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第3話 暴走

「んー…」


さて、俺が授業なんて聞かずになにを考えているのかといえば、やっぱりさっきの藁人形と五寸釘。

やっぱりイジメか?

奴らの黒魔術みたいなもので、俺の心の中を探られたとかか。

まあ、そんなはずないわな。

ってか何故そんなファンタジーな方向に考えるんだ俺。悠斗じゃないんだから。


「次、日向。」

「へ?」

「立って次の文章を読め」

「あ…っと…」


こそこそと隣の悠斗に、どこまで読んだか聞いてから、教科書を読む。

ちくしょう。俺のほうがわけわからなくなったじゃねぇか。

あぁ、もう。考えるのめんどくせぇ。これ読み終わったら寝るか。





「起立、礼」


学級委員のやる気のない号令で、ふと目が覚めた。

あぁ、よく寝た。


「涼、昼飯食べようぜ」

「おうー」

「俺も混ぜろー」


悠斗が机をくっつけてきた。

さらにそこにもうひとつ、晃の机が加わる。

そしてさらに…


「涼ー、なんかおかず寄越せぇ」

「だ、駄目だよっ!自分の分あるでしょ!」


大魔王と女神、もとい須王姉妹が加わる。

あぁ…奈緒はどこかの誰かさんと違ってホントに可愛い。


「そんなに俺のおかず欲しいか?」

「あ、珍しくくれるの?」

「おう、目つぶってろ」

「やったぁ!」


ふっ、バカめ。

お前はすでに死んでいる!


「ほーれ」


俺も理緒も嫌いな「ナスの漬物」を弁当箱の蓋に献上してやった。

どうだ、ザマ見ろ。


「アホかぁ!!ナスなんか食べられんわ!!!」

「奇遇だな、俺もだ」

「最悪!これでも食らえ!!」

「ちょッ!ナスを投げるな!!」


ナスぐらい食え!

俺の為に!!!


「そんでさー、さっきの話。」

「ん?あぁ」


こいつ…ナスを奈緒に押し付けやがった…。

あとでなんか甘い物でも買ってやるか。


「じゃあ…ゆっくり話すぞ」

「うん」


俺は、奴らとうっかり関わってしまったことを話す。

やっぱ自意識過剰なのかなぁ…。

まぁ、この意見で片付いたらこんなに気にしたりはしないが。


「ふーん…」

「な?なんか気持ち悪いだろ?」

「でも、アイツ等と今まで関わりは持ってないんでしょ?」

「まぁ…これ以外は無いな」


だから怖いんだよって…。


「んー…まぁ、気のせいなんじゃない?」

「散々聞いといて結果それかよ!?」


あー…こいつらに話した俺がアホだった。

どーせ自意識過剰ですよ。そうですよ。

心の底で悪態を吐きながら、俺は弁当箱を空にする作業を進めた。

なんだろう…こうしてる間にも見られてるような気するなぁ…。




午後の授業も特に何事もなく終了。

帰宅部の俺は、寄り道なりなんなりしてさっさと帰るだけ。

ちなみにあの5人の中で帰宅部は俺だけ。

今日はなんだか皆活動があるらしく、俺は1人で帰宅する羽目になった。

なんというか…無事に家まで帰れるか、ちょっと不安だ。

帰りにコンビニで立ち読みでもしてから帰ろうと思っていたが、中止だ。

理由「なんか怖いから」。以上。


「ふぅ…」


やっと駅に着いた。

でも地元に着くまで安心はできない。

さっさと電車に乗ろう。

電車にさえ乗ってしまえば俺の勝ちだ。


「あ…」


俺のバカ…。

どっかに定期落としてきた…。

やばいな、買ったばっかなのに…。


「…仕方ねぇ」


こんな時だってのに、学校まで戻ってきてしまった…。

さっさと見つけて帰ろう。怖い。


「……」


おかしいな。

部活中だからって、廊下に人気がなさすぎる。

いつまでも意味もなく残ってる奴等も今日は何故だか居ない。

ちくしょう。不安になることばっかりだ。



ゴン…ゴン…ゴン…



ん?なんだこの音?

学校じゃ普通あり得ない音だ。

鉄と鉄がぶつかり合うような…変な音。



「ウチのクラスから…?」



まさか…ありえねぇよな…?

ええぃ。躊躇してる場合じゃない。

俺は帰るために来たんだ!


「…!」

「あ…?」


なんだよ…。

なんでこんな時にオカルト研究会の奴等に会うんだ…!?


「お前…それ…!?」

「ん?」


そのうちの1人が持ってたのは、昼間と同じ「藁人形」と「五寸釘」。

やっぱり、俺の勘は当たってた。


「見付かっちゃったね」

「どうしよう?」

「殺しちゃう?」

「殺しちゃおうか」


駄目だ。逃げよう。

殺される。

…って


「ドアが…!」


ガチガチに固まって動かない。

来たときはすんなり開いたはずなのに…!


「無駄」

「君は今日ここで死ぬ」


前列の丸眼鏡が、俺になにか投げてきた。

ギリギリ、横に飛び込んで避けた。

投げられたのは、五寸釘だ。

しかも壁に突き刺さるくらいのヤバい力で。

やばい。逃げろ。殺される。

脳みそがそう言ってんのに、体が鉛みたいに重たい。

立つことすらできない…。

全然動けねぇ…逃げなきゃいけねぇのに…!


「…死んで」


ちくしょう。

なんで五寸釘ばっか、そんなに持ち歩いてんだよ。

勝てねぇじゃん…俺…。

ってか…何で俺ばっかこんな目に会ってんだよ…。

意味…わかんねぇ…。


「涼!!」


なんか…悠斗の声がした気がする。

コレがアレか?走馬灯ってやつ?

ってことは…俺、死んじゃう系?

五寸釘刺さって血がすっげー出て死ぬんかな。

でも自分のそんな姿見たくないし…目瞑っとくか…?


「晃!ドア開かないよ!!」

「退いてろ!俺がぶっ飛ばす!!」


「なんか、増えたね」

「そうだね」

「変わらないよ」

「皆殺しか」

「うん」




ドオォォォン!!!




「!?」


強烈な爆音で、俺は瞑っていた目を開けた。

ドアが…ぶっ飛んでる…?

ってかさっきの爆音何?

悠斗の声と一緒に晃の声もしたけど部活は?

嗚呼、下らない考えばっかり浮かんでくる。


「涼!生きてたか!!」

「怪我は!?」


友達二人の顔を見て、俺は安心………できねぇよ、これじゃ。


「あのー、晃クン?」

「あ?」

「その右手の黒いバズーカは何ですか?」

「涼…これが見えるのか…!?」


いかにも。

じゃなきゃ言わないし。


「…三人か」

「増えちゃった」

「殺す」


後列にいたガリガリのチビが、俺に五寸釘を藁人形に刺すのに使うんであろう、ハンマーを投げ付けてきた。


「チッ!」

晃が、バズーカで俺を庇って、ハンマーを弾いた。

あと少し遅かったら、俺の頭が陥没してたかも。


「邪魔するな」

「俺等からすれば、お前等が邪魔なんだけど?」

「…殺す」


おいおい、物騒な会話だなぁオイ。

ってか…もう俺の周り、意味わかんねぇ…。


「涼…」

「え?」


あ、間抜けな声出た。


「悠斗と逃げてくれ」


ガシャンって、バズーカを構える晃。

なんか…ここで逃げたら、死亡フラグが立つ気がする。


「逃げても無駄だ」

「お前の死は変えられない」



スッ



頬を何かがなぞった。

ツーッ、と何かが垂れる感じがする。

認めたくなかったけど……血だ。


「あ…ッ」


急に怖くなった。

これがもし、体を貫いたら、とか考えるだけで恐ろしい。


「涼…ッ」


悠斗が俺を庇ってくれてる。

…俺に飛んできた五寸釘、ほとんど悠斗が受けてくれてる…。

足とか…血塗れじゃんか…


「ゆ…と…」


後ろの壁に突き刺さってる五寸釘を、本能的に引き抜いた。


「うわあぁぁぁぁっ!!!!」


恐怖心と何かがごちゃごちゃになってる。

あぁ、そうか。

これが「キレる」ってことか。

ただ目の前の三人を殺すことだけ考えてる。

冗談じゃなくて「本気」で。



そして私の頭も混乱しています(待て

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