とも落ち着いて。とりあえず部屋に行こう」
騒ぐ二人を悟は自分の部屋へ押して行った。
「とりあえず、お互いのことを知り合おうじゃないか!俺はまだお前が殺し屋という事しか知らないぞ」
「殺し屋!!?」
悟の言葉に雫は驚きの声を上げた。そりゃあ、突然やって来た女の子が殺し屋と言われたら誰だって驚くだろう。
「心配すんな雫。狙われてるのは俺だけで俺は死なないから」
「そっか~」
自慢げに堂々と言う悟も悟だが、それに対して何の心配もせず納得してしまう雫も雫である。
「じゃあそうだな。じゃあ、俺から自己紹介するか!」
「いや、別にいい・・・」
「俺は神山悟!不死身やってます!」
少女の言葉をスルーして悟は妙なハイテンションで自己紹介した。
「私は雫です。悪魔やってます」
雫もしっかり妙なテンションだ。
「・・・・・」
「さぁ君の名前は?」
悟が落ち着いた様子で訊いてくる。
「・・・・・」
「「さぁ!!」」
今度は雫も加わって、ミュージカルのように身振り手振りを加えて言ってくる。はっきり言って暑苦しい。
「・・・・シェリー」
「そうか。シェリー。良い名前だな」
微笑んで悟は言った。
「今、教えられるのはこれだけだ!」
「ああ、十分だよ。ありがとな」
悟は優しく笑みを浮かべて言った。