まさかの言葉
悟は黄昏ていた。秘密基地として使っている空き教室でイスを窓際まで運んで外の風景を眺めていた。
「おいおい・・・あいつどうしたんだ?」
クセっ毛が特徴の日向太陽が隣にいる忍にヒソヒソと静かに訊いた。
「さぁ・・・なにか悩み事かな?」
忍は黒くてサラサラの長い髪をいじりながら心配そうに言った。
「おい!薫!お前何か知ってんだろ?」
次に日向は机に座って本を読んでいる女子に訊いた。
「そうですね。分かってることはいくつかあります」
ショートヘアーの相川薫は無表情のまま淡々と答えた。
「教えてくれよ」
「いや・・・プライベートなことなんで」
「そうよ、人には知られたくないことくらいあるわよ」
「・・・確かにそうだな」
そう言って日向は立ち上がり、悟の方へ向かって行った。
「悟~」
「うわっ!!なんだ・・・日向さんか」
突然背中を叩かれて悟は驚きの声を上げた。
「な~に悩んでんだ?」
「え・・・あぁ」
「嫌じゃなければ相談してくれないか?」
それを聞いた悟は少し考える素振りをしてから言った。
「まぁ・・・どうせ相川は知ってるんだろうし・・・日向さんたちにも知らせておきます」
悟は今まであったことを全て話した。
少女に出会ったこと。少女に何度も殺されたこと。少女が殺し屋であったこと。
そして悟は願っていた。日向たちが何か策を講じてくれることを。雫の時のように助けてくれることを。
しかし、次の瞬間、日向の口から出てきたのは予想してなかった言葉だった。
「だったら・・・その子は殺した方が良いな」
日向の表情は冗談を言っているようではなく、真剣で冷たかった。