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道具師ジェマ、所有者固定魔道具師への道。3  作者: こーの新


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 シヴァリーに見守られながら目を覚ましたジェマは、ジャスパーが作った朝食を食べ終えて道具師ギルドへ向かった。ジェットとジャスパーを肩に載せ、護衛にハナナとユウがついていく。



「おはようございます」


「あら、おはよう」



 ちょうど受付にいたギルドマスターのレッドがジェマを見つけて微笑んだ。



「レッドさん、発明の申請をお願いしたいのですが」


「あら、良いんですか? ファスフォリア支部の方で申請を出さなくて」


「はい。これは素材がここでしか採れませんし、これは廃棄になっている素材の活用方法を提示したいだけですから。今回制作した分はソルト支部から数量限定で販売していただきたいです」



 ジェマの言葉にレッドは少し目を見開く。



「継続的に作らないのですか?」


「はい。私はこの村に住むわけではないので素材も入手できませんし、これを作るためにヒルマニスを刈るのでは本末転倒ですから」


「分かりました。それでは、発明の申請と販売登録をしましょう。ギルドマスター室へどうぞ」



 レッドに案内されて、ジェマはギルドマスター室に向かう。そしてそこでいつものように申請書を書く。手慣れた様子のジェマを横目に、レッドはギルド証に登録されているジェマの発明の記録を読む。ベテランに近しい量の発明の数に笑うしかない。


 レッドは、ジェマが登録からまだ一年も経っていない道具師だとは到底信じられなかった。魔道具師になる未来も、所有者固定魔道具師になる未来も。あっさりと想像できてしまう気がしていた。



「書けました」


「はい。ありがとうございます」



 申請書を受け取って、販売登録を行う。今回売り出すのはたったの5つ。秘密にされている魔石に頼らない折り畳みの技術は非公開にするとしても、これまで放置することしかできなかったヒルマニスの活用が発見されただけでもソルトの、アッポ村の将来の利益が生まれた。


 ただの通りすがり。オレン村では良い扱いはされなかったはず。それなのにアッポ村のことやヒルマニスのこと、冒険者たちのことまで考えるジェマの視野の広さと懐の深さには感服した。


 販売登録まで完了すると、ジェマはレッドに商品を手渡した。



「商品名は、【組み立て式ヒルマニス小屋】ですか」


「はい。安直でしょうか」


「いえいえ。分かりやすくて良いと思いますよ」



 ジェマは商品名を考えることは苦手。大抵安直な名づけをして、派生商品を作ろうとする他の道具師たちの頭を悩ませる。1番ストレートなネーミングを奪われた道具師たちは、なんとか差別化を図ろうとしてへんてこな名前や響きを意識した名前を付けることもある。


 しかしこの安直な名付けによって、ジェマの商品は名前を見るだけで何ができる商品なのかが分かる。店員を呼ばずに買い物ができるため、実は客からの評価は高かった。



「それでは、こちらお受けしますね」


「よろしくお願いします」



 これで【組み立て式ヒルマニス小屋】の販売について、登録については完了。ジェマは肩の力が抜けた。


 道具師ギルドを出て、騎士団詰め所に戻る。騎士団詰め所に残っていたシヴァリーたちは、出発の準備を進めている。ジェマは驚いた。出発するつもりではいたけれど、まだシヴァリーたちには伝えていなかったから。



「きっと、ジェマはもう次に行きたいだろうと思ってな」



 ニッと笑ったシヴァリーに、ジェマは小さく笑った。出会ってから、まだ日は浅い。けれどこの旅の中でお互いのことを理解し合えるようになったようだった。



「ありがとうございます。どれくらいで出発できそうですか?」


「ジェマたちの準備ができたらすぐに出られるよ」


「分かりました! すぐに準備しますね!」



 ジェマは部屋に駆け込む。ジェットとジャスパーもベッドにぴょんっと飛び移って片付けを始める。荷物をせっせとまとめて、部屋を出る。その頃には馬車の用意が終わっていた。



「もう行くのか」


「はい、お世話になりました」



 スイートたちソルト支部の騎士団に見送られて村の端へと向かう。その途中、宿のそばを通るとツガルたちも手を振ってくる。ジェマたちは馬車の窓から、馬の上から。それぞれ手を振り返して村を去った。


 村を出ると、ソルトの街からも離れていく。



「次の目的地は?」


「予定通りコマスに向かいます」



 商業都市コマス。ファスフォリアに次ぐ活気があると言われている。人口も多く、商品が集まる場所でもある。当然素材も集まる。採取できる素材は少ないが、商人たちとのコネクションを得るには最適な街だった。



「それじゃあ、山と川を避けていくから、少し東側を迂回しようか」


「あ、それなら、山の方のトンネルに行きましょう」


「トンネル? そんな話は聞いたことがないんだが」



 馬車を操縦していたシヴァリーが首を傾げる。他の騎士たちも何が起きたか分からず視線を交わす。ジェマとジャスパーだけが自信ありげに頷いていた。



「案内してくれるか?」


「はい、もちろん!」



 ジェマが乗る馬車が先頭を進む。迷うことなく断崖絶壁の山へ向かった。



旅の続きは第4章で!

『道具師ジェマ、所有者固定魔道具師への道。4』

https://ncode.syosetu.com/n1513ks/

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