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御注文の品、御届けに上がりました~。先ほどの電話と同じやけに軽い声が薄い扉越しに聞こえてくる。少し、緊張する。久々の、積極的な感情に戸惑いと嘲笑。扉を開ける、とそこには二人の若い女の人が立っていた。こんにちわと僕が挨拶すると、ちわ~と全身フリルが山のようについたボルドーの服に身を包んだ少女と言うには大人びたしかし女性と言うには幼い人物が返事を返してくる。続いて、対照的にジーパンに白いブラウスの女性が小さくこんにちわと返した。学生時代は体育会系の部活でもやっていたのだろう、やけに体格が良い。
小振りの少女と並ぶとそれがはっきりする。しかし、少女は圧倒的な存在感を誇っていた。おうち、上がらせてくださーい、と僕の返事を待たず女性の手を引き部屋に入っていった。そして僕の家にいた人を一人残らず追い出す。まあいいか、と僕も続いて入っていく。そして三人分のお茶を用意していると、金をおろしに行ったやつらが戻ってきた。スーパーの袋に札束が無造作につっこまれている。彼らは僕にそれを突き出すとどんよりとした目付きでふらふらとどこかへ去っていった。どこかでグラスでも手に入れて来る途中で吸ったのだろう。
関係ないか、と鍵を閉め二人にお茶を出した。袋を見て少女が歓声を上げる。札束ね!と場違いに明るい。僕も腰を落ち着けると話をきりだした。まずは、どうして僕の住所を知ってるのか、など当たり障りの無いことから。しかし蛇の道は蛇とあしらわれ、結局、あなたは死体全部が欲しいの、と聞きかえされ主導権を奪われてしまった。どうでもいいですよ、と返す。正直言って今の空腹を満たせればいいということしか頭にない。後は値段との兼ね合いかな、僕は金持ちではないから。そう静かに返す。少女はうーん、と考え込み女性を見た。
女性はにたにたとした笑みを張り付かせたまま、何も言わない。僕は気になっていたことを尋ねた。死体は何処に?少女は表情を緩め、指さして言った。ここにあるじゃな~い。指の先には女性。にたにたと笑ったまま。たぶん僕は間抜けな顔をしていたのだろう。少女は笑い、そのばで殺すの~、ね、新鮮でしょ、と付け加えた。にたにた。ただ、ほら食べるってことは全部は要らないかもってことでしょー、んで下手に食べ残されて腐らせられてばれて捕まっちゃったら面倒じゃない~、ってかお客さん減るしぃ。
少女はそこで一息ついてお茶を飲み、再び話す。だから部分売りも出来るように生きたまま連れてきたのぉ。僕はどちらでも構わないよ。実際空腹感でふらついていたのでとっととして欲しかった。僕の持つお金に見合う分だけで良い。少女はこの言葉が気に入ったらしい。にこりと笑い言った。んじゃ、出血大サービスでぜぇーんぶあげちゃうよーん!自分の言葉が面白かったらしく、ほんと文字どぉーりだよねぇ、と笑っている。女性も少し嬉しげに笑う。訳がわからない。異常な空間。んじゃあ初めまーす。少女はすくっと立った。