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カーニバル  作者: とも
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僕:淡泊。酒豪。突然、人肉が食べたくなったものの、その現実を淡々と受け入れている。

彼、死刀:僕の友達。破壊衝動が強く、問題児だが、僕との仲は良い。

宵闇人形:割と何でも屋。若い少女の格好が好きだが、本当に若いかは不明

衝動は急に訪れた。嵐の様に。風が吹き、煽られる。人が、食べたい。コンビニに売っているわけでもない。 (のちにそういうレアなものを売っている業者があるとはわかったが)とにかく、衝動は押さえがたく、ひどい二日酔いのように、喉元をついて出ようとする。僕は身近で手に入れることにした。つまり、自分。もともとあまり肉付きの良くない方であるから、何処から調達しようか迷ったが、結局、右の二の腕から取ることにした。左利きなため大した支障も無いだろう、そう考えてのことだったが、果たしてどうだか。




しっかりと腕の付け根を縛り、氷で冷やす。冷たさが痛みに代わりやがてそれすらも消えた。もういいかな。生来我慢強い性格であるし苦痛には慣れてる。何とかなるだろうと包丁を充てた。包丁もこのために買った新品で切れ味の良いものだ。ざく。見かけより弾力のある皮膚。適当にえぐり出す。傷跡の処理は片手ではなかなか上手く行かない。縫い合わせて包帯を巻く。思っていた以上に血が出たが、しかし何とかテーブルの上を汚しただけに留まった。 さて、これからだ。この肉片を一体どうしよう。一応生で口をあててみる。




血生臭い。まさに言葉通りだ。さて、どうしよう。取り合えず、血塗れの包丁と手を洗おう。そう思ってシンクに向かい一歩踏み出した。すっと脳から血液が流れ出る。暗転。貧血症状。深呼吸。二十数えて目を開く。結構血が抜けてるのだと実感。綺麗になった包丁。血塗れの肉片。シチューかカレーだな、と数少ないレシピのなかから無難なシチューを選んだ。カレーにしたら味がわからないだろうな、というだけの理由。適当に血を切り、適当に具を切り、適当に肉を切る。煮込んで煮込んでルーを入れて出来上がり。約30分の行程。




そして僕は道を踏み外した。おいしいとか、おいしくないとかではなく、純粋に人肉を食べたいという欲求が満たされた満足感。果たして、罪悪感は?しかし、僕は自分を搾取しているだけであって、何人にも迷惑をかけてはいない。リサイクル。閉鎖的な循環。不意に吐き気がこみ上げてきて、全てを流しだした。僕のこのような非生産的な行いは幾度となく繰り返され、その度に四肢が冒されていった。やがて、来るべき限界。取り合えず、同じ趣味を持つ人を探すことにした。


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