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クリームソーダガチャ探し

挿絵(By みてみん)

(バナー制作:幻邏さま)

このお話はフィクションを交えた事実です。

 クリームソーダちゃんはクリームソーダの妖精です。

 今日はくりくりのお目々で、きょろきょろしながら歩くひとりの女性を眺めていました。

 彼女の名前は瑞月さん。

 なろう商店街にある本屋さん、瑞月堂店主。

 みんなからは瑞月さんと呼ばれている人です。


「きょうは、本を読んでいないのねぇ」

 クリームソーダちゃんは不思議そうに眺めています。

 瑞月さんは、いつも本を読んで過ごしていることが多いのです。本屋さんの合間にも、お休みの時にも。


「いったいどうしたんでしょう??」


 そんなわけで、くりくりのお目々を彼女に向けていたのです。

 もしかしたら、迷子?

 そんなことも考えます。

 瑞月さんは極度の方向音痴なのです。

 右と思って曲がったら、目的地は左。いつも間違うから、今日は思った方向じゃない方へ向かっても目的地に辿り着きません。


「あれ、でも」


 そこで、クリームソーダちゃんは、瑞月さんが何を眺めていたのかに気付きました。


「あれはガチャガチャね」


 そうなのです。瑞月さん、ガチャガチャ探しをしていたのです。それもクリームソーダの。

 でも、あんなにきょろきょろしていたら、きっと道に迷ってしまいます。だから、クリームソーダちゃんは、さっそくナビゲートすることにしたのです。


 クリームソーダのことなら「ぴぴぴ」とわかるわ!だって、わたしは、クリームソーダの妖精だもの。


 そんなわけで、クリームソーダガチャガチャのある場所へ、瑞月さんを導くことにしたのです。

 ただ、残念なことに、クリームソーダちゃん、人の考えを読むことは出来ません。そして、瑞月さんも探し物を声に出して探しているわけではないのです。


「みずきさん、こっちよ~」


 まず、クリームソーダちゃんが連れてきたのは、瑞月さんが住んでいる町の隣駅。少し大きな駅になる、なろう南駅に並んであるガチャコーナー。


「ここならどう?」


 もちろん、瑞月さんにクリームソーダちゃんの声は聞こえていませんが、瑞月さんは連れてこられた場所で、ひとつずつガチャを確かめてから「クリームソーダっていっぱいあるのねぇ……」と呟いてまた前を見ます。


「ちがったのかしら?」


 瑞月さんがまたきょろきょろしながら歩こうとするので、クリームソーダちゃんは、慌てて次のガチャポイントへ。


「ここはどうかしら?」


 なろう南駅にはもうひとつ、ガチャポイントがあります。ここは、ガチャ機しか入っていないお店。スタッフ呼び出しボタンまであるのですから、きっとあるはずです。


 そこでも瑞月さんは丁寧にひとつずつガチャを眺めます。そして、「かわいい~」とひとつのポイントに立ち止まりました。じっと見つめる瑞月さん。クリームソーダちゃんも、ほっと胸を撫で下ろします。さて、任務は終了。そう思ったはずなのに、また瑞月さんが歩き出してしまったのです。


「えっ、ちがうの???」


 お目々をまん丸くしたクリームソーダちゃん。


「えっと……じゃあ、ここは?」


 瑞月さんが次に辿り着いたのは、イベントなども催される大きな公園のコンビニ前。今日もとても賑やかです。人の多いここにもガチャ機がたくさん並んでいるのです。すると、瑞月さん、何を思いついたのか写真を撮り始めました。


「いっぱいあるのねぇ……とりあえず、記念に」


 クリームソーダちゃんは首を傾げながら「記念写真を撮りたかったのかしら? じゃあ、任務終了??」と、息を吐き出した時に、また瑞月さんがきょろきょろしながら歩き始めたのです。


「えっ、まって~。ひとりでいっちゃうと、迷子になるよ~」


 その後、大型ショッピングモールを二つ回ったところで、瑞月さんも納得したのでしょう。

 だって、このふたつめのショッピングモール。最近出来たばかりの、ガチャ機が100個はありそうな場所なのです。ここでなければ、徒歩圏内にもうないと思って良いでしょう。


「この夏の記念に一回、回してみようかしら」


 そう言った瑞月さんは、ゆっくりとガチャを回したのです。そして、コロコロ落ちてきた黄色いカプセルを手に取ります。

 ほんの少し苦笑いをしてはいますが、それを鞄に付けて帰ることにしたようです。

 クリームソーダちゃんも、ほっと一息。


 わたしも、そろそろかえらなくっちゃ。


 クリームソーダちゃん、実はまだ4歳なのです。あんまりひとりでうろうろしてしまうと、妖精とはいえ、お母さんに叱られてしまうのです。


「みずきさんも、まっすぐおうちにかえってね~」


 そんな風に瑞月さんの背中を見送り、きらん、と景色に溶け込みました。



 さて、瑞月さんはお目当てのガチャ機を見つけて、ちゃんとお目当てのものを手に入れたのでしょうか?


 いいえ。


 見つかりませんでした。そもそも、クリームソーダの思い出すら持っておらず、探し始めてしまったきっかけである「クリームソーダ祭り」が、印象深いクリームソーダの思い出になったくらいの瑞月さんです。たくさん回って、今回はすっかりお腹いっぱい。

 じゃあ、なんのガチャを回したのでしょう。


 瑞月さんは猫が好きなのです。

 そして、探していたものとは違いましたが、クリームソーダと猫がコラボしていたものがあったのです。

「かわいい」はその時の言葉。


 苦笑いは、色。


 メロンクリームソーダならず、レモンクリームソーダの猫入りが当たったのです。

 どこか聞き違えそうな響きに、緑に一番近いかもしれない色。


 私らしいな。

 の苦笑い。


 レモンクリームソーダのレモンちゃん。瑞月さんがいつも提げている鞄の紐にくっついて、今日もゆらゆら揺れながら、瑞月さんを道案内しています。


辻堂様、幻邏さまの探している「あそび」と書かれたクリームソーダのガチャ機、まったく見当たりませんでした。

瑞月さんが経営している本屋さんは、緑の看板が目印のこちらです。

https://ncode.syosetu.com/n0099im/

「瑞月堂へようこそ!(瑞月の読書遍歴)」


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