病めば煌めく恋心
病気になるのは嫌だ。
熱くて寒くて何より辛い。
健康でいることを何よりも願うものだが、人は存外脆いもので、ひょんなことから体調を崩す。
学校の合宿から帰ると決まって寝込んでしまう。
しかもただの風邪ではなくインフルやコロナといった特に辛いものだから、参った。
頭の中を海のさざめきが轟くようにして、上に下にへと痛みが思考を阻害する。
私が辛いのは、何も病による痛みだけではない。
大好きな場所、学校に行くことが出来なくなってしまうからだ。
学校というのはなんとも不思議な場所で、1日でも休むと奇妙な壁が廊下と教室の僅かな隙間に現れる。
そこに近づくと幻聴と幻影の魔法がかかり、既に重い足に、とてつもなく大きな、見えない重りをつけてくる。
休まれた側としては、来てくれたことに安堵し喜ぶのに、立場が変わると世界も変わってしまうようだった。
勉強は知らないことが増え、部活はみんなより一足遅れ、好きな人との距離は空く。
周りから見れば特段モテなさそうでも、私からすれば魅力の塊。
そんな人に会えないなんて辛すぎる。
でも、今はインターネットがある。
彼に連絡を入れて、返信が来たらどんな強い薬よりも私を元気にしてくれる。
ああでも、別の熱が私を掴んで離さない。
叶わない夢と知りながら、今日もあなたからの通知を待っている。
あなたがいれば不可思議な魔法も、海の轟きも全て溶けて消えていきそうだ。




