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そう簡単に見つかるものではなく、だがしかし、何らかの理由で死体を必要としている人たちがいて、彼等に死体を提供している業者があるということを知った。蛇の道は蛇とでもいうのだろうか、一つのきっかけから次々とつてが広がっていく。何処でどう知ったのか業者から僕に接触が来た頃、僕はとうにいかれたひきこもりになっていた。そして僕の部屋は何処かねじの外れた同類の溜まり場と化していた。朝とも夜ともつかない薄暗闇の中時間感覚は麻痺し機能が退化する。相反して感覚が鋭敏化し、予想外に理性が本能をより厳格に統制する。
生きの良い死体売りますよ~、とふざけた電話がかかってきたのは、僕が食を絶って二日目のことだった。食欲の減退に従い放置していたらいつの間にか二日もたっていたらしい。僕の体からは既に肉を取れそうなところが無くなっていて、代わりに肉を提供してくれていた真性マゾの双子は新しい刺激を求めてインドに旅立ってしまった。きっと彼女等は悟りを開いて帰ってくるに違いないと僕は踏んでいる。とにかく、僕は食料を得る手だてはなく、いや本当は人でなくても良いのだが、その電話に減退していた食欲が刺激され取り合えずとびついた。
欲しいよ、すぐに。は~い、どのようなのが御好みですかぁ?老若男女各種人種年齢揃ってますよ~。うーん、取り合えず、うまそうなのを一人。はあ~い、承りましたぁ~。料金は代引き、クレジット、振り込みになりますがぁ、初めての方なので代引きになりま~す。わかった。出きるだけ早く頼むよ。ぷつっと電話が切れた。僕は部屋にいた火事が怖いと避難している大学生とそいつに惚れてうちに居ついてるゲイのカップルに、お金をおろしに行ってもらった。僕の持てる全てを。そして、僕は待った。ピンポーン。不意に、チャイムが鳴る。