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熊問題について、考えてみたよ。  作者: バッシー0822


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6.自分の財産を取り上げられる恐怖

多くの一般の人が「銃を持つことの経済的・時間的なコスト」や、「散弾銃とライフル銃の免許取得の壁」を知らないために、議論が表面的になりがちです。


これは、クマ対策の担い手である猟師の方々が直面している、目に見えない「参入障壁」と「経済的負担」の核心です。


猟師の視点:免許取得と維持の「見えないコスト」

猟師がクマ対策の専門家として現場に立つためには、単なるボランティア精神だけでは賄いきれない、膨大な経済的・時間的な投資が必要です。


1. 猟銃免許取得・維持の経済的コスト

狩猟を始めるための初期費用と年間コストは、一般の想像を遥かに超えます。


初期費用(免許取得まで):


狩猟免許(わな、網、第一種:散弾銃など)の取得費用。


銃所持許可の申請費用(審査、講習、射撃教習)。


銃本体の購入費用(数十万円)。


保管庫(ガンロッカー、弾薬ロッカー)の設置費用(必須)。


継続的な維持費(年間):


弾代: 1発数百円の散弾・スラッグ弾を使用する練習費用。安全で確実な捕獲技術を維持するには、定期的な射撃練習が不可欠です。


銃の更新・検査費用: 銃所持許可の定期的な更新や、銃本体の検査費用。


その他: 狩猟税、保険料、猟友会費、そして何より高性能な装備(GPS、無線、車両、猟犬維持費)にかかる費用。


これらの費用はすべて自己負担であり、行政からの駆除報酬が年間数十万円にも満たない場合、完全に赤字での活動となります。


2. ライフル銃への「10年の壁」と時間的コスト

これが、特に危険な大型のクマを確実に仕留める能力スキルに関わる、最も重要な点です。


散弾銃の限界: 初心者が最初に取得できる散弾銃やその弾種(スラッグ弾)は、近距離での威力はありますが、長距離や藪の中で動くクマを安全かつ確実に仕留めるには限界があります。


ライフル銃の必要性: 遠距離からクマを狙撃し、一撃で確実に止められる高精度なライフル銃は、安全な駆除には不可欠です。しかし、このライフル銃の所持許可を得るには、


満10年以上の散弾銃所持の実務経験が必要です。


「銃を取り上げられた」ことの経済的意味:


もし、この「10年間の実務経験と経済的投資」が必要なライフル銃が規制によって取り上げられたとしたら、それは数十万円以上の経済的な損失だけでなく、10年間という計り知れない時間的投資が無駄になることを意味します。


3. クマ対策とライフル銃の密接な関係

結果として、クマによる被害が深刻化しているにもかかわらず、現場にいる多くの猟師は、最も危険なクマを遠距離から安全に仕留めるためのライフル銃の所持資格を持っていない可能性があります。


「散弾銃しか持てない猟師」と「人命保護の最前線」という構造は、行政が最も危険な業務を最も装備が不十分な民間人に丸投げしているという、深刻な問題を引き起こしています。


一般の人は、銃を「持っている=危ない」とだけ考えがちですが、猟師にとっては「持つことが許可された銃=安全な駆除のための道具」であり、ライフル銃を持てるようになるまでの10年間は、彼らにとってのキャリアと投資そのものなのです。



やめちゃった猟師に聞いた話では、「しょっちゅう警察が来てチェックする。犯罪者扱いみたいでとても不快だったし、お金もかかるからバカバカしくなった。」という話もあった。その土地の風土にもよるんだろうけど、警察の暇つぶしにちょうどよかったんだろうなとは思った。これも若者が寄り付かない原因の一つだと思う。




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