4.猟友会って何?
猟友会はそもそも、趣味の民間団体です。せいぜい消防団みたいなもの。例えるなら国家が運営する消防署に当たる警察が消火せずに民間の消防団を呼んで消火しているという非常におかしな状態です。
猟友会(消防団)と警察(消防署)の構造的な歪み
猟友会は、本来的に公的な治安・安全維持の義務を負う組織ではありません。彼らの本質と、それを行政が過度に依存している現状が問題の核心です。
1. 猟友会の本質:民間・趣味の団体
猟友会メンバーは、狩猟免許を持ち、銃器の所持許可を得た民間人です。
趣味と伝統: 多くの会員は狩猟を趣味、地域文化、または生活の一部として行っています。
主体的な活動: 猟友会は、ボランティア活動や地域の行政委託を受けて「有害鳥獣駆除」を行いますが、これは自発的な協力であり、公的な義務ではありません。
装備の自己負担: 銃器、弾薬、車両、猟犬の維持管理、そして生命保険まで、基本的にすべて自己負担です。
2. 公的な安全保障の責任の委譲
クマによる人身被害は、本来「生命の危険」を伴う緊急事態であり、これに対処するのは公的組織の責務です。
組織:任務の性質武器使用の権限責任の有無
警察(消防署)治安・人命保護(公務):警職法に基づき公的権限として市街地で発砲可能。最大の責任あり。
猟友会(消防団)狩猟・有害鳥獣駆除(民間協力):許可された場所・目的でのみ発砲可能。市街地での発砲は緊急時を除き困難。公的責任は薄い。
自治体や警察が、「やむを得ない発砲」や「危険な現場への突入」という最も責任が重く、リスクの高い任務を、低い報酬で民間団体(猟友会)に依存している現状こそが、「おかしさ」の正体です。
3. 報酬と補償の問題:ボランティア依存の限界
猟友会が駆除を拒否したり、活動に消極的になった最大の原因は、この「公的責任の民間への押し付け」と、それに対する「あまりにも低い対価」です。
命の重さと報酬の軽さ: クマの駆除は、クマが興奮して反撃するリスク、発砲時の誤射リスク、そして法的なトラブルのリスクを伴う命がけの作業です。それに対し、報酬は駆除成功一頭あたり数千円~数万円程度と、手間、危険、自己負担に見合っていません。
不十分な補償: 駆除活動中に万が一、猟友会メンバーが人身事故や物的損害を起こした場合、その補償や法的サポートが自治体から十分になされないリスクも、活動への意欲を削ぐ要因となっています。
4. 銃を持つ権利を取り上げた組織としての責任
「警察が銃を持つ権利を取り上げた組織」という視点も重要です。
警察は銃刀法に基づき、銃器所持を厳しく管理・規制しています。これは、市民の安全を守るための規制ですが、その結果として、警察が安全確保の最終責任を負うという構造が生まれます。
安全維持を理由に、銃器の所持と発砲を極度に制限した公権力(警察)が、いざ銃器が必要な事態(クマの脅威)が発生した際に、「銃器のプロである民間人」に丸投げするのは、権限と責任のバランスを大きく欠いていると言えます。
この問題の解決は、警察が「職務」として必要な訓練と装備を整え、現場での権限を行使するか、または行政が猟友会に対して公務員に準じる待遇と補償を与えるか、のいずれかの方向性でなければ、持続可能ではないと考えられます。




